第56話:貴族の屋敷ってスゲー!
(カルロって、今でも優秀なんじゃね?)
カルロは確か昨日Fランクに上がり、今日は初めて街の外に出る依頼を受けたと言っていたハズだ。
それなのに魔物の中でも雑魚のゴブリンとはいえ、1人で5体も弓矢で倒す腕を持っている。
千里眼のおかげもあるが、弓の腕はカルロの実力だ。
(もしかしたらカルロは化けるかもしれないな)
「どうだいアニキ!オイラの実力は!」
「凄い腕だな。本当に驚いた。」
「オイラ昔から狩りが得意だったんだぜ!次の試験はなんだい?」
「それは街に帰ってからだ。」
「どんな試験だろうと、アニキに認めさせてやるぜ!」
◆◆◆◆◆
カルロが一緒なので、街へ戻るのに3時間程かかってしまい、時刻は16時を過ぎてしまった。
街の門を入ってすぐの場所に、バスの様な乗合馬車やタクシーの様な辻馬車の乗り場があったので、辻馬車で冒険者ギルドに行き、依頼達成の報告をしてから同じ馬車で子爵邸に戻った。
ハニービーの巣をギルドに提出した際に、500cc程の瓶で3本の蜂蜜を確保して残りはギルドに売った。
巣を除去したら蜂蜜はその冒険者のモノになると聞いていたが、ほとんど建前で一部を除きギルドに譲るのが一般的らしい。
全部を持って帰ろうとしたら、職員一同に全力で止められた。あと一歩粘ればギルマスが頭を下げるんじゃないかと思えたぐらいだ。
ハニービーを直訳すると【蜜蜂】。その名の通り、蜂蜜に価値があるそうだ。
貴族相手にも高く売れるくらい希少で高級品らしく、王室にだって献上すれば喜ばれる程の品質だって。
「ア、アニキ…、こ、ここって…。」
「俺が滞在させてもらっているお宅だ。さっき言っただろ?」
俺がカルロに課す2つ目の試験の為にも、俺の滞在先に来いと言って連れて来た。
カルロはこれまで、冒険者ギルドが用意していた新米冒険者用の簡易宿舎で寝泊まりしていた様だ。(子爵家からの援助で成り立っている)
「ここって子爵様の屋敷だろ……。何でアニキが子爵様の屋敷に泊まってるんだよ~。アニキは貴族なのか?」
「ちょっと子爵に気に入られてな。暫く厄介になってる。」
「アニキって普通じゃねぇよ!昨日冒険者になったのにBランクだし!子爵様の屋敷に泊まってるって普通じゃねぇよ!」
やはり一般市民にとって貴族は雲の上の存在なのかね?ギルドからここに着くまでの間、行き先が子爵邸と知りビビってたよ。
「気にせずついてこいっての!」
「待ってくれ~。」
カルロを引きずって子爵邸に入った。
「ヨシタカ様、おかえりなさいませ。お戻りが遅く、バルム様も心配されておられました。そちらの方は?」
「色々あってな。バルム子爵と話がしたい、食事中か?」
「いえ、バルム様は執務室におられます。」
「ありがとう。」
カルロを連れて執務室に向かった。
コンコン
「誰かね?」
「子爵、俺です。ヨシタカです。」
「おお、ヨシタカ君か!入りたまえ。」
ガチャ
「失礼します。」
「もうすぐ食事時なのに戻らないから、先に食べようかと思っていやのだよ。」
「遅くなってスミマセン。一仕事していたもので…。どうぞ。」
そう言って、アイテムボックスからハニービーの蜂蜜を出して子爵に渡した。
「これは…、蜂蜜か。」
「ええ、ハニービーの蜂蜜です。」
「ッ!ハニービーの蜂蜜か!」
「そうです。巣の除去をしてきましてね。それは差し上げます。」
「そうか?悪いねぇ。ところで、そちらの少年は?」
高級品の蜂蜜を見つめながら訊いてきたので、俺とカルロの出来事を軽く説明して、こう続けた。
「最低でも10日かそこら、ちょっと面倒を見ることになりましてね。ここに泊めて貰えないかとご相談に来ました。無理なら俺も出ていきますがどうでしょうか?」
蜂蜜片手に、にこやかだったバルム子爵が止まった。
「…構わんとも。ついでに君に渡すモノを渡してしまおう!」
バルム子爵が近くのベルを鳴らすと、直ぐにバトラが皮袋を持って現れた。
「ヨシタカ君、約束の白金貨65枚だ。」
「ありがとうございます。カルロの件のお礼ではないですが、夕食後に夜食がわりに1杯やりませんか?とっておきの故郷の酒を提供しますよ。」
「ナニ!君のとっておきか⁉」
「そうです。その酒に合う食べ物も幾つか用意しますんで夕食後に、時間を少しあけてからでどうでしょうか?」
「よし!わかった。君に任せるとも。カルロ君の食事の準備もある、2人で食事の前に風呂に入っておいで。私達は先にいただいておくからユックリすると良い。とっておきの酒か、楽しみだ♪」
ふっ、チョロいぜ。
風呂に向かう途中、さっきまで一言も喋らなかったカルロが話しかけてきた。
「アニキ!さっき白金貨65枚とか言ってたけどホントなのか⁉」
「さっきの皮袋の中身か?本当だぞ。」
「スッゲ~。」
◆◆◆◆◆
その後、何時もの風呂に入ったが、カルロが殊勝な事に背中を流してくれた。
風呂に浸かりながら、街の風呂事情も知れた。
一般の市民は個人宅に風呂は無く、大衆浴場を利用しているそうだ。冒険者は利用する際、割引きを受けることができる大衆浴場があるそうだ。
これは冒険者ギルドが提携をしている多種多様な店がある様で、提携店を利用すれば料金が安かったり、何らかのサービスを受けられるんだって。
そうそう、俺はここの石鹸に不満を持っていたので、ボディソープやリンスインシャンプーを個人的に使っていたが、石鹸を使えるだけ贅沢だと言われた。
普通は汚れ落とし用の薬草の束を使って身体を洗うそうだ。
◆◆◆◆◆
風呂から上がると、着替えが用意されている事にカルロはとても驚いていた。
「貴族の屋敷ってスゲー!」




