表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

お前らもう付き合えよ………

作者: かぼちゃ頭

恋愛ものを書こうと努力した結果。

恋愛ものを書ける方、尊敬いたします、あい。


とある高校の昼休み。


やっと終わった4時限目の授業の用意を仕舞い込み、大きく体を伸ばす。

そうやって授業で固まった体をほぐしていると、教室の一角から聞きなれた声が聞こえてきた。


「純くん、これっ!!」

「おっ、サンキュー美穂」


声の正体は、池上純(いけがみじゅん)白崎美穂(しらさきみほ)ちゃんだ。


2人に視線を向ければ美穂ちゃんからお弁当を受け取る純。

若干頬をもみじ色に染めて渡す美穂ちゃんの姿は非情に愛らしい。


「お~い、(わたる)一緒に食おうぜ!!」


そうやって二人の姿を眺めていたら、純のやつが俺を呼ぶ。


「あー、はいはい」


俺と純、美穂ちゃんといういつものメンバー。

適当に近くの椅子を引き寄せ、2人の席の近くに腰を下ろし持ってきた昼食を取り出す。

純はすでに食べ始めており、美穂ちゃんがそれを嬉しそうに眺めていた。


この二人、純と美穂ちゃんは家の隣同士の幼馴染……というのをクラスメイトから聞いてはいたが同じクラスになって数か月。


もはや見慣れた光景になりつつあるが、最初これを見た時は驚いた。


『現実で弁当作ってくる彼女がいるのか……』と。


今どきの高校生の恋愛でそこまで行くなんて珍しい、というかまずいないだろう。

それも毎日作ってくるなど珍しいどころか、天然記念物並の絶滅危惧種である。


まあ、これ以上の驚きがその考えさえ打ち砕いたんだけどな……


「こっちをじっと見て、渡君どうしたの~?」


そうしてパンをかじりながらテキトーに2人を観察していると美穂ちゃんが話しかけてきた。

純のやつは美穂ちゃんお手製お弁当をバクバクと食っていやがる。


……純よ、せめてもうちょい丁寧に食べてやれよ。


「いや~、二人は仲いいな~って」


話しかけられた俺は、普通に考えていたことを伝える。

すると……


「そ、そうかな?エヘヘ……」


仲が良いと言われ嬉しそうに笑う美穂ちゃん。


いやぁ……、うん仲いいけどさ。

事実を知ってしまっていると、この美穂ちゃんの行動にさえ呆れを感じてしまう。


毎日毎日、純にお弁当を作ってきて仲良く二人でよく一緒にいるのに。


どうして!どうして!!


『『まだ付き合ってないんだ!?』』


俺だけではなく、クラス一同で思わず突っ込みたくなるこの事実に納得がいかない。

これを知ったときは正直顎が外れるかと思った。


いつもの様子から二人は付き合っているのだと誰もが思っていたのに……だ。

たまたま俺が美穂ちゃんとの関係を聞いたら、まさかの幼馴染という純の回答を聞いたときは俺だけでなくクラスにいたクラスメイトすら絶叫した。


「「「「嘘つけっ!!」」」」


クラスのほとんどが叫んだのに驚いた様子の純。

いや、驚いてんのこっちだから。

何お前がびっくりしてんだよ。


名物カップルなど他の学年に言われているのに、当の二人はまったく付き合ってない……など信じられるだろうか?


最初は全員冗談だと思っていたのだが、数か月も見ていれば流石になんとなく状況が分かってしまうというものなのだ。


すなわち……


『こいつら付き合ってるっていう自覚がねぇ!?』


付き合ってるのか?と二人に聞けば、付き合ってないという答えが返ってくる。

2人とも、ただの幼馴染と答え、クラスが発狂した。


考えてほしい。


毎日毎日愛妻弁当を作って貰って一緒に食べ、毎日一緒に登下校し、休日は二人で買い物や映画を見に行く………


これを聞いた俺は至急クラス会議を開いた、もちろん純と美穂ちゃんは除いてだ。


この情報を聞いたクラスメイト達のまず第一声はこれだ。


「「「「ふざけんなぁああああぁああああ!?」」」」


どこが、付き合ってないんだ!?

思いっきりラブラブのカップルじゃねぇか!!


一部の非リア充共から怨嗟の声が飛び出すなど、クラス全員がドン引きだ。

そしてその日の会議以降、クラスではある暗黙のルールが作られた。


『付き合っていることの自覚を促す』


という謎のルールにより、今まで散々試みられた作戦の数々。


やれ、空き教室に閉じ込める、さりげなく好きな人を聞いたりしてそれをもう片方に伝えたりと恋を自覚させようとしたのだが……


「ダメです、二人で協力して脱走されました」


「へー、って普通に違う会話に持ってかれました」


「やばい、美穂ちゃんのパンツがあと少しで……」


なんか最後の報告だけ違う気がするが、まあ尽く失敗したわけである。

というか最後のやつただのストーカーだろ。


そんな感じではや数ヶ月。

もはや若干諦めた感もあるが、この甘ったるい二人だけの空気を出しながら一緒に飯を食う俺の身にもなってほしい。


はぁ……、一体いつこの二人は付き合っていると自覚するのだろうか?

とりあえず、早急にこの甘ったるい雰囲気から脱出する案を求む。


そんなことを考えながら嬉しそうに話す二人の会話にちょいちょい混ざりながら、俺はパンを食い終えるのだった―――――――――





お読みくださりありがとうございました<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 無自覚萌え! 私はこういうカップルと、それを第三者目線で語るような話、大好きなんですよ! いや、ストライクでした。やっぱり学園ラブはいいですねー!初々しさが可愛いです! [気になる点] …
[良い点] 似た感じのカップルを見たことがある自分にとっては、非常に共感できる作品でした。 内容もスマートな感じで読みやすかったです。 [一言] 幼馴染はいて当たり前、の感じが強いのでしょう。自分は…
2014/10/26 01:06 退会済み
管理
[一言] なぜ二人は付き合わない!?付き合ってもすること変わらなそうだからイイけどさw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ