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第66話:やってやるぜ

よし、食べよう。


「ヨシタカ様!至急、旦那様の執務室へいらしてください。」


トマスか、どうしたんだ?


「当分の間はここにいると子爵にも伝えているはずだが?」

「はい、その事は旦那様にもお伝えしておりますが、火急の要件で冒険者ギルドのギルドマスターがいらしておりまして、ギルドマスターがヨシタカ様にも同席を願っているそうです。」

「ギルマスが、か?」

「はい。ですので、執務室へお願いします。」


俺が何かしたか?


冒険者ギルドでは問題は起こしてないよな?

アッ、そう言えば、変な5人組には絡まれたなぁ。あれか?


まさか、あんな小者の事でギルマスは動かんだろう。蜂蜜の件か?


解らんから、取り合えず執務室に行くか。




コンコン


「子爵、俺です。」

「ヨシタカ君か、入りたまえ。」


ガチャ


「お呼びですか?」


執務室にはバルム子爵とギルマスの2人。


「うむ。ラノッツが君にも話を聞いて欲しいと言ってね。」


覚えているかな?【ラノッツ】とは冒険者ギルドのギルマスの名前だ。


「ああ、2度手間を省く為に呼んでもらったんだ。」

「取り合えず座りなさい。」

「失礼します。」

「それでラノッツ、火急の要件との事だが、私とヨシタカ君の2人が聞くような要件とはどんな内容かな?」

「簡単に言うと、オークの異常繁殖が確認されました。」

「スタンピード…、か?」

「今のところは違います。今のところは…」



ギルマスの説明によると、


①ニードラングの街から馬車で2日程の距離にある森で、先月頃からオークの討伐数が増えていたそうだ。

②今月になり、その森ではほぼオークしか見かけなくなり、斥候の得意な複数のパーティーがこの森の調査を行ったところ、森の中にはオークの集落が少なくとも4つ確認された。

③集落があるということは、それを統率するリーダー的なオークがいるはずであるらしい。

④その際はオークの上位種である、オークリーダーやオークジェネラルが考えられるそうだが、正確な集落の数が把握出来ていなく、こうしている間にも集落が増えている可能性が高い。

⑤このままオークを放置していれば、その内に手がつけられなくなり、スタンピードという形で大量のオークが襲ってくる可能性が考えられる。

⑥この件に関してギルドは【緊急招集】を発令する事にしたらしい。


緊急招集とは、大掛かりな討伐戦や緊急事態の際に発令されるらしく、今回はオークの討伐戦の為、大人数の冒険者を集めて討伐作戦に挑むらしい。


バルム子爵には物資の援助要請、俺には討伐戦の参加要請に来たそうだ。


「緊急招集はいつ出すのかね?」

「バルム子爵から援助をいただけるのならスグにでも招集をかけて、明後日にでも森に向けて出発します。」

「解った。援助を行おう。明日にでも物資をギルドに届ける。魔法士団からも聖魔法の使い手を派遣しよう。」

「御助力、ありがとうございます。ヨシタカは参加してくれるよな?」

「俺が参加する意味はあるのか?」


…………


「情けない話だが、どれ程の高ランクの冒険者が集まるか分からんのだ。いくらオークと言えど、上位種が現れれば高ランカーの存在が頼りになるからな。」


そんなモンか?


「なら参加しよう。」

「助かる。お前以外は最高でCランクまでになるだろうから、最悪の事態が起きたらお前を頼る事になるだろう。すまんが、頼まれてくれ。」

「程々に頑張るさ。」




◆◆◆◆◆




明後日の打ち合わせ等で、ギルマスが子爵邸を出たのは夕焼けの赤い光が窓に入る頃だった。



「緊急招集か…、まいったね。」

「よくある事ですか?」

「私の代では2回目だね。スタンピードは父の代で経験があるよ。その頃は私も若かった、ベルハルトと同じ歳だったかな。あの時は悲惨だったのを覚えているよ。」

「相手はオークです、変な上位種が現れなければ数しか脅威にはならんでしょう。」


そう、所詮はオークだ。


ギルマスの話では、1つの集落で30~40体のオークがいると報告されているから、単純計算で120~160体のオークがいる計算になるが、集落がもっと大きくなっているかもしれないし、実際はもっと集落が多い可能性もある。


しかし、オークのランクはF。

ゴブリンやスライムよりは難易度が上だが、その動きは遅く、一撃の破壊力と鎧のような分厚い脂肪にさえ気をつければ、新米冒険者でも倒す事は十分に可能である。


今回の討伐戦で問題として上げるならば、オークの数と上位種の存在だろうな。

数に関しては、多ければ多い程に厄介になるし、上位種は通常のオークとは強さの次元が違ってくる。

オークよりもオークリーダー、オークジェネラル、オークキングと段階的に強くなり、全てにおいて存在のステージが上がっていくのだから、オークジェネラル以上は一般の冒険者では手こずるのは確実だ。


ましてや、今回は異常繁殖のオマケ付だ。オークジェネラルクラスは複数体いると考えて間違いないだろう。

最悪、既にオークキングがいる可能性だってある。


オークキングが相手では、Cランククラスで囲んで倒しにかかるしかないだろう。

どれだけの被害が出るのか想像出来ないレベルで死傷者が量産される事も想定しなければならない事態だな。


まあ、その為に俺が呼ばれてンだろうな。



ふっ、やってやるぜ。

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