表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

違う場所

お前

「お前は、なぜ俺を殺さない」


しばらくしてから、彼女が発したのは

「私は人間的で人間的なのかもしれない」

という言葉だった


俺には理解ができない

彼女たちには、俺を殺すというのが、最も簡単で確実な方法であることに違いない


そして、俺たちはいわゆる"一般的"と呼ばれる者たちから離れたところにいる。

俺たちにとっては殺しも1つの手段でしかない。


俺らの中ではそれは何も間違っていない


でも、彼女はそれを拒んだ


俺には理解ができない

最善の策以外を選択する理由が


でももっと理解できないことがある


彼女がそれを拒んだとき、俺が感じた"何か"の正体が


自分のなかに自分の知らない何かがいる


一般的な人たちはこれをいわゆる"恐怖"と呼ぶのだろう


でも恐怖とは何かが違う

そもそも彼らと遠く離れているはずの俺が、それを主張すること自体滑稽なことなのかもしれないが


だが、たしかな感覚としてそれを感じる

その"何か"が恐怖以外の感情を示しているのかもしれない、いやむしろ何かしらの感情そのものなのかもしれない

だからこそ、俺は今、恐怖と呼ばれるものではない何かの感情を得ているのだろう













なるほど、そうか





俺が感じていたもの

それは極めて人間的なものなのかもしれない


彼女の言葉を借りれば、人間的で人間的なもの


だからこそ、俺には彼女の言うことが理解できないのだろうか

自分のなかに生まれているその、人間的で人間的なものをそうだと確信できないのだから


俺は彼女に言ってみる



「俺は人間的で人間的なものに最も近い所にいるけど、最もその隔たりを越えられないものかもしれない。」


彼女は言う


あなたは

「最も人間的で人間的なものに成りきれない人間」


だからこそ、私は人間的で人間的になれたの

と彼女は付け足す




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ