第44話:リセル商会ですね
やはり20時には間に合いませんでしたが、本日の2話目です。
宜しくお願い致します。
ありがとう万物創造!
ギルマスと明日の買取りについて幾つか話をした。
話が終わり、3人でギルドを出るとベルハルトが騒ぎ出した。
「ヨシタカさん、お腹がすきました。食事にしましょう!」
時刻は12時前か。確かに腹が減ったな。
子爵邸を出る前に、バトラには昼食を外で食べると伝えているので、ベルハルトが外食を楽しみにしているみたいだ。
「なあトマス、もう少し冒険者ギルドに馬車を停めておいても大丈夫か?」
「はい、大丈夫でしょう。冒険者ギルドには子爵家から援助をしておりますので、馬車を停めるくらいなら文句もないでしょう。」
「へぇー、援助してるのか。」
「冒険者の保護の為にも、我が家は色々とやり取りをしているんですよ。それよりも、何を食べに行きますか?」
ベルハルトとしては、外食が珍しくて落ち着かないのだろう。
「一旦、馬車に戻るぞ。御者も腹が減っただろう。」
「ヨシタカ様、その様な事はお気になさらず。それが御者の仕事です。」
「いいのか?」
「はい、大丈夫です。」
この世界ではこんな考え方なのか。
その後、歩きながらトマスに商業区画と一般区画について質問をした。
今、俺達がいるのは商業区画だ。
商業区画と一言で言っても、冒険者ギルドや商業ギルドのあるこの辺りが、商業区画の中心部の様だ。
通りを見渡したら、いろんな店が見える。
飲食店・雑貨屋・宿屋・武器防具屋等々の店が確認できたし、通りには屋台や露店で飲食物や青果等も販売している。
行ってみるか。
「ベルハルト、何か食べたい物はあるか?」
「いやぁ、久しぶりの外食ですしね~。迷いますね~。」
「なら俺に付いてこい。」
「わかりました!」
言ったな。
悪いがお前が思ってる様な店には行かんぞ。俺の目的は食べ歩きだ。
四方の門から延びる大通りには、屋台が多くて活気がある。
時間も昼時とあって、皆が屋台で食事を購入している。
(祭りみたいでワクワクするな)
売られている食べ物も豊富で迷う。
肉を味付けして焼いた串焼き、惣菜のクレープみたいな料理に大きな肉まんみたいな饅頭。
やっぱり肉料理が多いな。それに安い。
串焼きは銅貨2枚。(日本円で200円)
饅頭で銅貨4枚、クレープで銅貨3枚だ。目移りする。
よし、順番に行くか。
「ベルハルト、先ずは串焼だ。」
「ここで食べるんですか⁉」
「そうだぞ、その辺の屋台で買い食いだ。俺は普通の店には行かんぞ。」
「ヨシタカ様!いくらなんでもベルハルト様に買い食いなど!」
「トマス!いいんだ。ヨシタカさん、本当にその辺の屋台の料理を食べるんですね?」
「嫌ならトマスと飯食ってこい。おっちゃん、1本おくれ。」
「おう、毎度あり!銅貨2枚な!」
「イエ!2本ください!」
急にベルハルトが大きな声を出した。
「いいんだな?」
「はい、お願いします。」
「おっちゃん、3本にしてくれ。」
「私の分は結構です。仕事中ですので。」
「そうか。ごめん、おっちゃん2本くれ。」
「おうよ!4枚な。」
「はい。」
銀貨を渡し、串焼き2本と釣銭を受け取る。
「ホレ、他の店も廻るから食えそうなヤツだけ食っていけよ。」
「わかりました、いただきます。」
そう言って神妙な顔つきで、ベルハルトは肉を頬張った。
俺も串焼きにかぶりつく。
普通に美味いよ。豚肉かな。
屋台の親父を見ると、焼きながら何かの液体に串を浸していた。
たぶん、水で薄めた魚醤だろうか。他にも果物の果汁でも加えているのかもしれない。
一言で言えば、薄味の焼肉のタレだな。
「おっちゃん、何の肉だ?」
「オークの肉だ。ウチは味付けに拘ってるから美味いだろ?」
オークの肉か。…オークってあれだろ?豚みたいな魔物だろ?
普通に豚のバラ肉みたいだな。ちょっとクセがあるけど美味い。
「ああ、美味いよ。こんな旨いオークは初めてだ。」
「嬉しい事を言うねぇ。オマケだ、コイツも食ってみな。」
つくねみたいな串を1本くれた。
かじるとホロホロと口の中で肉が崩れる。
これはこれで旨かったが、つなぎが少ないのか肉の纏まりが脆く感じた。
「おっちゃん、これも美味いけど、纏まりが弱いな。」
「そう思うか?お客の反応を見て研究してるんだよ。」
「頑張れよ、おっちゃん。」
ベルハルトを見ると、肉を噛み締め震えていた。
「ベルハルト様、大丈夫ですか?お口に合わなければ吐き出してください。」
「無理するなよベルハルト。」
ゴックン
「私は、私は外でこうやって屋台の料理を食べる事が夢だったんですよ!」
いきなり大きな声を出すな、周りの人が変な目で見てるだろうが。
しかし夢か…、お坊っちゃまも庶民の生活に憧れる部分があるんだろうな。
「なかなかイケますね。思っていたよりも美味しいですよ。」
「ベルハルト様、本当に大丈夫ですか?」
「心配は要りません。私はとても楽しいのです。」
「そうか。他の店もある、付いてこい。」
「はい!ヨシタカさん、あの料理はどうですか?」
惣菜クレープみたいな店か。確かに俺も気になってはいたんだ。
「よし、食べてみるか。お姉さん2つくれ。」
「あら~嬉しい事言ってくれるねぇ。サービスしたげるよ、2つで5枚ね。」
やった!明らかにお姉さんではなかったが、お姉さんと言ったらまけてくれた。
お姉さんは鉄板で薄切り肉と野菜を炒め、何かの調味液で味を付けると、クレープみたいな生地で包んで渡してくれた。
デッカイ北京ダックみたいだな。
ベルハルトと2人でかぶりつくと、これはこれで美味いと思った。
何の肉か訊くとジャイアントボアと言う、猪型の魔物の肉らしい。
聞けばこのジャイアントボアはベルハルト達が食べるような肉で、オークよりも重宝されるそうだが、店主の本業は肉屋らしい。
切り出した後に出る切れ端を屋台で使っているそうだ。
今日の献立の1品が決まったな。
その後、2軒の屋台で食事を買ったが、どれも塩や魚醤を使った味付けがベースで、他に使用する食材等で差別化を図っている様だった。
屋台の食事と割り切れば楽しく食べれたし、ベルハルトは喜んで食べていた。
どうやら味が云々よりも、外で買い食いする夢が叶った事が嬉しい様だった。
途中でトマスに食べないのか訊いても、彼は仕事中だと丁寧に断った。(彼もプロなのだろう)
腹が膨れたので、麦茶っぽいお茶を飲みながら休憩していると、ベルハルトが今夜の食事について訊いてきた。(昼飯を食ったばかりだろうが!)
「ヨシタカさん、今夜は何を作ってもらえるんですか?」
「もう晩飯の話か?」
「そろそろ食材を揃えないと間に合わないでしょう?」
イヤ、全然大丈夫だ。まだ13時過ぎだぞ?
コイツは俺を見ては飯の話ばかりしてくるな。
「今日は醤油を使った料理ですよね?魚醤と名前が似ていますが、どう違うんですか?」
「それは今夜、食事の時に説明するさ。そろそろ行くか。」
「次は何処に行くんです?」
「雑貨屋かな?トマス、この辺で1番大きな雑貨屋は何処になる?」
「雑貨屋ですか…、品揃えが豊富なのはリセル商会ですね。」




