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冒険者家を買う?(前編)

よろしくお願いします。

やっと続きが書けました。

もしよければ読んで行ってください。

 天秤祭も終わってしばらくしたある朝、私が朝の散歩がてらに買った『アキバタイムス』という新聞を読みつつ宿で少し遅めの朝食を食べていると、ジリアンが目を覚ましたらしく、のそのそと食卓についた。


「おはよう、ん? 何を読んでるの? 新聞? 食べながら読むのは行儀が悪いよ〜おじさんみたいだし」

 

 ……誰がおじさんか……そんな事を言いつつ彼女も新聞を覗き込んできた。


「ふむふむ……『巷で噂の《口伝》の正体に迫る』……ね、実際どうなんだろうね?」

「この《口伝》……ですか? まぁ、『火のない所に煙はたたぬ』ともいいますし、全部があながち嘘とも言えませんしね」


 と告げると、ジリアンは少し考える様子を見せて


「なるほどね〜……そうなると、わたしたちだとどんな事ができるんだろうね?」


 と私に話を振ってきた。


「いえ、私に聞かれても……ジルの方はどうか分かりませんが、私の方はメインの盗剣士スワッシュバックラーやサブの舞踏者ダンサーで何かできるかとは思いますが、使えるようにしないと意味がありませんし、実際にあるのかと言われれば半信半疑がいいところですからね……」


 ・踊り子……サブ職業の一種、特技を使い踊る事により、様々な効果を周囲に与える。しかし、踊りが一定時間しか効果のない事や踊っている間は何もできないことにより「強化バフで踊るくらいなら付与術師エンチャンターを連れてこい」と言われるほどである。

 


舞踏者ダンサー……サブ職業踊り子の上位に位置するサブ職業、そもそも刀匠と同じで踊り子のレベル上げ等が難関だったり、踊り子の特技が付与術師〈エンチャンター〉に近いこともあり、人気が少なかったが、舞踏者ダンサーからはステータスの微強化や、戦闘……特にキャストタイムやリキャストタイム、特技後の硬直等に少しだけ有利になる特技なども少しはあるようになり、踊り子の時より便利である。


 

「あ〜そういえば、あのマゾいサブ職を頑張ってたもんね……まぁ、その分いろいろと便利そうにはなったみたいだしね〜……」


 私のことなのに自分のように話されても……


「あ……」


 そう思っているとジリアンは何かを思い出したように声を上げた。


「便利か……うん、よし家を買おう!」

「藪から棒に何を言っていますか?」


 ジリアンは急に何かを思いついて提案してくることがあるのだが、今日のは更に急で少々驚いた。


「いや、やっぱり宿に泊まり続けるよりやっぱり家を買った方がいいんじゃないかと思って……」


 予想出来たこととはいえ、やはり思いつきだったようだった。相変わらずだが、ジリアンはもう少し考えてから話したほうがいいんじゃないだろうか……因みに彼女の提案については、まぁいいかなとは思う。

 実際、家を買うのと私たち三人が二部屋借りている状態を考えた場合、長期的に考えるとおそらく買った方がいいとは思うし。


「まぁ、いいんじゃないですか?」

「お、サクラはOKね、それじゃぁレミにはこっちから言っておくね」


 レミ君には悪いですが、決定事項になってしまったようだった。レミ君、ごめんね。と、一応心の中で謝っておく。そして、レミ君が起きてくるまでに話し合いを済ませた。

 そして、その日は私財の確認等で1日が潰れてしまって、翌日より物件探しを行うことになった……



 私は、主にアキバの街の郊外や、街から少々外れて物件を探しに行くことになった。まぁ、探すなんていっても、物件の情報を表示して確認をしていくという作業が主でたまに人に話を聞いてみたりしていたのだが、どうにも成果がでない。一度切り上げて二人と合流しようかと思っていた……

 そんな時、念話の着信音が聞こえた。出てみると、レミ君からだった、レミ君が何かいい物件を見つけたらしく、一度三人で合流しようということになった。ついでなので、街の中で合流して昼食も済ませようとのことなので、待ち合わせ場所は街の中心の通りにある食堂でということになった。


 待ち合わせ場所の食堂に着くと、ジリアンが既にテーブルについてついでに食事もして待っていた。私が到着したことに気がついたジリアンが手だけを上げて挨拶をしてきた。ええい、挨拶をするときはせめて一旦食事をやめてこっちを見なさいな……

 気をとりなおして私もテーブルに着き食事を注文していると、レミ君も食堂に到着し、私たちを見つけるとレミ君も席に着いて注文した。

 注文した食事が来ると、私たちは先ず食事を開始した。まぁ、お腹も空いてましたしね。私たち二人が主にが一心不乱に食事を食べていると、レミ君が遠慮がちに


「お二人共、そろそろいいでしょうか?」


と、聞いてきたので私たちは


「おっと……そうでした。私は大丈夫ですよ。ジリアンの方は?」


「うん、わたしもいいよ」


 私たちは食事を一旦中断してレミ君の話を聞く体勢になる。


「物件に関してなのですが、街のほぼ外側の方になるんですが、いい物件があったので一度見に行きませんか?」


「私も外側の物件を探していたのに、そんな話は聞きませんでしたよ?」


「あぁ、僕が聞いた物件はサクラさんの探してた方向とは別の方向らしいので、そちらの方まで話がいってなかったんでしょうね」


 気になった事を聞くと、レミ君が丁寧に説明しながら何かを思い出したのか少々気が進まないように見えた。


「ん? レミ君は何か気が進まないように見えますがどうしました?」


気になったのでつい聞いてしまう。


「ええっと……実は、聞き込みをしている時にその家の噂も聞けたのですが……その家には出るらしい……と聞きました」


……出る?


「まさか……」


「はい……」


「あの例の黒い生物ですか!?」


 私が驚きながら確認をすると、ジリアンはビクッとなって時が止まったようだったが、レミ君は何故かこけていた。


「いえ……『ノウアスフィアの開墾』が導入されているのでわかりませんが、違います」


 あぁ……よかった……

 ジリアンも胸をなでおろしていた。


「……となると、何がでるんです?」


 黒いのでないとすると……なんでしょう……


「出るっていうのは、幽霊の方ですよ!ゆ・う・れ・い!」


 レミ君は強く言っているが、以外にベタなものだった。


「まぁ、もし出るとしてもレミ君もいるし倒せますんですし、倒せばいいでしょう?」


「うん、そうそう」


 私はそう返すとジリアンもうんうんと頷いた。


「え……」


 なんで、そんな反応ですか……


「レミ君は施療神官〈クレリック〉ですからアンデット系は対策できるのでは?」


「ええ……そうですね……」


 何か歯切れが悪いですね……


「もしかして、幽霊が苦手とかですか?」


「そんなわけないですよ……」


 あからさまに目線をそらして……バレバレじゃないですか……


「まぁ、私たちがフォローしますから頑張りましょう」


「はい……」


 レミ君も諦めたように頷いた。そして、そのまま幽霊対策の作戦会議となった。結果として幽霊は夜に出るとの噂だったので事前に場所の下見をして夜に向かうことで今は纏まった……行き当たりばったりな気がするが、情報がほとんどなかったのでこの場はこれで諦めた。







〈夜〉


「では、事前に下見をしたとおりに調べていきましょう」


「はい」


「そうね」


 と、二人は私のこえに反応した。


「……では、行きます」


 腰にある二本の刀を直ぐに抜けるようにしつつ入口のドアを開けて中に入る……

 探索とはいっても、2階建ての一軒家でだいたい5LDKそんなに大きな家ではないので、すぐに見終わるとは思うし、気をつけてさっさと終わらせよう……


『……くすん……』


 ?


「ん?ジリアンかレミ君、何か言いましたか?」


 二人は首を振って否定した。


「そうなると、先に何かいるようですね……気をつけて行きましょう。もしかしたらバンシーの類かもしれません」


 バンシー……アイルランドおよびスコットランドに伝わる女の妖精。デュラハンなどと同様に死を予告する存在であり、バンシーの泣き声が聞こえた家では近いうちに死者が出るとされる……エルダーテイルにおいてのバンシーは泣き声での広範囲状態異常などによって闘う面倒なモンスターという認識だ。

 しばらく声を潜めて調べていくと何事もなく探索は進んでいった。そして、最後の部屋の扉の前でまた泣き声が聞こえた。

 私は二人にうなづいてから扉を音を立てないようにゆっくりと開いた……すると、中は寝室のようでそこには小さな女の子が部屋の隅でうずくまって泣いていた。


「え?」


 私は驚いて、つい声をだしてしまった。


「……」


 すると、女の子は泣き止んでこちらを見上げると驚いた顔をした後、ベッドのしたにそそくさと隠れてしまった……


「えっ?誰もいない……」

「え?ジリアンさん……嘘でしょ?」


 女の子が隠れる所を見ていたのは私だけのようで二人は声はしたのに誰もいない事を驚いたようだった。


「ええっと……」


 女の子が隠れたベッドの下を私は指差す。

 ふたりはベッドの下を覗き込むと女の子を見つけたようだった。

 私はベッドのしたを覗き込みながら


「私たちは何もしませんよ、もしよければ出てきて泣いていた理由を教えてもらえませんか?」


 そうゆっくりと女の子に話しかけて待つ。

 しばらくすると女の子も私たちが何もしない事に安心したのか、ゆっくりとベッドの下から出てきた。


「……あの……お姉さんたちだれ?」


 女の子は気になった事を聞いてきたようだった。


「あぁ、私たちは冒険者なんです。私はサクラ。あと、こっちの二人はジリアンにレミアースといいます。よろしくお願いしますね」


「「よろしくね(おねがいします)」」


 私の紹介に合わせて二人も挨拶をする。


「それで、貴方のお名前は?」


「……エレン(ボソッ)……」


 女の子が小声で名前を教えてくれた。


「エレンというのですね、ありがとうございます。それでは、いきなりですが、どうしてこんな人気のない家に来て泣いていたのですか?」


 私は尋ねるとエレンは少し言いにくそうにしてから答えてくれた。


「探し物をしてるの……でも、ここには無さそうなの……そうなると、あとはあそこしか……でもあそこは……(ぼそぼそ)」


「そうだったんですね……」


 後半の方は独り言のようだったが……なんというか、お約束な事が起きそうな気がしてきた……


「あそこ?言い方からすると、とても危ないか行きにくいところのようだけど?」


 あぁ、ジリアン……そんな風に聞くと……


「あ……うん……じつは、思い当たる場所があと一箇所あるんだけど……お姉さん達は冒険者でしょ?もし問題なければお願いしてもいい?」


 あぁ、やっぱりそうなりますよね……

 私は事の成り行きを見守る事にした……



(次回へ続く)

なかなかにベタな感じになりました。

そして次回もおそらくベタな予定でございます。

できるだけ早く後編の方を書けるように努力します。

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