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第102話:イースなのか?

今年最後の投稿です。


来年も宜しくお願い致します。

「シュウがそこまで言うなら本当に強いのね。さてと、ヨシタカも疲れていると思うけど、上位種退治にかかるわよ」


「そうだな。他の連中は大丈夫か?」

「大丈夫でしょう。それに、向こうはヤる気みたいよ?」


レイラインの視線の先には、この集落に残るオークの団体さんが俺達目掛けて迫っていた。


「貴方こそ大丈夫なの? だいぶ魔力が減っている様だけど?」


流石にレイラインにはバレているよな。


「魔力は減っているが俺にはこれがある」


そう言って神気刀を見せる。


「この刀さえあれば、俺は敗けない」

「頼もしいけど、私達がシッカリと援護するから安心して」

「ああ、頼む」

「終わったら、美味しいお酒が飲みたいわ~。昨夜のお酒は美味しかったわね」

「解った、全員無事に帰れたら一杯やるか」

「フフッ、楽しみだわ。お腹も減ったし、オツマミもお願いね」


酒で頑張ってくれるなら安いモンさ。



◆◆◆◆◆




雑魚である通常のオーク共はA班の冒険者やレイライン達の援護もあり、苦戦することもなく倒す事が出来た。魔法を使わずに倒せた事が、俺にとっては1番の収穫であった事は間違いないだろう。


残るは上位種4体と奥に避難しているであろう6体のオークだ。

今日の目的である3つの集落の中では、ここが最も規模が大きく、俺が知る限りでも約50体のオークを倒した事になる。

それに加え、1つの集落に上位種が4体もいる事からこの森は本当に異常な事態が起こっているとしか言えない。


ここを潰したとしても、まだ9つの集落が存在するとなれば悪夢であってほしいと願う者もいるかもしれない。

しかし、現状の士気は高く、悲観的な言葉を口にしないのはレイラインの指揮やレグといった精神的な支柱の他に、ここまで大きな被害もなく事が運んでいるからだと思われる。


それに関して、俺の存在が大きい事は言うまでもないだろう。

僅かな数を除けば、A班の冒険者達の俺を見る視線はとても好意的で信頼の籠ったものだ。


俺が率先して先陣を切ってオークを撹乱し、魔法使いの攻撃魔法の後で他の者達が一斉攻撃を仕掛けるという役割分担の中で、彼等は俺の実力を知り心強く感じた様だ。



「ブゴォーーーー!」

「ボゴォーーーー!」


ふぅ、上位種のおでましか。


「上位種が来たぞ!」

「全員下がれ! レイライン様!」

「陣形を維持しつつ魔法使いは攻撃準備を! ヨシタカ、いける?」

「俺がやらなきゃ誰がヤる? 任せろ、随分と楽をさせてもらったから、だいぶ体力も回復してる」

「みんな! もうひと踏ん張りよ、ヨシタカの邪魔だけはしないように気をつけて!」


『おう!』


ステータス的には体力も魔力も大して回復はしていないが、楽をさせてもらったのは確かだ。

呼吸も落着き、冷静に刀を振るう事が出来ている。


「レイライン、上位種の奥にオークが6体避難している。余裕があれば誰かを向かわせてくれ」

「もしかして貴方、感知系のスキルを持っているのね?」

「まあ、そんなところだ」

「本当に多才ね。分かったわ、奥のオークとやらも任せてちょうだい」

「ああ」


レイラインと会話をしている間に、上位種はその姿をハッキリと捉える事が出来る距離まで近付いていた。

距離にして約40メートルか、内訳はオークリーダーが3体とジェネラル。

俺自身としては最初から内訳を知ってはいたが、スキルの確認が取れたのはこの距離になってからだ。


(助かった……)


俺達の視線の先にいるオークの上位種達。

神眼で確認したところ、俺が最も危惧する覇気を持つ上位種はいなかった。

オークジェネラルと言えど、覇気を持つ個体に出会う方が確率的には低いはずだが、短い期間に何度も覇気持ちのジェネラルと相対しているので、どうしても警戒心が強くなってしまっている様だ。


「レイライン、攻撃魔法を頼む。その後、俺が突っ込む」

「解ったわ。貴方が有利だと判断したら、数人を残して私達は奥に向かうわ」

「ああ、それでいい」


魔法使い達の援護があれば、それだけで十分だ。


「魔法使い! 攻撃魔法を用意して! 」


『はい!』


魔法使い達が攻撃魔法を放つ為に詠唱を始めた。


俺は【万物創造】の恩恵で詠唱はしないが、普通の魔法使いとしてはこれが当たり前の事である。

詠唱として唱えている内容は中二病全開のこっぱずかしい内容だが、当の本人は真剣だからからかうなんて事は出来ない。(笑いを堪えるのが大変だ……ププッ)


オークリーダーが30メートル付近まで近付いた辺りでレイラインが叫んだ。


「撃てー!」


『アイスランス!』

『ウインドランス!』

『アイスバレット!』

『ウインドランス!』

『ウオーターランス!』

『ソニックブーム!』

『サンダーアロー!』


20人はいないだろうが、普通で考えれば相当な数の魔法使い達が一斉に魔法を放った。

流石にオークリーダーだって、これだけの数の攻撃魔法を喰らえばただでは済むまい。


「行かせてもらうぞ!」


オークリーダーの現状を確認する前に飛び出す。


3体のオークリーダーを倒せるとは思ってはいないが、十分な隙を活かさない手はない。


俺が飛び出した瞬間、俺の背後から何かが俺を追い越して飛び出していった。


(何だ! 誰が飛び出したんだ⁉)


よく見ると剣を構えて進んでいる。功を焦った誰かが飛び出したのかもしれない……。

美味しいチャンスではあるが、バカなヤツだな。


『イース!』


はぁ?


イースなのか?

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