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平凡な事務員、平穏な日常におさらばする

一応ラストです。反響があれば続きを書こうと思います。

ウィリアムはそこまで話すと、枕を拾い上げ、ベッドの上に放り投げた。

そして、いそいそと布団に潜り込む。


「え、寝るのか?」

「もう、大体わかったよね?王女殿下の件は君に使った転移魔法の応用だし、君に転移魔法を付与したのはその方が今後お互いに仕事がしやすいと思ったからだよ。グレルはあの深層心理への転移以来、本当に変わったから。もう、全部気づいているものだと思って、僕は何も言わなかったんだ。いちいち説明するのは、なんかグレルのことを馬鹿にしているみたいで嫌だったし」


疑問は解けたでしょ?と不貞腐れたようにウィリアムは俺に背を向ける。


「君の頼みで王女殿下を夢から覚ました後、ずっと騎士団から監視されるし、君はどこかに一人で行っちゃうし。僕のことを最低だって言ってね。すごく傷ついた。こんなに尊敬しているのに。腹が立つから座標を確認したら訳分かんないところに表示されるしさぁ。どうせなら巻きんだ方が早いと思って近くで監視してたレイモンドさんにお願いしてみたら、君はとんでもないことになっていたし」


君が倒れているのを見て、僕がどんな気持ちだったか分かる?、と布団が丸まっていく。


「あー、ウィリアム、それは本当に俺が悪かった。申し訳ない。」

「でも、君の気持ちを僕もよく分かっていなかったんだ。だからお相子だよ。それじゃだめ?」


それじゃだめ?のところで布団から顔をのぞかせるのは、あざとすぎやしないか。


「お相子でいい。俺の疑問に答えてくれてありがとう。とても感謝している」

「ほんとにぃ~?」

「本当だ。おかげでスッキリしたよ」


本当にスッキリした。

とても晴れやかな気分だ。

こんな気持ちは生まれて初めてかもしれない。


「そっかぁ。それはとてもよかった」


ウィリアムはすっと起き上がると、ベッドの淵に腰かける。


「よかったすね。仲直り出来て」

「ほんとほんと!」


俺のベッドの方から急に声がして思わず後ずさる。


「・・・クラッカン少尉!?」

「監視されてるって、僕言ったじゃん?」

「お二人の信頼関係構築は今後の任務遂行上、非常に重要ですからね」


俺のベッドから降りると、少尉は俺たちに敬礼した。


「グレル・アースレム事務官、並びにウィリアム・アレクセイ魔法師に辞令です。私と一緒に第四騎士団本部までご同行願います」


「・・・これは」

「あのね、グレル。これは君の選択が招いたことなんだよ?」


固まる俺をにこにこと眺めながら、天使は言った。


「安心して?僕はどこまでも君に付き合うからさ」


ああ、なるほど、と俺は悟った。

自分の信念を貫く選択をすると、このような結果を招くのだと。

俺は平穏な日々を願っていたころを懐かしく思いつつ、何が起こるのか予測もつかない、自分の選択した未来に向かうため、寮室の外へ一歩踏み出すのであった。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

読んだ後にスッキリした気持ちをお届けできていましたら幸いです。

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