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第二話「入部までの強引かつ意味不明な軌跡」

生徒会室には十数人ほどの生徒がいた、目的は入部なのかそれとも冷やかしなのかわからないけど以外に人がいたことに僕は驚いた。



 その生徒たちの視線はある一点に注がれていた、視線の先にいたのは机に座った男子生徒だった、手を組みながら机に座るその人からいかにも自分は人の上に立つみたいな雰囲気が漂っている。



 僕が入ってしばらくは沈黙が続いていたがやがて机に座った男子生徒が口を開き「これで全員か・・・」といって喋りだした。



「本日君たちが集まったのは生徒会への入部の件、それで間違いないな?」



 全員が頷く、それを確認して男子生徒は続ける。



「本日はわが生徒会のために集まってくれたことを感謝する、俺は三年で生徒会長の北見雷斗(きたみらいと)だ、よろしくたのむ」



 雷斗と名乗った男子生徒、もとい生徒会長は軽い自己紹介のあと本題に入る。



「生徒会に入部するにあたって覚えていてほしいことがある」



 そこで息を吸い込み一気に言う。



「この生徒会では弱音を吐くことを許さない、さらに一度入部したら三年間責務を全うしてもらうためにと中退部を認めない、仕事をサボること及び毎日生徒会室に通うことを義務付ける、これが生徒会に入部する条件だ」



 生真面目と言うかなんと言うか、とにかく堅苦しい、こんな条件付とはさすが生徒会といったところか・・・などと考えていると会長がまた口を開いた。



「君たちの入部届はすでにもらっている、故に全員入部を認める」



入部届?そんなの出したっけ?そう思っていると周りのみんながざわめき始める、誰かが何のことだと言った、どうやらみんなにも届けを出した覚えが無いらしい、なのになぜ届けがあるのだろう?これも魔法の力なのか、だとしたらほんとうに万能なんだな魔法って、・・・ってあれ?ここは怒る所だったっけ?



しかし途中退部ができないってことは今この場にいるみんなが入部するってことになるよな・・・こんな大人数がいるのだろうか?と考えているとまた会長はまた口を開く。



「しかし途中退部ができないことは皆にとってデメリットだろう、そこで俺は一つだけ例外を設ける、その例外とは・・・今日だ」



 さっきから僕が考えていることをピンポイントで言ってくる会長、読心術でも使えるのだろうか?これも魔法の・・・ってこの台詞はもういいか。



 そして会長は続けるある用紙を出して続ける



「今の説明に不満がある者や後悔している者はこれに名前を書いて今日の放課後五時までに提出しろ」



 僕らの目の前に出された用紙、それは・・・退部届け。



 これで言わなくても分かるように最初で最後の退部のチャンス、と言うことなのだろう。



 集会はそこで終わり僕達は解散となった、ただ退部するかどうかを考える時間が短いのは酷だと思う。



 今日は授業が午前だけで終わったために現在時刻は午後一時、提出の時間まで四時間だ、長いような短いような、僕らにはそれぐらいの時間しか残されて無かった。



 でも僕の答えは決まっていた、その回答のためにする行動は一つ、タイムオーバーまで待つことだ。






 時間切れまで図書館で時間をつぶすことに決めた僕は時間を忘れて本を読んでいた、その結果校内放送で僕の名前が呼ばれるまでずっと本の世界にいた。



 午後五時を少し過ぎたぐらいに放送がかかる、内容は僕ともう一人の生徒に今すぐ生徒会室まで来るようにと言うものだった。



 



 生徒会室に着くと僕より先に女子生徒が着ていた、来ていたのはこの一人―僕を含めて二人の人間だけだった、他のみんなは退部してしまったらしい


 部屋にはもう一人の人物がいた、もちろん生徒会長だ。



 会長は僕達の見ると話を始める



「火守翔太君に音無李華(おとなしりか)さん、君たちをここに呼んだのは・・・言わなくてもわかるな」



 僕と女子生徒は頷く、呼ばれた理由、それは退部届け未提出の件、即ち入部をする意思表示と言うことだ。



 会長はそのまま紙とペンを取り出して僕らに質問してきた



「君たちが生徒会に入部した理由は何だ?」



 まともな質問だ、でも僕の答えは



「なんとなく、です」



 嘘偽りの無い返答をした、本当になんとなくなのだ、これと言ってなにかあるわけではない。



 しかし会長は普通の人なら怒り出しそうな回答を「そうか」と一言いって紙になにか書いただけだった。



 会長が君はと音無さんと呼ばれた女子生徒に話を振る、すると彼女は



「居場所がほしいだけです」



 なにか意味深な返答をした、しかし会長はこれにもそうかの一言で済ませる。



 しばらく会長がなにか書く音だけが部屋に鳴り続け不意に会長が口を開く



「君たちの理由はよくわかった、この生徒会に入ったからには」



 いったん言葉を切る



「われわれ生徒会は火守翔太君、君のなんとなくと言う理由に明確な理由を与え、音無李華さん、君には生徒会という居場所を提供しよう、それが今の僕ら生徒会にできることだ」



 すごく真面目な会長には悪いが正直何をいいたいかがよくわからない、理由に明確な理由?日本語として成り立っているのかそれは?



 そして会長は続ける



「改めて、君たちの入部を認める、ようこそ生徒会へ、君田は明日から庶務として働いてもらう、君たち二人組みでな」



 ものすごく強引に話を終わらされた、正直会長も自分が何を言っているのか把握できていないんじゃないのだろうか?それに最後に行った二人組みというのも気になるし、質問をしたかったがまた強引に解散と言われて僕達は帰路に着くことになった、なんだか僕の意思に関係なく話が進むのでやや不満がある。



 そして明日から僕は生徒会の庶務として働くこととなるらしい、退部届けを出さなかった自分が悪いとは言えどこんなに強引に話を進められると不満が・・・これはさっきも言ったか、心の中で喋ると僕は同じことをいってしまう癖があるようだ、直さないといけないかな?



 とにもかくにも入部を終えた僕には明日から雑用が待ていると思えばいい、めんどくさいなと思いながらも内心わくわくしている自分がここにいることを僕は疑問に思った、でもすぐにどうでもいいと考えを消して気持ちを切り替える、これから僕はきっと、変わることになるんだから。




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