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第52話:不味かった…

本日の24時か、明日の24時に日常のグルメを更新します。

よかったら、覗いてみてください。


宜しくお願い致します。

早速、お言葉に甘えるとしよう。


そうと決まれば行くとするか。


バルム子爵に今日の分のお菓子を幾つか渡しておく。

明日以降は密封容器で保管するだろう。


子爵とバトラには、これから日中は出掛ける事が多くなるかもしれないと伝え、調理場のラオンにはパンの購入先を訊いてから、子爵邸を出た。


ベルハルトは付いて来ようとしてたが、今度飲みに連れていってやると言ったらおとなしくなった。(現金なヤツだ)



時刻は9時前。


商業ギルドに着いた。馬車は楽でいい、偉くなった気分だ。(子爵のおかげだが)


受付でギルマスに取り次ぎを頼むと、すんなりと個室に案内された。


たいして待つこともなく、ギルマスのナフスが現れた。


「ヨシタカ様、お越し頂き、誠にありがとうございます。そして、昨日は申し訳ございませんでした。」

「いえ、お気になさらず。」


そう言って瓶を30本並べた。


「どうぞ、確認してください。中身は昨日と同じモノです。」

「はい、確認させていただきます。」


ギルマスは30本もの塩・白コショウ・カレー粉の品質を確認していった。


時間にして10分程だろうか、不正はしていないが俺も緊張してしまった。


確認が終わろうかというタイミングで、若い女性がお茶を持って来た。


お茶を飲んでいると、確認も終わった様だ。


「ふぅ、全く素晴らしい品ですな。」

「どれの事ですか?」

「3品ともですよ。長い間この街で商いをしてきましたが、これ程の上質な塩や香辛料は初めてです。一部は私自身が購入しますよ。」

「そこまで言っていただけるとは思っていませんでした。よろしければ、それぞれの評価の内容を訊いてもいいですか?」

「ええ、構いませんとも。先ずはこの塩ですが、美しい程の白さに目を奪われます。味も雑味が無く、食材の味を高めるでしょうなぁ。このコショウも素晴らしい。こちらも混じりっ気の無い味と香り、粒の状態からも栽培技術の確かさを感じました。」


やはり、日本で手に入る調味料は一般的な物でもこちらでは上質な物になる様だ。


「最後にカレー粉ですか…。味、香り、全てが私の理解を越えている。それ以外に言葉が出てきません。この様な香辛料は見た事も聞いた事もない。値段なんて付けようがない程の品です。商いの現場は退きましたが、これ程の品を扱える事には喜びしかありません。」


ギルマスがそこまで言うのか…。


俺には理解出来ない感情だが、この人の感動に水を差すのは野暮だろう。


「代金を持って参りますので、少しお待ちください。失礼します。」


ギルマスは出ていったが、昨日とは様子が違っていたな。

昨日は特に何も感じなかったが、品質の確認の後からは染み染みと、それでいて湧き出る衝動を抑えている印象があった。


(本当にカレー粉に感動しているのか?)


お茶を飲みつつ、エリアスと戯れながらギルマスを待っていると、ギルマスはすぐに戻って来た。


「お待たせしました、こちらが今回の代金です。ヨシタカ様に言われた通りに用意しました。大金貨が100枚と金貨が500枚です、お確かめください。」

「ありがとうございます。ちなみにですが、内訳はどうなってます?」

「内訳ですか?…、それも難しい話ですね。こちらとしても値段の付けようが無いのです…。」

「それでも仕入れ値以上の値段で売るのでしょう?」

「ええ。それは当然ですし、売れる自信しかありません。仮に、とするならば内訳は、塩が金貨10枚、コショウが金貨300枚、カレー粉が金貨1190枚ですかね?」


う~ん、驚いたな。


塩が1瓶で金貨1枚、つまり1万円。カレー粉よりもこっちに驚いたよ。

そんなに良い評価なのか…。


「カレー粉に関してはどれ程の値段で売れるのか想像も出来ませんが、これに大金を出しても欲しがる方は必ずいるでしょうな。」

「そうですか…。ギルマスに1つ忠告をしておきます。」

「ほう、忠告ですかな?」

「ええ忠告です。ニードラング子爵を敵に回したくなければ、カレー粉の販売は少し待った方がいいですよ?」

「という事はニードラング子爵様はカレー粉をどなたかに?」

「詳しくは言えませんが、察してください。それしか言えません。」

「いえ、ご忠告ありがとうございます。もうすぐ、ある御方のお誕生日ですね。ニードラング子爵様のお怒りを買わずに済みました。」



その後、入手先の話にも触れたが、故郷で手に入れたと濁して買取りは無事に終わった。


次は冒険者ギルドに行くぞ。


と、意気込んでも冒険者ギルドは直ぐそこだ。

乗って来た馬車も冒険者ギルドに停めてある。歩いても5分とかからない。



ギルドに入り周囲を確認すると、昨日よりも受付は空いていたが、飲食スペースが騒がしかった。

どうやら朝っぱらから酒盛りの真っ最中らしい。


人数は5人、レベルも大した事はなかった。唯のバカの集りの様だ。


気にせず通り過ぎようとしたら声をかけられた。


「そこのガキ!新人かぁ?先輩に挨拶も無いのかよ⁉」


酔っているとはいえ、バカにも程がある。


「なに無視してんだぁ?」


肩を掴んできやがった!


ヤッチマウカ。


「五月蠅い。」


言葉と同時に顔面を正面から殴った。おー、マンガ見たいに後ろに回転したよ。(流石はファンタジー♪)


「グヘッ…。」


完全にのびてらぁ。たぶん、鼻の骨が折れただろう。

神気刀を持たない状態だから、唯の素人のパンチでしかないが、ステータスに頼った一撃だったので破壊力だけは一級品だ。

ガチの全力で殴ったらこんなヤツ、顔の骨が砕ける気がする…。


「ドブラ!」

「テメェ、よくもヤってくれたな!」

「ガキのクセに!」


ドブラだっけ?床にのびているヤツの仲間の内、俺に近かった2人が俺に飛び掛かって来る。


殴りかかって来たヤツを軽くかわして、鳩尾を殴る!

変な感触がした。(アバラが折れたか?)


もう1人は俺を掴まえようとしていたので、太股を斬る様に蹴った。相手は衝撃でバランスを崩したが、脚から崩れ落ちた。脚に力が入らない様だ。(コイツも折れちゃったかも…)


残った2人の仲間を確認すると、2人は躊躇していた。

大方、形成が不利だと判断したんだろう。襲っては来なかった。


「まだやるか?」

「いや!すまねぇ、ウチのバカが酔っぱらって絡んだだけなんだよ…。」

「そうそう!別に悪気があった訳じゃないんだよ…。」


下手に出始めた。


「詫びは態度で示せよ。」

「だから謝って「誠意で示せよ、わかるだろ?」


ちょっと睨んで近づく。


「誠意だよ。誠意。」

「わ、わかった!」

「おう!」


そう言って、2人は懐から金の入った皮袋を差し出してきた。


「アッチの分もだろうが!」


そう言って、1人を軽く殴るった。(ホントに軽く)


「ハ、ハィ…。」


殴ったヤツとは違うヤツが、倒れている3人に駆け寄り、懐をまさぐって皮袋を取り出す。


「これで全部でさ。勘弁してください…。」


これ以上やったら俺が悪者だ。


「とっとと消えろ。」

「ありがとうございます!」

「すみませんでした!」


2人は倒れている3人を引きずって、慌ててギルドを出て行った。


気が付けば、周囲の視線を集めていた。


(気不味い……)


「迷惑をかけた、1杯奢らせてくれ!金はある!」


皮袋を持ち上げて声をあげた。


途端に周りから大きな声や口笛が聞こえてくる。


「若いヤツがドブラに絡まれた時は可哀想だと思ったが、やるもんだ!」

「おい、兄ちゃん!冒険者の流儀がわかってるじゃねえか!」


いきなり冒険者2人に肩を組まれた。


2人共、さっきの連中よりは強いだろう。体つきが一目で解る程に逞しかった。


ギルド内には30人程の冒険者がいるようだが、全員が飲食スペースに移動していた。


ウェイトレスの様なギルド職員が、冒険者に次々とエールを配っていた。仕事が早いな!(いつもの事はのかもしれない)


俺にもエールが渡され、隣の男が音頭をとった。


「男気のある兄ちゃんに、乾杯!」

「「「「「カンパーイ!」」」」」


一瞬で宴会ムードに変わった。


俺も周りの冒険者達とジョッキをぶつけ、エールを飲んだ。


ファンタジー定番のエールは…


(マッズ!)


不味かった…。

エールを含め、主人公が感じる食べ物の味は作者の独断と偏見によるモノですので、ご容赦くださいますよう、お願い致します。

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