第1話:誰がオッサンだ!
(もしかして死んだかも……)
◆◆◆◆◆
「はっ!」
俺は飛び起きた!
車にはねられた夢を見た。
それこそ自分が死ぬ様な夢を見た!
「夢だよなぁ……」
自分が車にはねられて吹っ飛ばされる夢だなんて最悪だよ……。
夢だった事を確認する為に、自分の顔を触ってみる。もちろん何ともない。
(ちょっと安心♪)
腕時計を見れば9時21分。
自分の手を見て気付いたが、スーツ姿であった。
どうやら昨日は飲み過ぎて帰り、そのまま寝てしまったのだろう。どうやって家に帰ったか全く覚えていない。
(ポ○リ買ったっけ?)
あれだけ酔っていたのに二日酔いは感じない。
(ラッキー♪)
「でも、酔っぱらってもちゃんと家に帰ってるって、社会人として立派だよな~」
「どこが立派なんだよアホか」
顔を上げ前を向くと、50代頃のオッサンが高級そうな革張りのソファーに座っていた。
顔は西洋人の様に彫りが深く、手入れされた白髪混じりの顎髭が似合うロマンスグレーなオールバックのダンディーなオッサンがいた。
服装はグレーのYシャツに黒のスーツ。(もっと若けりゃインテリヤ○ザかホストの様だ)
声は宇宙世紀のソ○モンの悪夢さんの如く無駄に渋かった。
オッサン越しに奥を見れば壁もなく、何も無い白い空間が見える。左右を見渡しても白い空間しか見えない……。
もう1度言おう、白い空間しか見えない!
ここは某ドラゴン○ールのナンチャラと時の部屋ですか? ってくらい時の部屋だったよ。
因みに俺も何故か同じ革張りのソファーに座っていたよ。俺の家は築16年の1DKのアパートで家賃5万円(水道代込み)でこんな立派なソファーはもちろんあるはずが無い!
「?」
訳もわからず首を傾げて?マークを浮かべつつ周囲を見渡していると、オッサンと目があった。
「?」
「?」
俺が?マークでオッサンを見ていると、オッサンも?マークで俺を見ていた。
なんとなく2人で見つめあってしまった。
敢えて言おう! オッサンと見つめあってしまった!
「誰がオッサンだ!」