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第54話:やってみたら上手くいった

「オイラはカルロ、助かったよ。あんた強いんだな。」


「俺はヨシタカだ。お前の仲間は随分先に行っただろう。早く追いかけろ。」

「あんな連中、仲間じゃないさ…。」


片手間に話を聞けば、少年(仮)ことカルロは半年前15才になり、産まれた村を出てニードラングの街で冒険者になったそうで、昨日やっとこさFランクに上がり街の外での依頼を受けられる様になったらしい。(そうなの⁉)

先輩冒険者に誘われて森に来たら、さっきのジャイアントボアに追いかけられて他の冒険者に見捨てられたらしいのだ。(ふーん)


グルルルル~


カルロの腹が鳴ったのか。


「飯は?」

「食ってない。そろそろ休憩でも、って話してた時に遭遇したんだ。」


そう言えば、カルロの手には弓しか持ってないな。


「荷物はどうしたんだ?」

「逃げる途中で捨ててきたよ。邪魔だったからな。」


なら食いモンも無い訳か。しゃーねーな。


アイテムボックスからサンドイッチを取り出して差し出した。


「アイテムボックス?!え、いいの?」

「ハラ減ってるんだろ?食えよ。俺はこのジャイアントボアが手に入ったからな。」

「サンキュー。」


そう言ってカルロはサンドイッチにかぶり付いた。


すりすり


「エリアスもか?ほれ。」


ぷるぷる


俺もエリアスと2個目のサンドイッチを食べた。


エリアスはほぼ俺と同じ量の食事を食べている気がするな。




食事の後、俺はカルロの荷物を探すのを手伝う事にした。


荷物には魔石や魔物の素材もあったらしいのだ。

方向もハニービーの巣と同じだし、走ってきた道を辿るだけだからな。


5分も歩けば幾つかの荷物を回収できた。

荷物の中身は殆どが肉だったよ。


ハニービーの巣も500メートル程先だ。行くか!


「じゃあな、気を付けて帰れよ。」

「え、ちょ!待ってくれよ~。一緒に連れってってくれよ~。」

「俺はこれからハニービーの巣を取りに行くんだ。お前は邪魔だ。」

「ハニービーか…。近くまで一緒に行ってもいいだろ?」

「自己責任でいいならな。何があっても知らんからな。」

「おうよ!」


変なお荷物が…。




少し進み、目的の巣の近くに到着。


木々が邪魔で先が確認できないが、50メートル先に目的の巣があるはずだ。


「カルロ、お前はここで待ってろ。この先に巣があるはずだ。」

「ホントに1人でやるのか?こっからでも解るくらい結構でかい巣だぜ?」


コイツは何を言ってるんだ?

木が邪魔なうえ、50メートル先の巣が見える訳ないだろうが。どんな視力だよ、バカ。

こっちの世界に来て、身体能力の他にも視力が良くなったが、全然見えねぇよ!


無視して進む。


段々とハニービーが周囲を囲みだした。


こちらがちょっかいをかけなければ、無闇に襲って来ない様だがドキドキする。

体長10㎝の蜂なんて恐怖でしかない。


目視で確認すると巣の大きさは直径で5メートルちょい。

そんなサイズの蜂の巣が木から生えていた。

ハニービーが密集していて正確な数はわからんが、数100体いる事だろう。


ここからカルロの姿は見えないが、マップ上ではカルロは動いていない様だし、始めよう。


ギルドで買った薬草の束に火をつけた瞬間、脳内マップ上のハニービーが敵を示すようになった。(早い!)


慌てて薬草を巣の下に投げて、俺も迎撃の準備をする。


徐々に大量のハニービーが迫るが落ち着いてイメージをする。


イメージ、イメージ……


よし!


「火装炎武!」


叫んだ瞬間、俺の身体を炎が覆う。ゲッ!発動だけで30も魔力を使っちまった!


毒針りで俺を攻撃しようとした数体のハニービーが、俺に触れる前に燃える。


今回、俺が大量のハニービーを退治する為に考え出した対策がこの【火装炎武】だ。


からくりは単純。

火や風の属性魔法を一時的に武器に付与するのは日本でもメジャーだったが、こっちでもそういった魔法の使い方は知られている。

だから俺はその使い方を全身で再現したのだ。簡単だろ?


見た目は戦闘民族さんの界○拳だ。


切れば燃え、殴れば焼けただれる、触れられれば燃やす。

攻撃にも防御にもとても優秀な魔法だ。


ちょっと名前には拘った。


この森に来るまでに刀や腕で試したが、特に大きな問題はなかったよ。

小さな問題としては、魔法の発動時と維持する為に魔力を消費する事だな。


若干だが、身体が軽く感じるのは気のせいだろうな。


秒単位で魔力が減っているが気にせず燃やしていく。


森の中で火魔法の使用は注意が必要だが、余計なモノは燃やさない様にイメージをして、魔法を発動したから大丈夫だ。エリアスだって燃えてない。

俺の魔法には万物創造の影響が大きく関わっているから、通常の魔法よりも応用が効くのだ。


巣の危険を感じて外敵に攻撃を仕掛けているだけで死んでゆくハニービー。…可哀想な習性だ。


物思いにふけっている間にも、着々と数は減っているし、煙りに燻されて巣の中からドンドンとハニービーが出てくる。


離れている個体は刀で切り、近い個体は近付くだけで倒してゆく。

流石にGランクの魔物なだけあって弱い。燃えた瞬間に灰になってゆく。


地面には小さな魔石が大量に転がっている。(1人で全部拾うのは面倒くさいな)

手間賃を渡してカルロに手伝ってもらうか。


作業を初めて3分。倒した数はわからんが、9割りがた殲滅したかな。

巣の中から女王蜂が出てきたから、目の前の約20体で打ち止めのハズだ。

3分間、この火装炎武を使用して消費した魔力は約100だ。今回はとても活躍した魔法ではあるが、普段は使い勝手が悪いかもしれない。


女王蜂は通常のハニービーよりも身体が大きくて羽が輝くようにキラキラと美しい。(燃やさずに持って帰ろう)


火装炎武を解き、神気刀で残りのハニービーを薙ぎ払う様に切った。


残るは女王蜂。


素早く動き、針で攻撃してこようとした女王蜂を左手で掴み、エリアスに倒させた。


エリアスが女王蜂の頭を溶かした際に解ったが、コイツらの魔石は頭にあるみたいだ。(手当たり次第に燃やしたから気付かんかった)


ハニービーも殲滅したし、巣の回収だな。それにしてもデカイなぁ…。

こんなモンがアイテムボックスに入るんか?


よく見ると、巣は木にガッツリとくっついていて剥がれそうにない。


(適当に木を切って、幹ごと持って帰ろう)




やってみたら上手くいった。

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