とあるスピードファイターのお話17
日付的には2日連続ですよ!
あ、あと結構勢いで書きましたんで文章が少し雑です。
ので修正する可能性が高いです。
修正したら前書きに書きますねー。
それから、カノンらが帰ってくるまでニコニコ笑顔を絶やさない翡翠石と対峙していた。
実に7分38秒。
扉が開いた瞬間に翡翠石がストローをサッ!と隠したので助かったというわけだ。
「また後でね?」
助かってませんでした。
「やっほー!妃翠さん!」
両手にはいっぱいの屋台で買ったであろう食べ物が。
あんだけ食えるのか?
「予選突破おめでとう!妃翠くん」
「おめでとー!」
笑顔のガーネットと無言の拍手のパール。
それぞれの個性が出たおめでとうだ。
「ありがとー」
余裕で突破する予定だったけど。
「そういえば最後のアレ!何ですか!?」
んー言うべきかなぁ…
「私は、妃翠くん専用スキルツリーのアーツだろうなーと思ってるんだけど」
「専用ってなんすか」
「極振りする人なんて君ぐらいということさ」
「的を得ている」
そんなこんな、ワイワイと過ごす。
「次は私とカノンの試合かー」
「もうすぐっすよ」
「妃翠さん!見ていてくださいね!?」
「みすりるの試合楽しみだなぁ」
「露骨!」
「リプレイあるからいいじゃん」
「良くないです!」
「ベータテスター最強の戦いは楽しみだなぁー」
「ゔっ!」
「あ、時間だ」
「「え?」」
2人は光の粒子となって消えていった。
「いってらっしゃーい」
あれ、残りの三人の姿が見えない。
「あれ?しんじゅとパールとガーネットは?」
「みんな外に行ったわよ?」
早くね!?
「じゃあ俺も外で…」
「ダメ」
「持ち物の整理を…」
「ダメ」
「自室で寝た…」
「ダメ」
わぁ凄いいい笑顔。
俺は一時間近くこのドキドキと戦わないといけないのか。
――
ベータ版の時、極振りに挑戦した人はかなりの数がいた。
だけど、まともに動けていた人はいなかった。
いや、動けてはいたけどみんな欠点があった。
STRに振れば、足の速さとスタミナが一般人にも劣るレベルになる。
かといってVITに振れば攻撃力が究極的に不足するし、SPDに振ればスタミナの問題でその速度を発揮する前に撃沈する。
そして、正式サービス開始時にはテスターは当然、新規参入者の中でも極振りは不可能という結論が出ていた。
システム的に、動けたものじゃないと。
だけれど、彼はそんな常識をぶち壊した。
まぁ彼だからそれが出来たのだろうけど。
「全く、やってくれるなぁ…」
誰に伝えるでもなく、一人つぶやく。
一応これでもベータテスター最強の肩書きを持っている。
それに、今はギル長でもある。
それなりのプライドがあるってことさ。
あの疾風怒涛には敵わないけれど、それでもこちらには取っておきのアーツはある。
ベータテスト終了間近で会得出来た、未だに(といっても1週間と少しぐらいだが)攻略Wikiにも載っていない、恐らくまだ自分しか持っていない、大盾のアーツ。
本戦で彼と当たった時の起死回生の一手になり得るこのアーツ。
これを彼にぶつけるためにも、そして勝つためにもこんな所で負けているわけには行かない。
そんな決意とともに、目を開ける。
「せっかくの公式大会だ!楽しもうじゃないか!」
――
んー、流石みすりる。
ベータテスター最強の肩書きは伊達じゃない。
50人が入り乱れる乱戦で、(盾や鎧に大小の傷は多いが)体力は一割程度しか減っていない。
四方八方からランダムに飛んでくる斬撃や打撃。
それら全てを盾で剣で時に鎧で、受けるんじゃなくて、受け流す。
その洗練された動きはまるで舞のようだ。
まだこのゲーム始まって間もないのになー。
境地に達するのが早すぎないですかね、あの人。
センスかねぇ…。
なーんて色々と考えてるうちに、試合は終わってた。
まぁ当然のように勝者はみすりる。
最終体力は8割だった。
ポーション使ってなさげだし、やばいなあれは。
俺はみすりるの防御を突破出来るのか?
基本防御力無視の攻撃ができる俺だけど、それは数値の話。
ああやって受け流されたら綺麗にダメージなんて入らないだろう。
それで時間を稼がれたら終わり。
何故かって?
俺は10分以上の継続戦闘が出来ないのだ!
スタミナの問題でな!
うん、初めて極振りの弊害を受けたね。
だから、予選ロワイヤルもさっさと終わらせたのだよ。
受け流されてもなんとかダメージを確実に入れたいなぁ…
ってかみすりると当たりたくないなー。
当たるとしても決勝がいいなー。
なんて祈りながら、何故か膝枕をすることになってしまった翡翠石の無防備な耳をくすぐってみるのだった。
「ただいま…って妃翠くん、何があったのかい?」
「いや、ちょっと足を滑らせて顔をぶつけてしまいましてですね……」




