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あいさつ

作者: 照田
掲載日:2016/07/01

投稿の日がばらばらですみません。


これからもこんな感じでやっていきます。

猫は自分の死が近づくと何も告げずにいなくなるという。


あまり信じていなかったが、どうやら本当のことらしい。

親も、友人も、知り合いも、兄弟もみんないなくなった。

何も告げずに。 いなくなってしまった。

一言、言ってくれればいいものを。

帰ってくると信じて、待っている者の気持ちも考えて欲しいものだな、まったく。


だから私は、いなくなるということを告げに行く。

友人に、世話になった人間に、知り合いに。


橋を渡って、裏路地を通りすぎ、猫の集会所も通りすぎ、またもうひとつ橋を渡った三軒目の青色の屋根の家。

居るんだろうか、あいつは。


「おい。」


聞きなれた声。あいつだ。


「何してるんだ?昨日会ったばかりじゃないか。いつもなら、もう少し経ってから会いに来るのに。」

少し不思議そうな顔をして言うコイツは、いつもと同じ。

何も変わらない。今も、これからも。

「なに、ちょっとあいさつにね。」

「あいさつ?」

「あぁ。近々この街を出ようと思ってね。それであいさつに」

「ほう、それはいいな。いつ頃帰ってくるんだい?」

「いや、帰ってこないかもしれない」


その言葉を聞いた途端、彼の表情が曇る。

すると、何かを察したのか、途端に泣きそうな穏やかな笑みを浮かべ始めた。


「....そうか、どこに行くつもりで?」

「さぁ、どこだろうな。まったくわからない。」

「なるほどな、お前らしい。」

「だろ?じゃあ他の奴らにもあいさつをしにいくから。じゃあな。」

「あぁ。良い旅を。またな。」


その言葉を背にまた歩きだす。悲しそうな鳴き声を無視して。


少し歩いて、猫の集会所に到着。

土管の上で空を見ている、茶色の毛並みの猫。

こちらの気配に気づいたのか、ゆっくりと頭をおろして、土管から降りてくる。


「やぁ、今日、集会はないはずだけど。どうしたの?」

口調から物腰の柔らかさが伝わってくる。


「いや、少しあいさつに。」

「あいさつ?なんの?」

「近々、旅に出ようと思ってね。そのあいさつに今日は来たんだ。」

「ふーん.....」

興味があるのか無いのかわからない物言いをする。

コイツもいつもと同じ。何も変わらない。


「そうかい。楽しんでこいよ。土産話、楽しみにしてる。」

「あぁ、楽しみにしといてくれよ。」


振り返り、その場をあとにしようとすると背後から、感情の読み取れない声でこんな言葉が聞こえてきた。

「逝ってらっしゃい。」


少し間をおいて答えた。


「逝ってきます。」


∞∞∞∞∞∞∞∞


猫は、自分の死が近づくといなくなるという。

その行為の意味がわからなかったが


なるほどな

仲間に別れを告げるのは悲しい。それも一生の別れを。


あぁ、貴方たちはこんな気持ちだったのですか?

仲間の前から消えるのは。

もう、会えないと、覚悟するのは。

悲しい。悲しくて寂しい。


いや、でも私はあいさつをして皆の前から消える。

心残りはない。

最後に顔が見れたから。話せたから。


死が一生の別れではない。

また生まれ変わって、どこかであうかもしれない。


「今の自分がしていることは、前世の自分がしていたことである。」


どこかで聞いた、雑学。


前世の自分と同じ行動をとるのなら、前世で知り合った仲間とも会うはずだ。

だから、このあいさつはしばらく会えないという報告。

また会おうという約束。





来世の自分に期待して

また会おうという約束を守って












では、またね

お元気で




















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