第100話:いた!
数日間、投稿が出来ませんで申し訳ありません。
執筆はおろか、生活に欠かせないスマホの調子が悪く、ここ数日間は不便な毎日を送っておりました。
記念すべき本編の100話目です。
記念的な投稿を用意しておりましたが、データが消えてしまいましたので、思い出しながら書こうと思います。
今後とも宜しくお願い致します。
(流石はレイライン、かな)
レイラインが率いるA班は連絡係が到着する前に、B班の襲撃集落の方向にジワジワとゆっくりと後退していた。
単純に後退するのではなく、少数のオークを集落から遠ざける様に誘き寄せ、前衛組と後衛組が連携して数を減らしているのが分かった。
1つ気になるのが、1人の冒険者が少し前に出過ぎて孤立しそうになっている事かな。
ある意味、この1名がオークの注意を引き付けていると考えれば、作戦としては納得がいく。(なかなか度胸のある冒険者だな)
◆◆◆◆◆
走ること約10分。A班が後退していた事もあり、思ったよりも早く合流できた。
魔法使い達の後ろ姿を捉え、速度を落とし近付いた。
「大丈夫か⁉」
『?!』
「C班のヨシタカだ、加勢する!」
「待っていました!」
「お願いします!」
「イースを頼む!」
どうしたんだ⁉
俺からしたら順調に事が運んでいると思うのに、ここの魔法使い達の雰囲気は切羽詰まった感じしかない。どういう事だ?
「レイラインは何処だ⁉」
大きな声で問いかける。
「あそこです!」
女性魔法使いが指を指して場所を教えてくれた。
丁度、一斉に攻撃魔法を放つタイミングだった様で、レイラインに近付きながらそれを見る。
『ウインドランス!』
『アイスバレット!』
『ウオーターランス!』
『ソニックブーム!』
『サンダーアロー!』
A班には魔法使いの精鋭を集めただけに、その威力は圧倒的だったし、効果的にオークの数を減らしている。
「レイライン!」
俺の声に振り向くレイライン。
「ヨシタカ!」
側に行き、現状の確認をしようとしたら、レイラインが声を発した。
「イースを助けて!」
「どうしたんだ!」
「あの子が指示を無視して孤立してるのよ!」
はぁ?
って事は、やはりあの奮闘していた1人は作戦としてではなく、実際に孤立していたのか! それも指示を無視して……。
イースって一昨日の晩に絡んできたアイツだろ?
「分かった、他のオークは大丈夫か?」
「今のところは大丈夫よ。イースのフォローに回してるユインとシュウが戻れば何とかなるわ!」
「もう少し待ってろ!」
レイラインに告げ、イースの元へ急ぐ。
イースの場所へ真っ直ぐに向かえば時間はかからないが、レイラインやA班の冒険者達の邪魔をしない為に、少し迂回する。
マップでイースの居場所は把握しているが、レイライン達の本隊から離れ、完全にオークに囲まれている。
ユインとシュウ、それを護衛する冒険者の反応もあるが、イースを囲むオークの多さが尋常ではないからか、対処しきれていない様だ。
「ユイン! シュウ!」
「ヨシタカさん?!」
「来てくださったんですか⁉」
「大丈夫か?」
「私達は大丈夫ですけど、イースさんが……」
「イースさんが危ない状態です」
「その様だな、何があった?」
イースを囲むオークの姿は見えるが、肝心のイースの姿がオークの集団により確認出来ない。
マップでも12体のオークがいる事が分かった。並の冒険者ならば絶望的な状況だが、生き残っている事からイースの実力の高さが窺える。
「俺もやれるって言って飛び出したんです」
「どうやら、ヨシタカさんへの対抗心があった様で……」
「ウチのイースがスミマセン……」
「申し訳ねえ……」
「済まない」
誰かと思ったら、イースのお仲間か。
「話は後だ。取り敢えずイースの周りにいる豚を何とかするぞ」
「あの数ですよ?」
「そうです、我々もそれに苦労しているのです」
だから?
「俺が行く。適当に援護してくれ」
言い残して飛び出す。
あそこにいる12体のオーク、レイライン達が相手をしている8体のオーク。そして奥にいる18体のオークと4体の上位種。
イースのアホに時間を取られる訳にはいかない。さっさと倒すだけだ。
イースを囲むオークの集団に突っ込み乱暴に切り伏せる。
首や顔を狙う余裕はもう無い。栄養ドリンクなんて気休めでしかない。
このA班に合流する為に走っただけで、ステータスを確認するまでもなく体力を減らしている。さっき確認したら4割を切っていた。
体力の事なんてどうでもいいが、魔力量の方が深刻だ。
俺の魔力量は常人の域を超えているが、火装炎武とエリアリフレッシュヒールと言う規格外の魔法を使用した事で、正確な残量は57となっている。
サンダーアローで8、サンダーランスで15という消費を考えれば、通常のオーク相手に魔法を使う余裕はない。
今日、この後で何が起こるか分からないので、上位種を相手にする際でも火装炎武は控えたい。
「イース! 大丈夫か!」
……。
返事が無い。生きているはずだが、無数のオークの身体が壁となり、未だにイースの姿を確認出来ないでいる。もどかしい……。
邪魔なオークを数体倒すと、俺に視線が集まる様になり此方に向かってきだした。
神気刀で心臓をひと突き、袈裟斬り、真横に振るって腹を深く切り、首をはね一心不乱にオークを蹴散らしていく。
いつもは雑魚でしかないオークでも、これだけの数を相手にするには俺のコンディションが悪すぎる。
連中の動きは完全に見切っているのに、攻撃をかわす動作が鈍い。身体が重く、思うように動いてくれないのだ!
(クソっ!)
「ゴビッ!」
俺を襲ってきたオークを全て倒せた。
「ハァハァ、ハァ、イース!」
(いた!)