第一話
初めまして堕落賢者です。よろしくお願いします
ファンタジー系は初めてなので投稿は遅くなりそうですが末長くご愛読していただけたら嬉しいです
???の森
「…やべー」
自分の状態を見て苦笑いをする。右手左足を失って大量の出血、体が震え、極度の眠気が襲っている
「ここで寝てしまったら、絶対死ぬよな…」
今いる場所は夜の森の中、巨木にもたれかかって座っている
「眠ぃ…」
気温が低い、体温を奪っていくことで低体温症が起こる
「ここで死ぬのか…」
絶望する。仲間に裏切られ見捨てられ死んでしまうことに
だめだ、無理だ
眠気に抗えず目を閉じてしまう
起きろ!寝たら死ぬぞ!!
自分自身を鼓舞するが、抗えない
……だめ…か
気が遠くなる、体が軽くふわふわした気分になる。起きられない。
…この世界に来させられて…しまいには…死ぬのかよ
今までのことを思い出す。異世界に召喚されるのは良かった、だけどこの世界は実力主義の世界だった。力を持たない彼にはとても無理な世界だった
このまま、死を待つだけ……絶望し体が動かず魔力も痛みで制御できない…
「何もできない」
呟く、そのあとはただ死を待つ。目を開ける気にもなれず閉じたまま
不意に
〈小僧が何を偉そうなことを言っておるのだ!〉
!?
誰もいないはずの森、それなのに声が聞こえた
なんとか目を開け見渡す
…どこに…いる?
〈どこにいるじゃと、何を言っておる。目の前にいるではないか!〉
前を見る
とうとう、疲労で幻聴でも聞こえたかな
目の前を見ても誰もいないことを確認すると再び目を閉じる。もう開けることは無いだろう、と思いながら
しばらくすると
〈いい加減起きんか!〉
耳元で怒鳴り声
驚き目を開けると
白い世界にいた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
県立雷原伊高等学校2年4組教室内
「次の授業なんだっけ」
「次は数学よ」
「昨日の番組見たか」
「ああ、〇〇〇助が出てたやつ」
「そう、それ。すごかったよな」
「ああ、あれはやばかった」
昼食の時間。生徒たちが各々の話をしている。そんな中、小説を読む男子生徒がいた。彼の名前は古田和仁。ちなみに読んでいるのはライトノベルだ
いや〜、新しく発売された落〇騎士おもしれ〜
カバーで表紙が見えないが先日購入したラノベだ
そういや次の授業、数学て小テストあったような…まあいいか
数学の成績は悪いわけではないがいいわけでもない。今回みたいに予習をサボるためだ
「まぁ次の小テストで頑張ればいいか」
思わず呟いた
「頑張れば…なんて言ったの」
「!?」
背後から声が聞こえ、振り向くとそこにはこのクラスの学級委員の富原美里が居た
おそらく呟いたのが聞こえたのだろう苛立ちを感じる声のトーンだった
「富原さん…」
この人は苦手だ。見た目は好みのロングヘアでザ・クール委員長てな感じなんだけど、なぜか今回のように小テストの前の休みの時間に何かと話しかけてくる。ほとんどの内容が「予習をしなさい」だ
「なに?名前だけ呼んで何かようだった」
「いや、ないけど…」
「だったらこっちが言わしてもらうけど・・・」
「ていうことだからしっかり予習しなさい」
あんたはオカンか!
心の中で叫ぶ。あの後約5分間説教された。周りの男子からはチッ、と舌打ちが聞こえるし女子からはまた説教されてるわよ…笑い話にされていた
なんで説教されなきゃいけないんだ
そう思うが
「返事は!!」
「は、はい⁉︎」
思わず返してしまう。結局、予習をし授業を受けることにする
30分後
「よーし、それじゃあ小テストを行うぞ。言い忘れていたがこの小テストで点数が悪かったやつは放課後、先生の手伝いをしてもらうからな〜」
ざわ!と教室が騒ぎ出す
「え⁉︎マジっすか」
ある男子生徒
「マジだ」
そう返す先生
「それはないっすよ」
もう1人
「あー、ごちゃごちゃうるさい。もう決定したことだから諦めろ」
「「えーーー」」
良かった予習しておいて。富原さんに感謝だな
約2名の男子が騒いでいるなか、和仁は思う
放課後
「くそーーー手伝いだ。最悪だ!代わってくれないか、カズ」
「いやだよ、ケイ」
授業で小テストの平均を取れなかった男子生徒の1人にして友人の小野山啓太
「ならせめて一緒に手伝ってくれ、頼む!」
頼み込んでくる
ふざけんな!せっかく平均点、取ったのに!!
友人からの頼みに愚痴るが
「……手伝ってやってもいいが」
「お、マジでサンキュー」
「1回、〇ックを奢れ。それでチャラにしてやる」
「ハァ!ふざけん「じゃ、手伝わん」…わかりました奢ります」
こうして奢ってもらうことを条件として手伝うことにした
職員室
「失礼します、2年4組の小野山啓太です」
「古田和仁です」
「和田先生いらっしゃいますか」
「おう、小野山…と古田お前は…」
「こいつが『助けてくれ‼︎』て言ってたんで手伝いに来ました」
「は⁉︎そんなこと言ってねーぞ」
「そうか!すまないな。それじゃ早速頼もうとするか」
「え、先生俺そんなこと本当に言ってないんですが…」
先生が啓太の言葉を無視し教材が入った段ボールを運ぶ仕事を任された。なぜか富原さんと一緒に
「そういや、富原はテスト良かっただろ、なんで手伝いをしてるんだ」
啓太が聞くと富原さんは
「対象だった生徒が素早く逃げ…帰ったせいで人数が足りなかったみたい、それで私が手伝っているわけ」
「はぁ、なるほど」
今『逃げた』を言いかけてたよな…まぁ関係ないしいいか
「よいしょっと、これで終わりだな」
「お疲れさん」
「お疲れ様、それじゃ報告に行きますよ」
頼まれていた荷物を指定の場所に運んだ後、先生の元に戻った
「運び終わりました、これで帰れますよね」
あ、それ言ったら…
啓太が報告と同時に聞いてしまった
「ほう、早く帰りたそうだな」
「え?そりゃあもちろんですよ」
「そうか、じゃあ帰っていいぞ」
お、帰っていいのか、そう思う。
「本当ですか⁉︎」
啓太が確認すると
「ああ、いいぞ。古田と富原は」
「え…」
…やっぱりな
「よし、小野山もう少し手伝ってもらうぞ」
壊れた機械人形みたいにこちらを向く啓太。その顔は泣きそうな感じだ
「…な、なあ「手伝わんからな」やっぱり」
ガクッ、と顔を落とす啓太
「よし、それじゃあ古田と富原。今日はありがとな、先に帰っていいぞ」
「わかりました。それでは和田先生さようなら」
「さようなら」
富原さんの後に続くように挨拶をした
「おう、お疲れさん。また明日な」
そう返してきた先生。傍にいる啓太は羨ましそうにこちらを見ている……頑張れ、そう思うのであった
下校中
そんなわけで帰ることになったが、今思ったら富原さんと一緒だったことを思い出す。互いに何も喋らずただ歩くだけ
……重いわ⁉︎どうしようこの空気、何を喋ったらいいのか
何の話をしようか悩む和仁、そこで思い出す
「富原さん…」
「…ん?何?」
「今日、小テストのときありがとう」
昼食の時間、注意してくれたおかげで先生のアレを手伝わなくて済んだことに礼を言う
「別に良いわよ、そんなこと」
「はは、そんなことか」
ほんのすこしの話だったが空気を変えることはできた、そこからただの世間話から始まり互いにの趣味を話すようになっていた
「ヘェ〜、趣味は読書か…何を読んでるの」
自身も読書が趣味だから聞いてみたが
「そえはえっと…」
話すことを躊躇う富原さん。それを察して
「いや、別に言いたくなかったら言わなくて良いよ」
「そう、ごめんね」
「いや、別に謝らなくても良いって」
その後、話を変えて歩く
交差点の信号に捕まり変わるまで待っていた。そんなとき富原さんが
「話を変わるけど良いかな」
「ん?別に良いけど…」
(何の話だろう)
「えっとね聞きたいことがあるんだけど」
ちょっと顔を俯かせて聞いてくる
「古田君は好きな人いるの?」
「へ?」
予想もしていないなかった話に間抜けな声が漏れる
「今、何て?」
「だ、だから好きな人いるのって聞いてるの」
恥ずかしそうな声で聞いてくる。幸い周りに人がいないから聞かれていない
「す、好きな人ね」
「そう、で?」
顔を上げこちらを見つめてくる
「え、えーっと」
何とか話をずらそうと考えていると信号が青になった
「あ、そういえば富原さんってここまっすぐだよね。俺、ここで曲がるから。じゃ、また明日」
「あ、ちょっと」
ありきたりな口実で逃げる。その後いつもより10分遅く帰宅した
次回の投稿は未定です