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人は何故生きるのか。

作者: うるうさき
掲載日:2026/01/10

ニャーニャーと、最近飼い始めた子猫が蒸し暑くなるくらいに鳴いていた。思わず扇風機をつけようとしてしまった。だが、この寒い季節に扇風機を回せば、次は私が鳴くことになる。

そんなくだらない事を考えた後疑問が浮かんだ。


何故鳴いているのか。不思議だった。ご飯をあげても、糸を垂らしてやっても尚鳴いていた。ふと思い出した。これは子猫に限った話ではない。人間の子だって意味もなく鳴いたりする。意味のない行動をするのは、自我が芽生えていないからだろうか。そんな事を考えていたら誰かが家を訪ねてきた。きっと郵便物だと思い玄関にでて寒いと思いつつもドアまで向かい、開けてみる。そこには見知らぬ人が立っていた。そしてこう言った。「初めまして、お隣に住むことになった和島です。よろしくお願いします」そう言ってお辞儀する和島さんを見て私もつられてお辞儀をし、こう言った「ああ初めまして…」

動揺したのは配達員ではなかったからかもしれない。そう思いつつ顔を上げると和島さんは目の前に紙袋を出し、「これよかったらお食べください」といい羊羹を渡してきた。

「ありがとうございます」といい羊羹を受け取った。

「ではこれで失礼いたします」和島さんはそういうと部屋に戻っていった。

そういえばもう晩御飯の時間だなと暗くなった空を見て思い急いで冷蔵庫を見るや絶望する。あるのは冷蔵庫の光だけだったのだ。

急いで外に出た。歩いて十分ほどのスーパーについた。まだスーパーは明るかった。横にある文字を見ると後二十分でスーパーは閉店してしまうらしい。急いで買わなければそう思いつつ何を食べようか考えながら歩いてしばらく経った頃焦りが体を巡った。財布がなかったのだ。スーパーはもうじき閉まる。そうなると今日の晩飯は何もない。急いで体の隅々まで探したが結局見つからず諦めて仕方なく家に帰ることにしたがぐぅーお腹は空気も読まずに鳴き出した。ぐぅーまるでどこかの子猫のように鳴いている。なんて我儘なのだろう。我ながらに思う。そんな事を考えていたらふと思い出した。羊羹!家に羊羹があるではないか!急いで私は家に向かった。歩いて10分の場所でもやはり走るときつかったが羊羹のためならと足が動いてしまう。家の前までつき足が止まった。疲れたからなのか、もしくは隣の人が誰かと家に入るのを見かけたからだろうか、体の奥が、すっと冷えた気がした。帰ろう。そう思い家に入るとニャーニャーと鳴いていた。

子猫は今日も鳴いている。

私も、腹を鳴らしている。


それだけで、

今夜は十分だった。

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