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消えた新米歯科医

作者: 恋音

奥歯に黒い部分がある、そう気づいたのはつい最近のことだ。大したことはないだろうと思って歯医者さんに行ったら、まぁ大変。虫歯は大きくなっていて、早急に処置が必要とのこと。そんな馬鹿な!と思ったが、レントゲンは嘘をつかない。仕方なく私は受け入れた。

でも、待ってくれ。確か1年前にこの病院で、新米歯科医が全ての虫歯を治療してくれていたはずなのだが。しかも、検診は1年に一度でいいと言っていた。何故なんだ。私の頭の中には、「血みどろのはてなマーク」が溢れていた。きっと、あいつだ。あいつが適切な処置をしていなかったせいで、私の歯はボロボロになったんだ。

「Y先生に適切に治していただいていたはずなんですが」私がそう伝えると、担当医医師の顔はこわばった。「あぁ、あの子か。きちんと治療してくれていたのかな?Y本人に確認してみますね」

家に帰ってテレビをつけると、いつも通りニュースが流れてた。ん?画面右下に映る坊主頭の顔。見覚えがある。白衣だけが画面から浮いたように見える。あまりの初々しさ。彼は亡くなってしまったのだ。

「ついに犯人が捕まりました」とレポーター。犯人は、某歯医者で院長を勤めるA氏とのこと。

A氏?私の担当医師ではないか!

殺害理由に関しては、「私の息子としたことが、虫歯1本も治療出来んなんぞけしからん」と一言述べたそうだ。

これはおそらく私のことだろう。私としたことが。私が余計な一言さえ言わなければ、あの新米歯科医も、今頃父親と共に患者の治療にあたっていただろうに。しかし、そうなるとどうだろうか?また、私のように虫歯の治療を適切に行ってもらえず、やり場のない怒りを覚える患者も出てきたのではないだろうか?そう考えると、なんだか複雑な気持ちだ。

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