とあるスピードファイターのお話3
予約投稿となります。
商業施設なのかどうかは置いといて。
訓練所のドアを開ける。
「らっしゃーい」
カウンターには、いかにも気前の良さそうなおっちゃんが。
どうも、って感じで頭を下げる。
「嬢ちゃん、初めて見る顔だな。冒険者希望か?」
「はい、そうです」
もう訂正すんのめんどいから女子で通す。
「覚悟はあるって顔してるな、よし。」
女子で通す覚悟をした顔です。
「1時間50Gだ。詳しい説明はいるか?」
「お願いします。」
「おっし、ならついてきな。」
そう言って店の奥へ進んでいく。
6つある扉の一番左のドアに向かって歩いていく。
一つドアを開ければ…そこには教室ほどの大きさの空間が。
そしてその奥に人間の子供ぐらいの大きさの人魚が3体。
「じゃぁ、説明するぞ?分かんない事は最後にまとめて聞くから。」
おっちゃんの説明をまとめると。
1.人形はゴブリンの行動を主にインプットしてある
2.難易度設定ができ、初心者から上級者まで楽しめる(?)そう
3.「戦闘開始」「戦闘終了」の二言で動き出したり止まったり。
4.戦闘ログは扉横のモニターみたいなのに表示されるらしい。詳しい仕組みはおっちゃんも知らないって
5.時間が来たらおっちゃんが呼びに来てくれるそう
ぐらいかな?
あとは、ゴブリン以外にもコボルドとかオークとかの場所もあるそうだ。
まぁ、今の俺にはまだ早いかな。
「それじゃ、料金は貰ったし頑張れよー」
と言って出ていくおっちゃん。
さて、はじめての戦闘になるわけだけど。
俺はまず自分がどんなアーツが使えるか分かっていない。
スキル一覧を開いて派生ウィンドウのアーツ一覧を覗く。
使えるアーツは…
ステップLv.1 初期技能
使用者のSPDを一瞬だけ上昇させる。
SPD上昇率:大
効果時間:一瞬
クールタイム:10秒
投げLv.1 初期技能
体術によって相手を転倒させる。
一部モンスターや、巨大モンスターには効果なし。
難度:高
発動条件:動作、条件
韋駄天の一撃Lv.1 韋駄天初期技能
速さを追い求めた者しか使えない技能。
その速さによって打撃を繰り出す。
攻撃値:SPD依存
発動条件:基本攻撃動作
消費MP:0
ふーむ。
ステップと投げはみんな使えるから置いといて、韋駄天の一撃かぁ。
基本攻撃動作が発動条件だし、一回やってみるか。
膝を軽く曲げてファイティングポーズ。
からのパンチ。
ヒュッ
は?
え、もう一回。
ヒュッ
え、ちょい待ち。
自分の拳が目で追えないんだけど。
動作をした感覚はあるのに、気付いたら手が前に出てると言うよく分からない状態。
あと音が完全に空気を切ってる。
縄跳びとかこんな音するよねって感じの。
1発ゴブリンを殴ってみる。
パァンッ
痛ってぇぇぇええええええ!
手が!手が壊れる!
あかん、これはあかん。
篭手いるなぁ、でも装備スキル無いからなぁ…
どうしよ。
ま、ものは試しだ。
買ってこよ。
と思ったらおっちゃんが貸してくれた。
どうやら武器の貸出もしてたようだ。
しかも無料で。
気前良すぎ。
さて、借りた篭手だが。
初心者用篭手 評価.1
STR+5
衝撃吸収Lv.1
初心者が扱いやすいように作られた篭手。
攻撃力はさほど高くないが、扱いやすさ故に駆け出し冒険者には重宝される一品。
だそう。
確か武器スキルがない場合、マイナス補正がかかる。
何にどうマイナス補正がかかるのかは書かれていなかった。
検証も兼ねれるわけだな。
痛いけど我慢して、素手でもう一度ゴブリンを殴る。
パァンッ
マジ痛い。
右手をさすりながらモニターの所へ。
そこには。
与ダメージ:100
相手防御力:6
最終与ダメージ:90
優秀過ぎた、この装置。
この攻撃が強いのかどうかは分からない。
さて次だ。
篭手をつける。
お、軽い。
そして、殴る。
ドッ
重い音、痛くない。
やば、ダメージ云々置いといてずっとつけていたいわ。
与ダメージ:100
相手防御力:6
最終与ダメージ:92
マイナス補正どころかむしろ上がってるんですけど。
ナニコレ。
ちょっと良くわかんない。
おっちゃんを呼び寄せる。
「おっちゃーん、ちょっと来てー」
「んーなんだー?」
暇なのか?すぐ来てくれた。
「おっちゃん、Lvいくつ?」
「んーと、38だな。これでも昔冒険者だったからな。」
低いのか高いのか。
参考程度に聞いたSTRは200程度だった。
「一回あれ素手で殴ってもらえない? 」
「おう、いいぞ。」
ドンッ
っていい音。
「痛ってぇな、しかし。」
ダメージの方は。
与ダメージ:121
相手防御力:6
最終与ダメージ:112
あっるぇ?
レベ差あるのに?え?え?
「お、どした?」
俺がポッカーンとしてたらおっちゃんが心配したてしまったようだ。
「あ、あぁ大丈夫。今度は篭手で殴ってもらえませんかね?」
「武器特性無いけどいいのか?」
「ハイ、お願いします。」
「俺サイズの持ってくるからちと待ってな。」
やば、これはやばい。
Lv差、数字にして37。
与ダメージ差、数字にして21。
韋駄天の一撃強過ぎ。
SPDそのまんまダメージにしてやがる。
「これで殴ればいいのか?」
うん、と頷く。
「オラッ!」
ドンッ
いい音ですなぁ。
さて数字は。
与ダメージ:47
相手防御力:6
最終与ダメージ:30
半分以下かよもうわけわかんねぇ。