第51話:お言葉に甘えるとしよう
すっかり寒くなりましたね。
私自身ここ3日程、喉の調子が良くないです。
皆様もご自愛くださいませ。
今後とも、宜しくお願い致します。
それでは、晩酌のスタートだ!
トクトクトク、クイッ!
プハーッ。熱燗がおいしいね。
昼間は暖かいが、朝晩は少し冷える。屋敷の中は外ほどではないが、ラフな部屋着だけでは湯冷めしそうな心配をしてしまう。
そんな時に熱燗だ。身体も心も温まるぜ。
パク
筑前煮も美味いよ。ちょっと薄味だが…。
このシャドーバードのモモ肉なんてプリプリで弾力があり、噛むほどに旨みを感じる。
騎士達と一緒に行動していた時に、ウイングバードの肉を焼いて食べたが、あれは美味かった。しかし、この屋敷で調理しているシャドーバードはもっと美味いと思う。(マジで)
冒険者ギルドで貰った冊子を眺めながら酒を飲んでいると、ギルドが魔物をランク分けしている内容に目が止まった。
ランクはSをトップとして、A~Gにランク付けしているらしく、Sランクにはドラゴン等の名前が並んでいた。
この世界には当然の様にドラゴンがいる。種族としても最強らしいが、普通に生きていれば遭遇することはないらしい。(そんな生物に頻発に遭遇してたら生物は全滅するわ!)
ランクを見ていくと、ゴブリンやスライムは最低ランクのG。オークでF、ジャイアントボアがE。ウイングバードがF、シャドーバードがEだった。
ランク付けは魔物自体の強さの他にも、倒しやすさや行動の習性等の要素が含まれているらしい。
ランクが高い魔物ほど魔石は高く売れ、食える魔物は美味くなる。わかりやすい内容だ。
俺としては単純に、ある程度はこのランクの通りに肉の美味さが判別出来るみたいで為になったよ。
実際にウイングバードよりもシャドーバードの肉の方がおいしかった。ウイングバードを良質な鶏とすれば、シャドーバードは高級な地鶏のような肉質だ。
もっと上のランクの鳥型の魔物も食ってみたいな。
おー、シイタケうま!
イシュルガーツのキノコは美味いね。人工栽培やハウス栽培ではなく、天然や天然に近い栽培法だから本当にキノコが美味しいよ。
サトイモも美味しい。
美味いものが食えるって幸せだねぇ。ダンディー神に感謝だ。
酒も追加だ!徳利も追加しよう。
徳利の消費量は12か。謎だ…。
酒が飲めれば細かい事はどうでもいいやぁ~。
トクトクトク、クイッ。
プハー。
すりすり
エリアスが頬擦りしてきた。オネダリか?
可愛いヤツめ。
「ほら、シャドーバードの肉だぞ~。」
ぽむ、ぷるぷる!
エリアスは美味いものを食うと震える様だな。この辺はわかりやすくてありがたい。
トクトクトク、クイッ
はー、優雅な夜だ。
「エリアス、次はサトイモな。」
ぽむ、ぷーるぷーる
やはり肉の方が反応が良い。
パクっ
ニンジンも甘くて美味しいよ。
やっぱり、旬の食材は美味いな。
トクトクトク、クイッ
フー、いい気分だ。今頃、子爵達は家族で楽しく遊んでいるのだろう。
(みんな元気かな?)
俺は両親よりも先に死んだ親不孝者だが、まさか異世界で生きているとは想像もしてないだろうな。
人生ってどうなるかわからないね?
すりすり
わかった、わかった。肉をやるよ。
「ほら。」
ぽむ、ぷるぷる
野菜よりも肉が好きってのは、魔物の特性かな?
トクトク
もう無くなったか。
クイッ
この辺で止めとこう。
時刻もとっくに22時を過ぎていた。
こっちに来て、起きる時間が早くなった分だけ、寝る時間も早くなったかな。
寝よう。
◆◆◆◆◆
翌朝、朝の鐘が鳴る前に目が覚めた。
鍋で缶コーヒーを温めていると、遠くで鐘が鳴り始めた。
朝食は7時頃なので、時間には余裕がある。
さっさと瓶詰めの内職をやってしまおう!
栄養ドリンクサイズの瓶に調味料を詰め替える作業なんて簡単だった。
48本分の詰め替えと言っても、漏斗ごしに入れるだけなのだから、20分もかからなかったよ。念の為に、カレー粉は2本余分に用意した。
詰め替えた調味料を出す為に使った魔力は全部で300もかからなかったが、これまでに何度かに分けて出したり、カレー粉も業務用のサイズを出したりして対応した。
一仕事終えた後のコーヒーは良いものだ。タバコがあれば尚良い。
タバコはガマンだ!
外も明るくなり、部屋の時計を見るともうすぐ7時だ。食堂に行こうか。
エリアスと食堂に行くと、子爵以外は揃っていた。
「皆さん、おはようございます。」
「あら、ヨシタカさん、おはようございます。」
「おはようございます、主人はまだですのよ。」
「おはようございます。ヨシタカさん、今日も商業ギルドに行くんですよね?」
「付いてこなくていいぞ。」
「そんな~。」
「ヨシタカさん、エリアスちゃん、おはようございます。」
「おはようございます。」
朝からベルハルトがウザいな。
「おお、皆揃っていたか、食事にしよう。」
「バルム子爵、おはようございます。後でお渡ししたいものがあります。」
「例の物だね?わかった、食事の後で貰うとしようかな。いやぁ~、いい朝だ。」
子爵の機嫌が目に見えて良くなったな。
今日の朝食はレーズン入りのパンに、チーズの香りがするスクランブルエッグ・キノコのクリームスープ・リンゴジャムを添えたヨーグルトだった。
毎朝の朝食に出てくるパンはとても美味しい。焼きたてと思われるパンはふっくらと柔らかくて、バターがなくても十分だ。今日はレーズン入りだったから、レーズンの甘さもあり、ついつい食べ過ぎてしまった。
リンゴジャムはラオンの手作りらしく、隠し味にハニービーの蜂蜜を使っているらしい。
ギルドの依頼に巣の除去があったので、今日も残っていたら受けようと決めた。
ユックリと朝食を楽しみつつ、ニードラング家の方々は昨日の双六の話題で盛り上がっていた。(昨日も5回やったらしい)
朝食を食べ終えてお茶を飲んでいるとバルム子爵に声をかけられ、子爵の執務室へ向かった。
「昨日の今日で用意してくれるとは、段取りが良くてありがたい事だ。」
「こちらがお約束の品です、どうぞ。」
アイテムボックスからカレー粉を18本取り出してテーブルに置く。
「これがカレー粉か…。」
「はい。冬場は問題ないでしょうが、春から夏場の保管には気を付けてください。」
「わかった。感謝するよ。」
お茶を飲んで 、そろそろ行こうかを思った頃に子爵から1つの提案を受けた。
ありがたい事に、街中を移動する際に子爵家の馬車を使って言いと言われた。これは嬉しい提案だ。
ギルドへ行くにも徒歩ならだいぶかかるだろう。助かる。
早速、お言葉に甘えるとしよう。