第99話:流石はレイライン、かな
昨日も投稿出来ず、申し訳ありません。
昨日でだいぶ落着きましたので、年内は無事に投稿を続けて行けそうです。
今後とも宜しくお願い致します。
「魔法の合図はヨシタカがやる! 新人にだけ任せる様なヤツはいないハズだ! ここは先輩の意地を見せるぞ!」
『オオ‼』
『やってやるぜぇ‼』
『俺らをナメんな‼』
威勢のいい声が聞こえる。無茶な魔法を試した甲斐があった様だ。
(タナトス様、クラウちゃん、ありがとう)
感謝の想いが届くか分からないが、2人の神様に感謝せずにはいられなかった。
どういう理屈かは解らないが、さっきの魔法の消費魔力は100を余裕で超え、残りの魔力は100を切った。体力も5割強といったところだ。
時間さえあれば魔力回復強化の恩恵もあり、目に見えて魔力は回復するが、今はその時間が無い。もっと魔力が欲しいと切に願ってしまう。
俺の現状では火装炎武は使えない。使ったら魔力が底をつくだろう。
A班での戦闘を考えれば、魔力は温存しておくべきだろうな。
オークとの距離が50メートルを切る。
「魔法使い! 攻撃用意! ありったけの威力をこの1発に込めろ! 最大火力でぶちかませ‼」
魔力感知のスキルを持たない俺でも分かる程に、周囲にいる魔法使い達の攻撃用の魔法に魔力が込められていく。
「まだか⁉」
「まだなのか⁉」
しびれを切らせたヤツが声を発する。(焦るなよ)
「撃てーーーーーー!!!!」
『アイスアロー!』
『ソニックブーム!』
『ウォーターランス!』
『ストーンバレット!』
『ウインドランス!』
10数人の魔法使い達がそれぞれに攻撃魔法を放つ!
それと同時に俺は飛び出した。
「ヨシタカ!」
『ルーキー!』
「先に行くぞ! オークの死骸を回収しに戻って来るから頑張れよ!」
俺は全員で同時に突っ込むとは言ってない。
「ヨシタカに遅れるな! 突撃! 突撃! 突撃ー!!」
「あのヤロォーー!」
「ざけんなぁーー!」
「ぶっ殺してやらぁ!」
「覚えてろぉ!」
先程の魔法による一斉攻撃は先頭を進んでいた数体のオークを倒し、直ぐ後ろにいたオークの足止めになっていた。
この一団の数は20ちょい。決して多くはないし、俺の役割りは上位種のみ。
さっきの無謀な回復魔法を強行出来た大きな要因は、この集落の上位種にある。
雑魚であるオークの先に待機している上位種は3体。種別は3体ともオークリーダーだ。
オークリーダーならば、覇気の心配は無いだろうし、神気刀の一振りで両断出来る。
さっさとヤっちまおうか!
横たわるオークの死骸を踏みつけ跳ぶ、更に目の前のオークの頭を踏み台にして一気にオークの一団を飛び越えた!
膝を使い、着地の衝撃を和らげて後ろを振り向き、置き土産がてら1発お見舞いする。
「サンダーアロー!」
俺の存在に気がついていないオークの後ろから、6本の雷の矢が襲う。
倒したかどうかも確認する事なく、オークリーダーのいる場所に向い駆け出した。
今回は避難しているオークはいないので、後ろのオークとこの先にいるオークリーダーを倒せば終わりだ。
20体を切ったオーク相手ならば、70人もいる冒険者連中で大丈夫だろう。
(見えた!)
3体のオークリーダーが並んでゆっくりと進んでいた。
1体は少し身体が大きく見えるが、神眼によると3体共がオークリーダーで間違いなかった。
俺の中での予定よりも時間を食っている、ここは死骸の状況なんぞ気にせず瞬殺だ。
「ブフィーーーー!」
「ブゴォォーーーー!」
「ブビィィーーーー!」
アチラさんもやる気に充ちている様だ。俺にとっては好都合だな。倒したい相手が逃げずに向かって来てくれるんだから。
「ウオラアァーーーー!!」
飛び上がり、神気刀を上段に構え右のオークを唐竹割りで真っ二つにして後方へ跳ぶ。着地と同時に真ん中のオークへダッシュ。
2体のオークが俺に攻撃をするべく棍棒を振り上げるが、それを最小限の動きで避け、標的にしていたオークリーダーの左腹を深く切り裂きつつ通り抜ける。
(あと1体……)
「ボゴォオーーーー!!」
(凄い声だな)
相当怒り狂っているようだ。顔や身体が興奮して赤くなっている。
「お前なんかに時間を取られる訳には、いかないんだぁ‼」
真っ直ぐ突っ込み、豪快に袈裟懸けの様に斜めに深く神気刀を振るう。
「ブ、ゴッ」
オークリーダーが口から血を吐き出し絶命する。
「終わっ、た……。ハァハァ、ハァハァ」
体力の消費が著しいからか、息が荒く身体が重い。ここまでの疲労感に襲われたのは、この世界に来てからでは始めてだ。
ぴと
エリアスが肩に乗り、その身体を俺の頬にくっつける。
ちょっとひんやりして気持ちいい。
「どうした?」
すりすり
「心配してくれてるのか?」
なでなで
可愛いヤツだなぁ。
「エリアス、俺は大丈夫だ。ありがとな」
アイテムボックスからぶどう味の飴を出してエリアスにあげる。
ふるふる
「俺も栄養補給しとくか」
万物創造で栄養ドリンクを出す。
ファイトが1発でお馴染みの栄養ドリンク。ちょっと奮発して高いヤツを出した。
コンビニで買ったら400円弱もするヤツだ。消費魔力は7と、今の俺にとっては少なくないが、もうひと踏ん張りするから良しとしよう。
栄養ドリンクを飲む際に、プラシーボ効果ではないが、自分自身に言い聞かせて飲むのが効果的らしい。
ゴクゴク
(これを飲んだら体力が戻って元気になる。高い栄養ドリンクだから効果抜群だ)
ゴクゴク
(これを飲んだら体力が戻って元気になる。高い栄養ドリンクだから効果抜群だ)
ゴクッ
(よっしゃ! やったるぞ!)
「行こうか、エリアス」
ぴょん
エリアスが定位置に戻り、脳内マップでレイライン達のA班の場所を確認し走り出す。
森の中でも、普段の俺なら10分程で到着で出来そうな距離ではあったが、脚が重いので10分よりも少しかかりそうだ。(もっとレベルが上がっていれば!)
昨日は魔力が直ぐに回復する事を残念に感じたが、今は魔力の回復にかかる時間がもどかしくてしょうがない。
森を駆け、A班に少し近付いた事で戦況が少し掴めた。
(流石はレイライン、かな)




