幕間(樹海よりの帰り道)
前回の話の中では蛇足になるだろう部分だったのでフジ樹海からアキバの街の帰りにあったことを書かせていただきました。
時間は少しだけ遡りアキバの街に帰るまでにあったほんのちょっとしたお話……
「さて、今日はこのくらいにして野営の準備でもしましょうか」
私は、もうそろそろしたら夕方になろうかという時間で野営の話を切り出す。
「そうだね、そろそろ準備しないと大変になるんだよな……」
ジリアン……ジルもしみじみと言う……まぁ、最初にフジ樹海に行くときに私が提案した時に『まだだ、まだ行けるよ』なんてネタなのかどうかさえわからない台詞を言いながら進んで後で暗い中で野営の準備が大変だった事でも思い出しているんだろう。私たち四人は早めの時間から野営の準備をした。
「さて、野営の準備も出来たのでわたしも少し訓練に行ってきますね」
私はエルダーワイヴァーンとの戦いでの戦いで繰り出した連続攻撃が普通に〈ビートアップ〉特技を使用しただけではできない物だった……あの感覚を自分の物にすれば十分な武器になる……そう考えて最近は自由な時間があれば暇を見つけては練習している。
「お~……精が出とるね~」
技を出し切ると声が聞こえたので振り返ると奈月さんが立っていた。
「奈月さんでしたか……はい、この前のアレを使いこなさないといけませんから……」
「そかそか~……それじゃぁ、ウチはここで作業させてもらおうか~」
「……作業?」
「そうそう、ほらこの前『神水晶の鏑矢』使い切ったやん?その補給をチョット……」
「わざわざ皆から離れてしなくても……」
「まぁ、チョット普通は人には見せない方がいいかな……と……」
そんな風に言うなら私にも見せないようにしたほうがいのでは……私がそう思っているのが顔に出ていたのか、彼女も少し不安そうな顔をしながら
「サクラちゃんにはこの前の刀でバレたかと思っていたんやけどねぇ……」
刀……この前……多分ワイヴァーンとの戦いの時のあの刀でしょうか。
「そそ、その刀」
いや、思考と会話しないでいただきたい……そうなると、あの刀に秘密があったんですか……
「ありゃりゃ……ホンマにわからんかったんか……しゃぁない、サクラちゃんだけには出血大サービスや」
そう言うと、奈月さんはアイテムを取り出す……が、本来神水晶の鏑矢には使わない素材アイテムだった……不思議に思っていると奈月さんはメニュー操作を行い神水晶の鏑矢を作り出したのだった……
「つまり……こういう事やね」
奈月さんは少しだけバツの悪そうな顔を見せ、苦笑しながらウィンクをする。彼女のサブ職業は贋作師だった。
「ほら、アキバの街って『贋作師』がなんか悪さしたらしいやん?せやから伏せといた方がいいかな~……って」
彼女なりに色々気にしての行動のようだ。
「そうだったのですか……」
そう言うしか出来なかった……
「まぁ、これからも仲ようしてぇな?」
「それは勿論大丈夫ですが、そのうちあの二人にも話してくださいね?あの二人も大丈夫でしょうから」
「そやね……うん」
彼女も少しだけ安心したのか落ち着いた表情に戻る。
「サクラちゃんやし、出血大サービスで新しい刀を造ったろか?」
「いいんですか?」
「勿論!ただし、材料は出してね~あと、どうしても造った物は耐久が弱かったり攻撃力が本物に及ばないものになるけどね~まぁ造れるレパートリーもそこそこあるから好きなのを言ってみて……まぁ、偽物が本物に劣るなんて思わないことやね」
「ありがとうございます。最後の台詞はアレですね」
奈月さんはニヤリととして
「そうアレやね」
二人して笑う
「そういえばサクラちゃんのアレって口伝ってやつやね」
「そうなんですかね?」
「そうやね多分間違いなく口伝やね、そうなると名前を考えんとね」
「名前……『スターバー……』」
「すとっぷ!それはあかん!」
え~……仕方ない他を考えましょう……
「まぁ、帰るまでに考えたらええんちゃう?」
「そうですね、モノにしてからにしましょう」
そんな話をしていると食事の美味しそうな匂いが漂ってきた。
「さて、そろそろご飯でしょうね、二人も待ってるので戻りましょうか」
私は奈月さんと二人の待ってる野営場所に戻る。
そして、後日私は口伝を使えるようになった……名前何にしよう……
今回もお付き合いいただきありがとうございました。
《口伝:名称未定》
舞踏家の<ビートアップ>という特技から発生した口伝、MPを常に消費するが盗剣士の<エンドオブアクト>よりも早く多く斬撃を繰り出せる。更に特技も一緒に使用する事も出来る。その際には特技のモーションも高速化される。更に、キャストタイム・リキャストタイム・使用後硬直はキャンセルできるがMPを相乗的に使うので使い方の難易度は上がる。