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第42話:3本の瓶

本日の24時に【日常のグルメ】を投稿します。

よかったら覗いてみてください。


明日は祝日なので、出来たら2話投稿したいです。


宜しくお願い致します。

「いや、Bランクだ。」


声のした方を見ると、1人の獣人がいた。犬?の獣人か。

獣人は見た目では年齢の判断が出来ないな。


「ギルマス!」


ほう、この獣人がギルドマスターか。

確かに能力値もレグやガランよりも明らかに上だし、【獣化】ってスキルを持っている。

盗賊の獣人は持ってなかったが、セオリー通りならば身体能力を上昇させるスキルだろう。(その通りだった)


「俺はここのギルマスのラノッツだ。今の試験の内容は俺も見ていた。レグを倒した強さもそうだが、回復魔法の腕が良い。ギルマスの権限でお前をBランクにする。」

「そんなに特別扱いしてもいいのか?」

「構わん。ニードラング子爵にも実力を認められている新人を見に来たら、面白いモノが見れたぜ。さっきのだって全力じゃねぇだろう。これから頑張れよ、ルーキー。」


ポンと、俺の肩を叩いてギルマスは立ち去った。


「おい、アイツはルーキーなのか?」

「あの強さで新人とかドンだけだよ!」

「ウチのパーティーに誘うか?」

「やめとけよ、俺らじゃ相手にされないだろうが。」

「そうだな、こっちの方がランクが下だしな…。」


周囲の連中が少し煩く感じる。


いいねぇ、Bランクか。最高ランクまであと2つ。

自由気ままに生きていく分には十分だ。


「凄いじゃないですか!Bランクですよ!」

「そんなにはしゃぐなよ。こっちが引くだろ。」

「いえ、ヨシタカ様。Bランクからは1流冒険者扱いですよ。登録と同時にBランクとなれば、ベルハルト様の態度が普通かと思われます。」


そんなもんか。

ラノベなんかでは、SランクとかAランクって珍しくなかったから、イマイチ嬉しさの基準が他人とは違ったらしい。


「おい新人、ついて来い。手続きの続きだ。」


レグに声をかけられ、神気刀を片付けて受付に戻る。



さっき対応してくれた受付嬢に試験の結果をレグが伝えると、彼女は俺を2度見した。おっ、3度見か。


俺がBランクになるのが信じられないのだろう。

17歳という年齢を考えれば破格か、仕方がないかな。


「新じ、イヤ、ヨシタカか。これから頑張れよ。」


その一言を残してレグは奥へ消えた。


「ではヨシタカさん、冒険者カードができるまで、今後についてご説明します。」



おさらいみたいな内容と、注意事項の説明を受けた。


①冒険者はランクに応じて、一定期間内に依頼を達成しなければペナルティを受ける。場合によっては、冒険者の資格を剥奪される。(俺はBランクなので、猶予は1年だって)

②冒険者同士の揉め事やトラブルに関して、ギルドが介入することはないが、冒険者個人としての素行が悪かったり、犯罪を犯した際はギルドから制裁がくだる事がある。

③一般的にはBランクが最高ランクで、これより上にランクを上げるには、歴史に残る様な偉業を達成するか、国やギルドに貢献してランクを上げるしかないそうだ。

④通常、冒険者が受ける依頼はギルド内のボードに貼り出されているが、Bランクが受ける様な依頼はそっちには無いので、受付に確認してほしいとの事。

⑤新人冒険者には初心者用の講習会が行われており、参加するか訊かれたが、断ったら冊子をくれた。講習の内容をまとめた物らしい。後で読もう。



「以上で説明は終わりです。ご質問はありますか?」

「今、俺が受ける様な依頼はあるか?」

「そうですね………」


ブ厚い依頼書の束を出して確認する受付嬢。

名前はセリアといい、年齢は23才。既婚かはわからんが、キャリアウーマン風の彼女は普通にアリだ。


「Cランク以上が対象の依頼が1件あります。内容はハニービーの巣の除去です。」


聞けば、この街から徒歩で3~4時間程の森に、ハニービーという蜂型の魔物の巣が発見されたらしい。

ハニービー自体は比較的、おとなしい魔物で向こうから襲ってくる事は少ないが、体長10㎝と蜜蜂に比べて非常に大きく、もしも一般人が襲われたら危ないので依頼が出されたらしい。

個としてよりも、集団で行動するらしく、巣の除去となれば大量のハニービーを相手にしなければいけないそうだ。

依頼達成の証明は除去した巣らしい。巣には当然蜂蜜があり、巣から取れた蜂蜜は冒険者の物になる。


「受けるんですか、蜂蜜があればラオンが美味しいお菓子を作ってくれますよ?」

「明日も依頼が残っていたら受けようか。今日はやることがある。」

「ちなみに、この依頼は並行依頼ですので、どなたかが依頼を達成するまで同時に何人でも依頼を受けられます。」

「並行依頼って普通の依頼と違うのか?」

「通常の一般的な依頼は単独依頼と言って、1つの依頼に対して複数人か1パーティーで依頼を受けるものですが、この依頼の様に大人数を推奨する依頼や、高難度の依頼においては同時に大人数や複数パーティーの受付をしている依頼があるのです。」


聞けば納得。ドラゴンの討伐依頼なんかを、1パーティーでやれって言う方が無茶だもんな。


「依頼を受けるかは明日考えるさ。」

「ヨシタカさん、1つ確認したい事があるのですが?」

「なんだ?」

「頭の上に載っているのはスライムですか?」


ぴょん


「そうだ。俺がテイムしたスライムのエリアスだ。」


ぴょん!


子爵邸を出てから、ずっとエリアスは頭の上にいたんだよ!

忘れてたんじゃないよ、ちょっと出番が無かっただけだよ!


「ヨシタカさんはテイマーなのですか?」

「いや、初めてのテイムがエリアスだから、自分がテイマーかどうかわからないんだ。」

「そうですか、冒険者カードが出来た様ですので、従魔付と記載しておきますね。では、1滴分で構いませんからカードに血をつけてください。」


赤いカードと共にナイフを出す受付嬢。


(自分で自分の指を切るって嫌だなぁ…)


仕方なく指先を少し切ってカードに血をつける。(カードが赤いから血がついたかハッキリとわからない)

その瞬間、カードがうっすらと光った。どうやらマジックアイテムの1種みたいだ。


魔道具とマジックアイテム、この2つは言葉が似ているが別物である。

魔道具は使用者や魔石の魔力に反応して効果を発揮する物を指し、マジックアイテムはスキルの付与により、特殊な効果を持つ道具や武器を指すのだ。


赤い冒険者カードはA又はBランクを示し、Sランクは金色なんだって。(ハデだなぁ)


「これで登録の手続きが完了しました。これからは世界のため、冒険者ギルドのために頑張ってくださいね。」


ニッコリといい笑顔で締め括られた。


「ありがとう。ベルハルト、行こうか。」

「いやぁ~。Bランク冒険者の誕生に立ち合えて興奮しましたよ!Bランクですよ、Bランク!最速じゃないですか?」

「最速記録はAランクスタートですよ。」

「Aですか…。」

「上には上がいるもんさ。もういいだろ?行こう。」

「そうですね、何処かでお茶でも飲みましょうか。」


おい!何休憩しようとしてるんだ。


「休憩はまだ先だ。商業ギルドに行くぞ。」

「商業ギルドですか?何をしに行くんです?」

「色々と買取りの査定をしてもらおうかと思ってな。」



商業ギルドの場所は目と鼻の先だったので、馬車はギルドに残して徒歩で移動した。



商業ギルドに着くと、外見的にはレトロな銀行の様な建物で、造りはしっかりしているが落ち着いた雰囲気だ。


中に入ると総合受付があって、要件として商品の買取を伝えると、ギルドの職員はトマスをチラ見して個室に案内してくれた。


「トマスを見て、俺達が貴族か富裕層にでも見えたんだろうな。」

「トマスは普段の執事服ですからね。」

「申し訳ありません、私も着替えて来るべきでした。」

「イヤ、トマスはそのままの方が都合が良い。相手に舐められずにすむ。」


トントン、


ノックと共に男女が入ってきた。


女性はお茶汲みの様なので、担当者は男の方か。


「お待たせ致しました。私、当ギルドの買取りを担当しております、ヨーゼスと申します。以後、お見知りおきを。」


丁寧に挨拶をした男はヨーゼスと名乗った。


年齢は38才、見た目は落ち着いた紳士で商人のイメージはないが、面白いスキルを持っていた。


特殊スキルの【直感】だ。


効果としては感覚で物事を決めたり、咄嗟の判断に従う際の結果が良い方向にはたらくらしい。(ギャンブラー向けか?)


「ご丁寧にどうも。俺はヨシタカ・フジワラ。一応、Bランク冒険者だ。こっちの2人は唯の付添いだから気にしないでくれ。」


自己紹介をしながら冒険者カードを見せた。


「そうですか?ニードラング子爵家の次期当主様を無下にはできませんよ。それにヨシタカ様もお若いのにBランクとは素晴らしい。」


気付いていたか。(流石だな、商業ギルド)


「なら好きにしてくれ。」

「はい、ありがとうございます。早速ではありますが、本日はどのような品をお持ち頂いたのでしょうか?」

「これだ。」


3本の瓶を出した。

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