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第33話:俺も準備をするか

一緒に旅をするキャラを用意しているのですが、なかなかそこまで話が進みません…。

この世界の貴族は食いしん坊だ!


やはり貴族といえども、現状の料理のレベルに潜在的な不満を抱えているのだろうか?

それとも、今の生活自体に満足はしているが、未知の料理や調味料に対して、好奇心と言う名の刺激を欲しているのか?


まあ、この一家の印象を全貴族にあてはめて考えるのはムリがあるよな。(この家族が変わり者なのかも)


「カレー粉や醤油という物は実に興味深い。明日の料理が楽しみだ。……ところでヨシタカ君、君の肩のそれは何かな?」


ついにその話がきたか……。


確かにさっきから女性陣の視線が、エリアスに釘付けだったんだよなぁ。


特にネリスなんて、瞳をキラキラさせながらエリアスを見つめている。


「昨日テイムしたスライムです。名はエリアスと言います」


ぴょん


女性陣は驚いたのか、それとも恐怖したのか、ビクッってなってた。


「君はテイマーなのかい? 確か、剣の腕は相当な腕前と聞いていたが?」

「剣の腕には自信がありますが、テイマーではありません」(今のところ)


バルム子爵は怒った様子ではなかったので、ベルハルトの意見を聞きつつ、ちゃんと話を聞いてくれた。


「ほう、君は本当におもしろいな。世間的にテイマーは珍しいから、私自身もテイムした魔物を初めて見たよ。それにスライムが盗賊の尋問か。いいな、これは愉快だ」

「はい、父上。ヨシタカさんといると退屈しません」


あー、わかった。この人らは娯楽に飢えてるんだ。


人が持つ3大欲求をある程度満たせば、心にゆとりが生まれ、次に自分を充たし満足させてくれるモノを探す。


この人達は幸せな事に、他人が見れば羨む生活の中で退屈し、刺激を欲しているようだった。


「ヨシタカ様、触らせていただいてもよろしいですか?」

「ネリス、危ないわよ!」


ベルハルトの下の妹のネリスがエリアスに興味を持ち、その姉のイリナが軽く注意する。


まあ、エリアスに一言かけていれば大丈夫だろう。


「ええ、いいですよ。エリアス、おとなしくするんだぞ」


ぴょん


「きゃー! 可愛い♪」

「ちっちゃくて可愛いわね」


ネリスの手にエリアスを載せてやった。


バルム子爵の娘2人がエリアスで黄色い声を上げると、2人の婦人もそこに加わり、一気にかしましくなった。


「ところでヨシタカ君、これから君はどうするのかね?」

「今後ですか?明日の料理の件が終わったら、冒険者登録をして、適当にこの街に滞在しようと考えています。特に目的の無い旅ですからね、気が向いたら何処かに行きます」

「そうか。では、この街にいる間はこの屋敷を使いなさい。君を見込んで少々、面白い話をしたい。いいね?」


うわ~、変なプレッシャーを感じるよ。

親子揃って、芯は強い為政者だな。


言葉は優しいのに、目の奥が笑ってない……。


「わかりました。お世話になります」

「よろしい! では、食事にしようかな。バトラ?」

「はい、旦那様。御用意致します」



全員で食堂に行き着席すると、ワイン(この世界では赤)が注がれ乾杯した。(イリナとネリス以外は酒)


?、甘い……?


どうやら、ワインを果実のジュースで割っている様だ。

もしかしたら蜂蜜酒かもしれない。


前菜らしき軽めの料理と煮込み料理に近いスープ、それにパンが運ばれて来た。

ご丁寧にエリアスにも少量の料理を準備してくれていた。


前菜はジャガイモ・カボチャ・ニンジンを茹でて、とろみのあるアッサリしたトマトソースをかけた温サラダの様な料理。

イモのホクホク感とトマトソースの酸味が美味かった。


スープはイタリアンのアクアパッツァみたいな感じだったが、薄味であっさりし過ぎ。魚自体は鯛のような感じで美味かった。(塩焼きでよくね?)


後で知ったが、畏まった食事の場では1品ずつ、料理が提供されるが貴族でも普段の食事は何品かまとめて提供されるらしい。


「ヨシタカ君、ガランから聞いたよ。アイツは君の国の酒を沢山、ご馳走になったらしいね」

「はは、会話が弾みましてね。ついつい2人で飲み過ぎてしまいました」


この展開はあれか?


「私が寝ている間にですよね?」

「ベルハルトは疲れて寝ていたからな……」(本当は酔っぱらって)

「聞けば、ベルハルトもエールに似た酒をご馳走になったそうだね?」


わかったよ、わかりましたよ!

飲みたいんでしょ?


「良ければ、宿代がわりにお譲りしますよ」

「良いのかい? しかし、宿代なんて気にしないでほしい。君は息子達の恩人だ」

「でしたら何かの縁ということで、一杯どうですか?」


言いながら、瓶ビールを2本出した。


「アイテムボックスか、久し振りに見たな……。それが異国の酒か」

「お姉さま、アイテムボックスって?」

「魔法で持ち物を収納できるのよ。私も初めて見たわ」

「便利な魔法ですわね?」

「イリナ、ネリス。本当に便利な魔法なのよ? あの魔法が1つ使えるだけで、国や大商会に勤める事も出来るのよ?」


そんな会話をよそに、バトラがグラスを準備していた。(この家令はマジで優秀だ)


5つのグラスにビールを、2つのグラスに3つの矢のサイダーを注いだ。(エリアスにはいつものリンゴジュース)


俺やベルハルト以外は皆、グラスの中身に興味津々なご様子。

夫人の2人は炭酸の泡をうっとりと見つめている。


「どうぞ、飲んでみて下さい」

「あ、ああ。いただこうか」


ゴク、ゴク…………


「ゲップっ! 失礼、美味いな。よく冷えていて、シュワシュワの刺激がたまらない。エールとは比べ物にならんな」

「父上はエールを飲んだことが?」

「勿論だ。若い頃はよくガランと酒場に行ったもんだ」

「それは初耳ですわね」

「アナタがそんな事をしていたなんて、知りませんでしたわ」

「若い頃にちょっとな」


俺はガランに聞いて知っていたよ。

昔は屋敷を脱け出しては、街に遊びに行ってたんだって。勿論、娼館にも……。


「ベルハルトもたまには街に遊びに行くといい。臣民の生活を知るには1番だ」

「わかりました。今度行ってみます」

「お姉さま、この飲み物は甘くて美味しいですね」

「ええ、本当に。この様な飲み物は初めてね」


やはり知らない味で、尚且つ美味であれば会話も弾むな。


3杯目を注いだ頃に、メインの肉料理と小さな魚料理が運ばれて来た。


肉料理はローストポークの様だったが、塩と黒コショウが効いていて、普通に美味かった。


魚料理は切身の焼き魚。魚醤に漬けた魚の切身を干物みたいに軽く干して、それを焼いたんだって。(ご飯が欲しい)


ビールは肉料理や魚料理にも合ったので、バルム子爵はとても食事を楽しんでいた。


デザートにはリンゴが出たが、日本のリンゴとあまりかわらない味で嬉しかったよ。


女の子2人はエリアスが気になる様で、食事もそっちのけでエリアスを見ていたな。


「ごちそうさまでした。肉も魚も美味しかったです」

「いやぁ、こちらこそ、美味い酒をありがとう」

「やはりビールは美味しいですね。こうなると、白ワインも飲んでみたいです」

「それは明日にでもな」

「ヨシタカ君、もっと君の話を聞きたい。談話室に行かないか?」


なんか、メッチャ気に入られたな。

ニードラング家全員が、期待のこもった目で俺を見ている。


ずっと食いモンの話ばっかりだし、何かないかな?


(いいことを思いついたぞ!)


「面白い物を持っているので、それで遊びませんか?」


この言葉は絶対に食い付くハズ!


「遊ぶ、かい?」

「そうです。子供から大人まで、家族みんなで遊べるモノを持っていましてね。それで遊びませんか?」

「いいね! そーゆーのが欲しかったんだ! 直ぐにやろう‼」

「では、準備をしますので、調理場に案内してもらえますか? それと、準備に場所をお借りしたいです」

「わかった、バトラ。聞いていたな?」

「はい、旦那様。調理場へはトマスに案内させます。その後、お泊まりいただく客間にご案内します」

「ウム。ではヨシタカ君、談話室で待っているよ。いやぁ、楽しみだな」


そう言って、家族を伴い食堂を出て行った。


さて、俺も準備をするか。

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