第117話:俺がエルフに見えるのか?
116話の投稿再開から数時間経ち、大勢の方に読んでいただけている様で感謝しております。
レイラインってこんなキャラだったか?
「2人とも、夜はまだまだこれからだろ? 俺のオススメの蒸留酒は美味いから期待しててくれ」
そう言ってイメージし、出す。
あの黒くて丸い瓶の通称【ダルマ】。
ウチの父親愛飲のウイスキー。
小さい頃、近所の酒屋によくお使いに行ったもんだ。
普段飲む酒は配達してもらっていたが、このウイスキーは父親が気分で購入していたので、専ら俺が買いに行っていた。行くと必ずオマケの小さな缶ジュースを貰っていたのが俺のお駄賃。
数年前に閉店したって聞いた時は、これが大人になるって事なのかとおセンチな気分になったもんだ。
「コイツが俺のオススメの蒸留酒、ウイスキーって種類の蒸留酒でな? 飲み方はどうする? そのまま飲むストレート、氷を入れたロック、水で割った水割りどれがいい? キツイ酒だからロックか水割りがいいか?」
提示したのは3種類の飲み方。【ダルマ】はオーソドックスな飲み方が1番じゃないか?
コレをハイボールにするのは邪道だろう。
カラン!カラン!カラン!
カリッ、カリッ
トクトクトクトク…
口の広いロックグラスを出し、氷を4つ、栓を開けて注ぐ。
人差し指で円を2度描けば完成。
指をひと舐めすればいつもの味がする。
結局、食べ物や酒の好みって親の影響が大きいんだろうな、俺も家に常備してたもん。
そのままグラスを一口…。
(フッ、やっぱり上手いな)
「なに1人で飲んでるのよ! 私の為に出してくれたんでしょ!」
「後生だから飲ませてくれ! 頼む!」
(レイライン…)
「わかったわかった、飲み方は?」
「先ずはそのままよ! 氷は後で入れたらいいのよ」
「なら俺もレイライン様と同じで!」
「わかった」
トクトクトクトク、トクトクトクトク
トン、トン
「はいよ、どーぞ」
「なんて綺麗な色なのかしら…」
「本当ですね」
コクッ×2
「あ〜、もう死んでもいい。何よこのウイスキーって凄く美味しいわ。確かにキツイけどキレが良いからクドくないし、味の奥ゆきが豊かだわ。これまで飲んできた蒸留酒とは比べ物にならないわよ」
「ッ、はぁ〜。昔飲んだ蒸留酒の味なんて覚えちゃいませんが、これ程美味くはなかったと思いますよ。こんなに美味い酒の味を忘れる訳ないですからね」
評判は上々の様だ。
ここまで浴びる様にビールと白ワインをガブ飲みしていた2人がユックリとウイスキーを楽しんでいる。
「ツマミながら飲んだ方がいいぞ? ほら」
新たにツマミを差し出す。
「何だ?」
「ミックスナッツ、まあ木の実だな。それとチョコっていうお菓子さ。どっちもウイスキーに合うぜ?」
「へぇ〜、こんな木の実なんて久し振りだわ。カリッ、香ばしくて美味しい。故郷の森を思い出すわ、それに、ンクッ、このお酒にも合うわね」
「この黒いのも合うな。それに甘い味に癒される様な気がするぞ」
ミックスナッツとチョコの組み合わせは俺も好きだ。お手軽だからな。でも、ウチの父親もウイスキーのツマミにはこの2つがいつものセットだった。
レグの場合は本当に疲れていたんだろう。疲労回復には糖分が良いっていうし、チョコの香りにはストレスを軽減や緩和させる働きがあるらしい。
「少し氷をを入れもらえるかしら?」
「俺も入れてくれ」
「おう、いいぜ」
ヤベッ、さっき梅酒用に出した氷がもうすぐ無くなるな。後でコッソリ出すか。
消費魔力3の氷と39のウイスキーで喜んでもらえるなら安いもんさ。
「氷を入れたら雰囲気も味も変わるのね。コッチの方が好きかもしれないわ」
「俺は少し水を入れてくれるか? この酒をガバガバ飲める程若くはないみたいだ」
「何よ、私よりも若いくせに」
(レイラインと比べられたらたまったモンじゃないから!)
「水割りもオススメだって言ったろ? 好みの飲み方で楽しめばいいのさ」
「何カッコつけてるのよ。ユインよりも歳下なんでしょ? ホントに17歳か怪しいわね、実はエルフかハーフエルフじゃないの?」
「俺がエルフに見えるのか?」
ではまたクリスマス前後の投稿となります。