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第34話:虚しい戦いだった

さて、俺も準備をするか。


「ヨシタカ様、トマスと申します。まずは調理場へご案内します」


若い執事に案内され、必要な物を借りる。


調理場を後にして、客室に案内された。


とても豪華な部屋で、流石は貴族の屋敷だと溜め息をついてしまう。

1つ1つの調度品の造りが良くって、ベッドの大きさがハンパなかったよ。(このまま寝てやろうか)


おっと、イカンイカン。子爵達を待たせているのを忘れていた。


準備をしなければ。記憶を呼び起こし、イメージする。

昔はよくこれで遊んでたな。


イメージ、イメージ、イメージ…………、


おっしゃ!


出来た。げっ、魔力を76も使っちまったよ。

中身を確認して、もう1度イメージする。


イメージ……………、


出来た。ウソ!………、99も魔力が減った、なぜだ?

考えても仕方がない、他の準備をしよう。


もう少しで準備が整う。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




食堂を出てから15分で全ての準備を整えた。


時刻は19時42分


寝るにはまだまだ早い時間だが、この後の展開的に俺はいつ寝る事が出来るのか不明だ。

俺が用意したこの娯楽を、あの人達に与えて良いのか迷っている。



仕方がない行くか。


ガチャ、


談話室の扉を開ければ、ニードラング家が視線を向ける。期待に満ちた瞳で。


「お待たせしました」

「おお、待ちかねたよ。何を用意してくれたのかな?」

「これを持ってきました」


そう言って、アイテムボックスから取り出したモノを談話室のテーブルに置いた。


「ヨシタカさん、これはなんですか?」

「これは双六っていうボードゲームだ」

「スゴロクかね?」

「そうです。その双六の中でもこれは【人○ゲーム】という名前の双六です」

「人生ゲ○ムとはまた、大きくでたね」

「このルーレットで出た数字の数だけマスを進み、ゲームを進めていくのです。途中で職業や結婚等のイベントが発生し、最終的に手持ちの資産が多い方が勝ちとなります。やってみませんか?」

「お父様、面白そうね?」

「やってみたいわ!」

「娘達がこう言っているし、皆でやろうか?」

「そうね」

「ええ」


皆が渋々、ではなく意気軒昂としていた。


「では皆さんが楽しめる様に、俺はゲームの進行係をします」


皆にゲームのお金や小道具を配る。


「ゲームを楽しむ為にも、お菓子と飲み物も用意しています」


テーブルにジュースとお菓子を並べていく。




説明しよう!


今回、俺が用意したのは【人○ゲーム】だ。

しかし、ただの人生ゲ○ムではない。グレーバス大陸仕様にした人○ゲームなのだ。


ルーレットはそのままで、車の代わりに馬車のコマに変更。

職業はわかりやすいところで貴族・聖職者・冒険者・商人・農民等。

イベントの変更に関しては時間がなかったが何とか色々と盛り込んでみたし、一定金額の借金になると奴隷落ちって要素も追加した。(この大陸ならこの方がリアリティーがあるんじゃね?)


さっき、客室で普通の人○ゲームを出した後、こっちの言語やイベントに修正した物を改めて出したのだが、何故か修正版は消費魔力が23も増えていたな。


そして調理場では、皿とグラスを調達した。それ以外にもいくつか。

本当はアイスペールやデカンタが欲しかったが、いいのが無かったので自分で出した。


皿には、色んな味のポテチ・ポ○キー・キャラメル・都こ○ぶを盛った。

アイスペールにはもちろん氷を入れ、デカンタにはカル○スとポンジュ○スを入れた。(氷が溶けても大丈夫な飲み物をチョイスした)


これだけ揃えれば、家族全員で遊べるだろう。


現に、お菓子への食い付きは凄まじかった!


「これがポテチか? 手が止まらんな!」

「ええ、芋とは思えません」

「都こ○ぶは食べると止まりませんわ」

「白い飲み物も美味しいわ」

「ネリス、ポ○キー食べた?」

「キャラメルを食べていますの」


ゲームが始められん。


「夜はこれからですが、ゲームも進めましょうか。食べながらでけっこうですよ」

「そうだったね、ついこっちに夢中になってしまったよ」

「オホホホホ」

「いやぁ、美味しくて……」



その後はすんなりとゲームが進み白熱した。いや、白熱し過ぎた…………。



「領主の私が……、借金だと⁉」

「アナタは見通しが甘いのですよ♪」

「さあ、アナタ。金貨100枚払ってくださいな!」

「俺が奴隷に落ちる、だと?」

「ネリス! それは、それだけはヤメテーーーー!」

「甘いわお姉さま。貴女はこれでおしまいよ♪」



何か闇が見えたぞ、ベルハルト。



「シエナ~、もう勘弁してくれ~」

「アメリア、どうします?」

「シエナお姉さま、一気に行きましょう」

「母上、助けてください……」

「お母様~。ネリスが意地悪するの~」

「お父様、助けて差し上げますわ!」



しゅーりょー!



「納得イカン! もう1回だ!」

「そうです、父上! もう1回です」

「我が息子ながら情けない……」

「ウチの男どもは単純ね」

「ネリスのバカ~~~」

「アッハッハッハッハ♪」



結果は………、言葉の内容から察して欲しい。

イリナはずっと泣かされていた。誰にって?


フッ………。



「虚しい戦いだった」

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