悪役令嬢(推しキャラ)を断罪するヒロインに転生してしまった ~恋愛エンドには興味ありません!~
ああ、なんということかしら。
前世の記憶を思い出し、目の前の状況を理解した私はその場に立ちつくした。
ここは、前世でプレイしていた乙女ゲーム「黄金色のアマービレ」の世界。
魔界に侵略されようとしている世界を守るため、聖女候補に選ばれたヒロインが仲間たちと立ち向かう剣と魔法の物語。
「金アマ」という、ややスレスレな略称で親しまれている人気タイトルで、先日続編の制作が発表されたばかりだ。
その続編のキービジュすら見ないまま、前世の私は仕事の帰りに歩道橋の階段から転げ落ちて死んだ。
目の前に広がる光景は、華やかなパーティーの様子。
きらびやかなガラスのシャンデリア、優雅な管弦楽はよく知っているゲーム内のBGM、聞こえてくる声は豪華声優陣の磨き抜かれた素晴らしい声、そして丁寧に描かれたゲームスチルそのものな背景。
画面を見守るプレイヤーの時は感じることのできなかった、香りや温度まではっきりと感じられる。
この場面を私はよく知っている。
推しキャラエンドにたどり着くため、何度もプレイした。
王立魔術学園の卒業パーティーが始まるとエンディングまでコマンド操作が一切できなくなるため、卒業式前夜の時点でセーブをする必要がある。
「貴様の悪事はすべてお見通しだ。アデライド・デュシャン!」
卒業生代表であり王国の第一王子ラウルの声が響き渡った。
ああ、始まってしまった。
「貴様は私の目を欺き、同じ聖女候補であるメロディ・ルブランシュを貶め、数々の濡れ衣を着せた。すでに学生たちの証言は取ってある。今さら言い逃れはできないぞ!」
悪役令嬢の断罪イベント。
「私はこの場で貴様の婚約破棄を宣言する! そして、国王陛下に代わって王命を言い渡す。アデライド・デュシャン、貴様から公爵令嬢の身分を剥奪、国外追放を命じる!」
正義感に満ちあふれた強い声が全身を殴りつけてくるように響く。
濃い金髪と明るい緑色をした切れ長の瞳が美しい王子様は、私を背中にかばいながら目の前の女性を睥睨した。
長く波打つ青色の髪に吊り上がった灰色の瞳、まろやかな身体の曲線を際立たせる紫色のドレス。
目が合っただけで心を撃ち抜かれそうな鋭く凛とした眼差し。
聖女を目指すヒロインと対立するライバルキャラ、悪役令嬢アデライド。
私の最推しキャラである。
卒業パーティーの断罪イベントでヒロインのメロディがラウルに守らているということは、ラウル大恋愛ルートのエンディング直前。
私は、ラウルは推しじゃないから正直どうでもいい。攻略もしていない。
乙女ゲームは好きだけど恋愛ルートは興味がないのよね。
前世では攻略対象全員の友情エンド目指して、パラメータの調整や好感度が上がり過ぎない選択肢を選ぶのに苦労した。
そして、一番のお目当ては隠しルートのアデライド友情エンドである。
複数あるアデライドの友情エンドを私はコンプリートした。
しかし、アデライドルートに入る条件が非常に細かく設定されている。
たとえば「●月◆日に特定のレアアイテムを使用する」といったもの。
また、指定されている天気と異なっている場合もフラグは消えてしまうため、その都度前のセーブポイントまで戻らなくてはならない。
とにかく、血のにじむような苦労を重ねて推しキャラのエンディングをコンプしたのである。
スチルは全部スクショした。あのスマホは今頃どうなっているんだろう。私の宝箱。
その推しキャラが、アデライドが、今、私の目の前に、三次元として存在している。
美しい……可愛い……!!
それなのによ。
「メロディ。ここからは君の仕事だ。この国の聖女として最初の裁きを下すんだ」
ラウルの大きな手が私の肩に優しく触れ、そっと前へ押し出した。
「…………」
こともあろうに、私は「金アマ」のヒロイン・メロディに転生してしまった。
乙女ゲームのヒロインにありがちなふんわりとしたピンク色の髪。
庇護欲をそそる、きゅるんとした大きな金色の瞳。
ちなみにタイトルの「アマービレ」は、イタリア語で「愛らしい」などを意味する言葉らしい。
貧乏男爵家の末娘として生まれたメロディは、稀少な光属性の魔力を有しているため聖女候補に選ばれた。
公爵令嬢でラウルの婚約者でもあるアデライドも、同じく光属性の強力な魔力を持っている。
「アデライド……」
身体が緊張して声が震える。
対するアデライドは堂々としたもので、これから自分がどんな処遇を受けるのか分かっているような目をしていた。
「わたくしもここまでかしらね。お好きになさい、聖女様」
身分剥奪と国外追放を言い渡されることを覚悟してもなお、彼女は気高く美しい。
好き。本当に大好き。さすが私の最推し。
私は胸の前で両手を組み、長身のアデライドを見上げた。
「アデライド。あなたが仕向けた数々の私への嫌がらせ……」
広間にいる全員が緊張した面持ちで私たちに注目している。
「あなたのお兄様たちが勝手にやったことだわ!」
ごめんなさい、アデライド。
この真実を明かすことはあなたを傷つけることになる。
でも、黙っていられなかった。
「どういうことだ!?」
「先ほどのラウル殿下のお言葉は間違いですの?」
私がアデライドを断罪すると思い込んでいた学生たちは皆、混乱している。
隣にいるラウルも明らかに狼狽していた。
そうよね。彼の学友たちが必死に集めてきた嫌がらせの証拠が、すべて間違いということになるんだもの。
「メロディ。どういうことか説明してくれるか?」
こんな時でもラウルはヒロインに優しい。ビジュも良い。
中身がアデライド推しの強火オタクでさえなければ大恋愛エンドが成立するのに。ごめんね。
「はい、ラウル殿下。アデライドはこれまで、同じ聖女候補である私の未熟さが目に余るばかりに多くの助言をしてくれました。見る人が見れば強い叱責とも取れるかもしれません。ですが、私はいじめだと思ったことはありませんし、アデライドに話しかけてもらえることが日々の喜びでした」
これは本当にそう。
前世を思い出す前の私も、アデライドと一緒に過ごす学生生活をしっかり楽しんでいた。
「それでは、君が受けた嫌がらせについては? ロッカーの中に生きた虫が大量に入れられていたり、教科書にインクが塗られていた件はどう説明する?」
その件については、残念ながら証拠がないし現場も押さえることができていない。
ゲームでアデライドルートを通ったごく一部のユーザーしか知らない設定だ。
アデライドの二人の兄たちが、公爵家の名誉のためにどうしても妹を聖女にしたくて、メロディに対して数々の嫌がらせを仕組んだ。
外部の人間にお金を握らせて学園内に送り込み、小さな嫌がらせから命に関わる攻撃まで実行させた。
ゲーム内ではメロディが暴漢に襲われそうになるシナリオがあり、それも彼らの差し金だ。
アデライドは兄たちの愚行を知りながら止めることができなかった。
制止しようとするアデライドを振り切って兄たちが暴走してしまったのだ。
その結果、兄たちが聖女に担ぎ上げたかった妹が罪を着せられ断罪されようとしている。
「あなた、何を言っているの? 証拠はあって?」
シャープな顎を上向けて、アデライドは赤い唇を薄く開いて微笑んだ。
兄たちを守るために悪役を全うしようとする健気な姿に、私は感極まって泣いてしまいそうだった。推しが尊い。
「それならば、学園じゅうに設置してある防犯監視用の魔石を鑑定すればいい。メロディへの悪質な嫌がらせが増えたと聞いて、国王陛下と学園長に設置を請願したんだ」
そう言いだしたのはラウルだった。
ついさっきまでアデライドを責め立てていたのに、どういう風の吹き回しだろう。
それに、防犯魔法の話なんて私は知らない。もしかして、ラウル大恋愛ルートを通った人しか知らない情報なのかしら?
「ていうかラウル殿下。そんなものがあるのなら、アデライドが無実だって最初から証明できるじゃないですか。さっきの『証拠はそろってるぞー!』っていうあのムーブは何だったんですか?」
うっかり前世のくだけた口調になってしまった。
オタクの早口でまくしたてられたラウルは、痛いところをつかれたのもあってか「すまない」と素直に口にした。
「それから、アデライド!」
私はアデライドに向き直って声を張りあげた。
「な、何よ?」
「バカじゃないの?」
「なっ……、わたくしがバカですって!?」
アデライドの優美な眉がピクピクとわなないた。
「そうよ! 公爵家のためなのか何なのか知らないけど、お兄さんたちの罪をどうしてあなたが被る必要があるの? プライドなんかよりも自分の命を大事にしなさいよ! 『私は何もしていない』って、ちゃんと自分の言葉で言いなさいよ!!」
「わたくしに指図しないでちょうだい! 自分の命くらい自分で守れるわよ!」
「いいえ、守れませんー! あなたは国外追放されて国境を出てすぐ死にますー!」
すべてのキャラの友情エンド以外、恋愛要素のあるルートではこの断罪イベントが発生し、アデライドは国境を出てすぐの森で野党に襲われて命を落とす。
この残酷なシナリオが嫌なのもあって、私は「金アマ」では友情ルートだけを通るようにしていた。
「なんて失礼な人なのでしょう! ラウル様。あなた正気ですの? 本当にわたくしと婚約解消をして、こんな山猿みたいな下品でうるさい女性を選ぶおつもりですの?」
山猿はあんまりでは?
隣にいるラウルをチラリと見やると、百年の恋が醒めたかのような虚無の表情でこちらを見ていた。
あ、今きっと大恋愛エンドのフラグがバキッとへし折れた。
「その、ひとまず二人とも落ち着こうか。この件については後日あらためて場を設ける」
ラウルは私とアデライドの間に割って入った。
「皆の者、このような騒ぎを起こしてしまいすまなかった。卒業パーティーはまだ始まったばかりだ。どうか、心ゆくまで楽しんでほしい」
ラウルの言葉を合図に、広間にふたたび壮麗な管弦楽が奏でられた。
戸惑っていた学生たちも一人、また一人とパーティーの輪に戻って行く。
やがて、断罪イベントなどなかったかのように、華やかなパーティーがふたたび始まった。
よかった。ひとまずアデライドの国外追放は回避できた。
ほっと胸をなで下ろしていると、凄みのある声が降ってきた。
「ちょっとよろしいかしら?」
学園生活でアデライドから苦言を呈される場面は何度もあった。
その時のどれとも違う、静かな怒りを秘めた声音。
おそるおそる顔を上げると、世にも恐ろしい形相の悪役令嬢が私を見下ろしていた。
まるで、私の世界で言うところのマフィアの女ボスのような佇まいで、アデライドは細い顎をクイッとひねって「こっち来いや」と無言で私を促した。
命が惜しいので大人しく付いて行くことにした。
夜の庭園は広間の光が届かないため、石畳に埋め込まれた魔石が蛍のように足元を照らしてくれる。
私はアデライドに先導されてガゼボへ移動した。
昼間は日の光を浴びて真珠色にきらめくガゼボだが、夜の闇の中では大きな鳥籠のように不気味な姿をしている。
アデライドはガゼボの前で足を止め、こちらを振り返った。
「わたくし、国外追放されて国境を出てすぐに死ぬの?」
「ええと、それはその……私の、妄想……?」
ここがゲームの世界で私はプレイヤーであなたの破滅する未来を知っていますなんて、口が裂けても言えない。
「おかしな人」
夜風に乗ってアデライドがクスクスと笑う声がかすかに聞こえた。
「妄想話の続きを聞いてもいいかしら? あなたの頭の中では、兄たちはどうなる予定なの?」
「それは……わからないの」
アデライド友情ルートでは、兄たちの愚行に気付いたアデライドが危険を顧みずに制止するおかげでメロディに対する嫌がらせはなくなり、断罪イベントは発生しない。
でも、今私がいるこの世界はラウル大恋愛ルートで、私がアデライドの兄たちが真犯人だと明るみにしてしまった。こんなシナリオはゲームに存在しない。
「わたくしはデュシャン公爵家が何より大切よ。王室を支える誉れ高い家というのは勿論だけれど、純粋に家族が大事なの。直情的で愚かな兄たちもわたくしを愛してくれる大切な家族。罪をなかったことにはできなくても、兄たちの命を守りたい。公爵家も取り潰しになどされたくないわ」
そんな虫のいい話、まかり通るはずがない。
気高い聖女候補であるアデライドが一番分かっている。
没落寸前の貧乏男爵令嬢の私に、アデライドの願いを叶える力はない。
このゲームのヒロインなのに、私は最推しのために何もしてあげられない。
もどかしさに奥歯を噛みしめてうつむいていると、アデライドは私の手をそっと握った。
「一応伝えておくけれど、わたくしはあなたを恨んでなどいないわよ。悪いのは愚かな兄たち。そして、止められなかったわたくし。結果的にあなたにつらい思いを強いてしまったのだもの。報いを受けるのは当然だわ」
「私こそ、デュシャン公爵家の名前に瑕をつけるような真似をしてごめんなさい。あなたが国外追放されるのがどうしても我慢できなかった……」
泣くな。泣くな、私。
自分の不甲斐なさと、身体を抱き寄せて子猫のように背中をなでてくれるアデライドの手の温かさに、私はこらえきれずに涙をこぼした。
濡れた頬を夜風が冷たく掠めていく。
表向きには無事に終わった卒業パーティーだったが、ラウルとアデライド、そして私の間で起きた騒動については学園長と国王陛下の耳にしっかりと届けられていた。
一週間後、私とアデライドは国王陛下直々の召喚を受けた。
国王陛下の書状と一緒に、ラウルからの手紙も届けられた。
そこには、アデライドの兄たちが仕向けた不審者の犯行記録を洗い出したと記されていた。
アデライドには悪いけれど、私は彼女の無実さえ証明されれば兄たちの処遇はどうでもいい。
でも、もしも彼らが本当に国外追放や死罪に処されてしまったら、アデライドはこれから先ずっと自分を許せないだろう。
どうか、国王陛下が寛大な措置をしてくださりますように。
私は王宮へ向かう馬車の中で強く祈った。
謁見の間に集められたのは、私とアデライド、ラウルの三人だった。
アデライドの兄二人は王宮内の客室にそれぞれ軟禁されているとのこと。
私と顔を合わせたら取り乱す可能性があるからだろう。
近衛騎士に誘導され、玉座の前へ進み出る。
私たちは礼を取り、その場に膝をついた。
「アデライド嬢、メロディ嬢。此度は愚息の短慮により迷惑をかけたこと、心から詫びよう」
まさか、第一声が国王陛下のお詫びの言葉だなんて。
私たちは思わず顔を上げた。国王陛下と視線がぶつかり、慌てて顔を伏せる。
「近隣諸国の若者の間で流行っているとはいえ、衆人環視の中で淑女に恥をかかせるなど言語道断。罰として一週間、厩の掃除を命じておいた。アデライド嬢、どうか許してもらえるだろうか」
「と、とんでもございません……!」
国王陛下の圧倒的な存在感に、アデライドは恐縮して声を震わせた。
いやそれより、一週間の馬小屋掃除って。小学生のトイレ掃除じゃあるまいし。
横目でラウルの姿を覗き見ると、なんとも気まずそうな表情をしていた。
「その愚息が先日発した婚約破棄についてだが、アデライド嬢さえよければ白紙に戻しても良いだろうか?」
「恐れながら申し上げます、陛下。それは、ラウル王子殿下と私の婚約は継続……ということでしょうか?」
「そなたが拒否せぬのであれば」
「で、では……お伺いしてもよろしいでしょうか。わ、わたくしの兄たちは……?」
「ジェローム・デュシャン、レオポルド・デュシャン両名については、身分剥奪とする」
国王陛下の静謐かつ非情な声が謁見の間に響き渡った。
アデライドは長い睫毛に縁どられた両目を見開き、絶望したようにうなだれた。
「案ずるでない、アデライド嬢。命までは取らぬ。貴族でなくとも城下で己の役目を見つけ、まっとうに生きることはできる」
「恐れながら、重ねてお伺いいたします陛下。デュシャン公爵家は、この先どうなるのでしょうか?」
兄二人が家を追われ、アデライドがラウルと結婚すれば家督を継ぐ人は誰もいない。
「こういうことは、若い娘に言うものではないが……」
国王陛下は小さく咳払いをして続けた。
「将来、そなたとラウルの間に男子を二人以上授かれば解決する話だ。長男は王位継承者、次男が次期公爵。デュシャン公爵には、それまでの間現役で働いてもらう必要があるがな」
メロディが主人公のラウル大恋愛ルートのこの世界で、こんな結末を見ることができるなんて。
卒業パーティーのあの時、私とアデライドが言い合いをした時に見たラウルの虚無の表情。
あの時、本当にラウルの大恋愛フラグがバッキバキにへし折れたのだ。
「よかったぁ……」
私は膝をついて顔を伏せたまま、思わず安堵の声を漏らした。
「メロディ嬢……その、申しわけない。優柔不断な愚息が振り回してしまったようで」
「いいえっ! 全然大丈夫です! 私、そもそもラウル殿下のことは1ミリも好いていませんので!」
強がりなんかじゃなく、本当にそうなので。
最推しはアデライドなので。
このゲームにハマったのは、育成システムが面白いのとストーリーが充実していて読みごたえがあったから。
イケメンは二の次なのだ。
不敬きわまりない言動をしてしまった私を咎めることなく、国王陛下は声をあげて笑った。
そして、アデライドとラウルはお互いに顔を見合わせて、頬を真っ赤にしてうつむいている。
この二人、公式設定だと幼馴染みで五歳の頃からずっと両想いなのよね。
それなのに、ある日突然編入してきたメロディと恋愛フラグが発生するなんて、アデライド推しとしては許しがたいシナリオなのだ。公式絶許。
私が今いるこの世界では、二人には生涯幸せでいてほしい。
「では、今回の件についてはここまでとする」
国王陛下の声に、私たちは起立し深く礼をした。
「アデライド嬢、メロディ嬢。次期聖女であるそなたらの今後の働きに期待している」
「身に余るお言葉、恐悦至極に存じます」
「ありがとう存じます」
アデライドに倣って私も感謝の意を述べ、頭を垂れた。
私は国王陛下の言い方に、引っかかるものを感じた。
この国の聖女は、一代につき一人と決まっている。
だから私たちはライバルとして切磋琢磨してきたのだ。
でも、国王陛下の口ぶりだと「二人とも聖女として王国のために尽力しろ」と言っているようだった。
それはまるで、四つの分岐があるアデライド友情ルートの一つ「二人とも聖女となり王国の双璧と呼ばれる」シナリオそのものだ。
もしかして、私がラウルの恋愛フラグを折ったことでアデライド友情ルートに切り替わったのかしら?
それなら、アデライドは幸せに暮らせるし、私はイケメンとの恋愛フラグが一切立たずに平和に過ごせて一石二鳥だ。
これからお茶をするというアデライドとラウルに別れを告げ、私は帰りの馬車に乗り込んだ。
ご機嫌で帰路につく私は、この時何も知らなかった。
まだキービジュすら見たことのない続編のメインヒーローが、メロディの前に攻略対象として現れることを。
おわり
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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