第119話:また答え難い事を訊きますねー
日常のグルメを更新しました。
34話の修正は明日中に行います。
「失礼ですが、ヨシタカ様でいらっしゃいますかな?」
自分の世界に浸っていた俺を現実に呼び戻した声の出所を探す。
直ぐ左に居たよ。場違いな程の肥満体型のバーコード頭のオッサンが。
「ヨシタカだが、何処かであった事が?」
「いえいえ滅相も無い、初めてご挨拶させていただきます、ヘリークダドと申します。ヨシタカ様程の【超一流】の冒険者様とお近付きに慣れて誠に光栄で御座います」
(何かこのオッサンと話していると無性にイラつくな)
この場に居るのは基本的に冒険者ギルド関係、冒険者、商業ギルドの人間だった筈だ。
明らかに冒険者ではないこの弛みきった体型のオッサンが冒険者ギルドの人間でもないと思いたい。ならば商業ギルドの関係者といったところか?
「俺はそんな【超一流】の冒険者ではないし、どうして俺がわかったんだ?」
「何を仰られますか! ヨシタカ様の傍らには常に優秀な従魔が付き従っていると、ここでは誰もが知っている事で御座います」
(イラつく原因がわかった、変に遜った喋り方だ!)
何か名前は確か………。
「失礼だが、名前をもう1度聞いても?」
「おお! ヨシタカ様に私の名前を覚えていただけるとは商会に戻ったら自慢できますな! 私はヘリークダドと申します」
この変に遜ったオッサンの名前は【ヘリークダド】とゆーそうだ。正に名は体を表す!
この名前を親が狙って付けたのなら虐待レベルじゃね?
イヤイヤ、さっき商会が云々と言っていたから、やはり商業ギルドの人間の様だ。この体型で熟練冒険者だったらそれはそれでオモロイかも…。
「何か用か?」
「このキャンプを見回っていた所、今回のオーク討伐の中心人物であるヨシタカ様にご挨拶をと思いまして、リッキルザ商会を代表して参りました」
嘘の匂いしかしない!
俺が絶対テントから出るのを待っていたとしか思えん!
デブバーコードオヤジに出待ちってなんだよ‼︎
「ご丁寧な事で、ありがとう。では俺は「ここで知己を得た事でも御座います。ヨシタカ様に我がリッキルザ商会よりご依頼したい事が御座いまして、お聞き届けいただけませんでしょうか?」
さっさと立ち去ろうとした俺を無視して勝手に喋り出した。
それも俺の腕を掴んで強引に人気のない場所に引っ張りながら!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
このオッサンの話を丁寧に聞くには耐え難い苦痛を伴ったので、俺の精神衛生上の観点から要点を述べる。
①アンタめっちゃ強いですな! マジ尊敬するわ〜。
②お願いあんねん! 皆んなにナイショでオークジェネラル1体チョロまかしてくれへん? お礼はすんで!
③ウチの商会の専属で雇われてみぃへんか? 今より楽して稼げんで〜。
ってな、しょーもない話だった。(レグにチクるか?)
「悪いがそんな依頼を受ける気はないので失礼する」
これ以上このデブバーコードに関わりたくなかったから、有無を言わさず立ち去る。
少し離れた辺りで近づく気配を感じた。
「ヨシタカさん、いいですか?」
今度は誰だよ?
「ああ、ニクスか」
「さっき話していた相手ってリッキルザ商会の幹部ですよね?」
「そうらしいな」
「変な誘いを受けたんじゃないですか?」
「オークジェネラルをチョロまかしてくれって言われた」
「ジェネラルをですか⁉︎」
「ちゃんと断ったさ」
「そんな馬鹿げた話しを持ちかけるなんて……」
呆気に取られるニクスからの情報によれば、さっきのリッキルザ商会って最近になり会頭の息子が全権を握る様になり、強引なやり方で利益を上げているんだそうな。
強引なのはまだマシで、悪質な取引や同業商会を騙して儲けるって、金の為なら何でもアリな商会っていうのがここ最近の評価らしい。
「ヨシタカさんが倒したオークは状態が良いですし、アイテムボックス持ちで単独行動の機会が多いですからね。向こうとしてはジェネラルを裏で確保出来れば大儲けですから…」
「今回の討伐戦でそれはルール違反だろ?」
「当然ですよ! ウチがオークを売り捌いた費用から、今回の討伐戦に参加してくださっている冒険者の報酬を始め、馬車の費用に食材費等を捻出しますから上位種をチョロまかすなんて話しを持ちかける神経がわかりません!」
「ギルドを通さずに手に入れた方が儲かる仕組みがあるんだろう。わかる範囲で教えて欲しいんだが?」
「ヨシタカさん相手なら可能な限りお答えしますよ」
「なら訊くが、オークジェネラルをギルドが売り捌く際にはどれぐらいギルドが儲けるんだ?」
「また答え難い事を訊きますねー」
今年中にもう1話投稿します。




