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第35話:スーパーマーケットだった

「虚しい戦いだった」


「ヨシタカ君、もう1回だ。もう1回やろう!」

「今のは練習です。次は本気でいきますよ!」


アカン、この親子はハマってもうたかも。


「楽しんでいただけましたか?」

「なかなか楽しめましたわ」

「ええ、面白かったですわね」


そうでしょうとも、ご夫人がた。

貴女達は結託して、ダンナを楽しそうに追い詰めてたんですから。(よほど普段から溜め込んでたんだろう)


「~~~~~~」

「この様な遊びがあったなんて知りませんでしたわ♪」


娘さん達の反応は対極だね。


「もう1度やる前に、少し休憩でもどうですか?」

「そうだな、少し喉が渇いた。バトラ」

「はい、かしこまいりました」


お茶を飲みながら、俺も休憩する。


バルム子爵とベルハルトは、2人で作戦会議をしているし、2人の夫人は先程の内容を振り返っていた。

女子2人は残っているお菓子を食べて、エリアスを触って寛いでいるようだ。


実はさっきの人○ゲーム、普通の物よりもマスを増やして長く遊べる様に、少し手を加えていたので、初心者とはいえ6人で遊んで1時間半もかかった。


もうとっくに21時を過ぎている。

次で終わりにさせよう。


「そろそろどうかね?」

「皆さんさえ良ければどうぞ」

「ウム、では始めようか」


そうして、新たな戦いの火蓋か切られた………。



「そんな手で来たのか!」

「妻の薬代で借金だなんて!」

「ベルハルト、金貨50枚を払いなさい」

「イリナ、まだ結婚してないの?」

「た、タイミングが合わないだけですわ、お母様」

「お父様の土地をいただきます!」

「ま、待ってくれ! 最後の領地なのだ!」



随分と盛り上がってるが、俺は蚊帳の外だ。(こんな中に入りたくないぞ!)


結果は……



「どうして私が最下位なのだぁ!」



こんな感じだった。




◆◆◆◆◆




翌朝、ノックの音で目が覚めた。


「ヨシタカ様、朝食の準備が整いましたが、いかがされますか?」

「直ぐに行くよ」

「では、お待ちしております」

「わかった」


時刻は7時前か。


昨晩は結局、あの後にバルム親子の泣きの1回が行われ、部屋に戻ったのは日付けが変わってからだった。

エリアスなんて途中で寝ていた。


あ~眠い。


重い瞼に逆らいながら、エリアスと食堂へ向かう。




「おはようございます」

「おはよう、良く眠れたかい?」

「はい。ベッドが良くて起きるのが勿体なかったですよ」

「ハハッ、嬉しい事を言ってくれる。朝から気分が良くなるよ」

「そうね、アナタ」

「ウチにいる間は自由に過ごしてくださいね」

「ありがとうございます」

「すまないね、子供達はまだ起きて来ないんだよ」


そう、この食堂にいるのは子爵夫妻だけなのだ。

どうやら、遅くまで遊び過ぎて起きられないらしい。


「昨晩の様に、遅くまで家族で何かをすることが初めてでね」

「そうね、楽しかったわ~」

「年甲斐もなく楽しんでしまったわ」

「たまには良いんじゃないですか?」

「そうだね。たまにはああいったのも良いものだ。しかし、次は私が勝つがね」


おー、目が笑ってない。


話をしている間に、メイドさんが食事を運んできた。


メニューはパン・スープ・スクランブルエッグ・キノコとベーコンのソテーだ。


「では、いただこう」

「いただきます」×3


パンはアッサリしたバターロール風で焼きたてかな、スープは豆やニンジンのスープで、朝には優しく感じる味だった。


「ヨシタカ君、今日の昼は頼んだよ?」

「任せてください。カレー粉の良さを伝える為にも、皆さんがこれまでに経験した事の無い、味を体験していただきます」

「う~ん、楽しみだな。昨日のポテチやキャラメルもそうだが、君の故郷の食べ物は実に素晴らしい。ウチの領地で再現出来ないかね?」

「ほぼ不可能でしょう。あれらは専門に作る商会があり、そこから手に入れた物ばかりですので……」

「そうか、ならば仕方がない。諦めよう」

「ポテチでしたら、何とかなるかもしれませんよ?」

「本当かね⁉ 私はあれでエールを飲みたいと思っていたのだ!」

「ではその件も含めて、食事の後に街に行ってきます」

「何故だい?」

「この街で手に入る食材の確認の為ですよ。俺の故郷の食材が残り少ないので、見に行こうと思いましてね。案内役に誰か貸してもらえませんか?」

「ならばトマスを連れて行くといい。あと、馬車で行きなさい。その方が買い物も楽だろう」

「それはありがたいですね」



食事が終わり、洗濯から帰ってきた自分の服に着替えて調理場に行く。


調理場で料理長に挨拶して、幾つか確認しておいた。


普段の食事の内容や子爵家の料理の好みに、この街で一般的に使われる食材や旬の食材等、料理長と話す内に意気投合した。


料理長の名はラオンと言い、年齢は50代で先代の子爵の代から調理場を任されていた。

元は王都で修業した後に、ニードラング家の料理人になったらしい。

海産物を扱う機会の多いこの地方が気に入ったそうな。


異国人(?)の持つ料理の知識に興味が湧いた様で、お互いに情報交換した。

お近づきの印に、出汁用の昆布をプレゼントして日本の食文化の話をしたら気に入られたよ。


根回しって大事だね。



その後はトマスと馬車で、街の商業区に向かうのだった。


実はトマス、バトラの息子さんだそうで、親子で子爵家に仕えているのかと驚いたら、バトラの奥さんもメイド長として働いてるんだって。(マジで驚いた)


「ヨシタカ様、先ずは我が街で1番多くの食品を取り揃えております商会にご案内致します」



馬車に揺られること20分、着いたのは先はスーパーマーケットだった。

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