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第1話 選択

本作は「障害を持つ5人が異世界に飛ばされ、障害が才能に反転する物語」です。

第1話では、その始まりの瞬間――よしが不思議な選択を迫られる場面を描きます。

どうぞお楽しみください。

夜。住宅街のアパートの一室。

よしはベッドの横に置いた車椅子に手をかけ、何度も寝返りを打っては時計をにらんでいた。


眠れない。体の奥からじんじんと熱がこもり、手足が落ち着かない。

窓の外では遠く、街灯がぼんやりと光り、微かな虫の音が聞こえる。

しかし、その音はどこか遠く、心の奥の不安を掻き立てるようだった。


「……なんだ、この感じ」


指先が無意識にハンドリムを握る。

次の瞬間――床の下から低い振動が伝わってきた。

それは規則正しい鼓動のようで、身体に直接響いてくる。

心臓が跳ねる。まるで地下で何かがうごめいているような、得体の知れない感覚。


そのとき、枕元に置いたスマホが震えた。

振動は心臓の鼓動と同期するかのように強くなる。

画面に見知らぬ光が走り、文字が浮かび上がった。


――あなたは、誰かの役に立ちたいですか?

YES / NO


「……は?」


意味が分からない。夢か、悪質なアプリか。

しかし、目が離せなかった。胸の奥に、誰にも言えない願いが突きつけられた気がした。


よしの心臓が早鐘のように打ち、呼吸が荒くなる。

目の前の光は、徐々に強く、温かく、そして重くなっていった。


「俺は……」


指先が自然と「YES」に伸びる。

タップした瞬間、スマホが眩い光を放ち、熱が身体を包み込んだ。

鼓動は止まり、世界が音を失う。息が詰まる。


――視界が揺らいだ。


次の瞬間、感覚が溶けるように消え、よしはベッドではなく、どこまでも続く白い空間に浮かんでいた。

底も端もない、光だけの世界。

冷たくも温かくもない、不思議な感覚が身体を満たす。


視界の端に、ベッドも車椅子もない。ただ、自分の身体だけが浮いている感覚。

だが、確かに聞こえた――低く響く声と、金属が転がるような微かな音。


そして、耳元に低く響く声が聞こえた。


「選択した者よ――次の道を選べ」


白い空間が一瞬で震え、まるで何かが動き始める。




次回予告(9月25日更新予定)


次回、第2話「欠片の扉」――よしは異世界に足を踏み入れる。

彼を待ち受けるのは、想像を絶する光景と、新たな出会い。

第1話をご覧いただきありがとうございます。

次回、第2話は9月25日更新予定です。ぜひお楽しみに。

皆さまの感想や応援コメントが創作の力になります。

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