【万バズなんて】いつも通りやる【一過性】
3日前。池袋東ダンジョンで食材確保をした帰りに人気配信者の風繰天音さんを助けたから一時はkaitterのトレンドを俺か、彼女に関する話題が占めていたようだ。なんかすごい呟かれてた。ちなみにその垢は配信用ではない。個人用の垢である。
友人曰く、まだ完全には特定されていないらしい。それでもかなりバレているみたいだが。まぁ、配信垢もないしな。チャンネル名もまんま白狐さんじゃないし。ま、風繰さんのチャンネルの切り抜きは幾つも出た。悉くが30万再生はいったらしいが、俺は今日もいつも通り配信する。まぁ、チャンネルがバレたらその時はその時。メン限でもなんでもやればいい……と思う。
「今日もいつも通り配信する。場所は…どこだっけここ」
(東京駅前ダンジョンじゃろ~?わっちの可愛い子孫はうっかりさんじゃの~)
「そうそう。東京駅前ダンジョン。ありがとうご先祖。」
3日前は妹に着いていっていたご先祖が今日は俺の方に居る。あくまで霊体なので声が聞こえるのは俺だけである。あと配信画面にも映らない。のでたまに独り言が激しい奴になる。気にしないけど。今日は平日だし、ゲリラ配信に乗り込んでくるの何てそういないだろうと踏んでいる。
:わこつ。今日は拙者が一番でござりまするぞ!チャンネル登録者7万人おめでとうでござる!
:ぬあーーーー!!負けたァ!俺の白狐さん配信連続一番ノリ記録がぁ~~~!それはそうとおめでとー!
:おっ、今回はご先祖さんいる感じ?
@受付お姉さん:白狐さん最古参勢として嬉しいわ!
@友人A:いやー、3日前の宴は楽しかったな。kaitterのトレンドを肴にオークディザスターの肉を食うのは最高だったぞ
:ぬ!出たな!白狐さんのリア友の友人Aニキ!そして自称専属受付ネキ!肉は旨かったか⁉
@受付お姉さん:最高だったわ。もう死んでもいいと思うくらい!
@友人A:A5ランクの和牛が軽く見えるくらいに旨かった。A5の和牛食ったことないけど。一般大学生には辛いぜィ
あの日の自称専属受付ネキこと、高崎春香さんはもう俺を見たときからすんごい満面の笑みだった。友人Aは俺んちに押しかけてきたのでしゃーなしで振舞った。まぁ、喜んでもらえて何より。そう。ここまであえて触れていないがチャンネル登録者が7万人を超えた。元は10人ちょいだったので実に7千倍である。
:ふむここが天音ちゃんを助けた男のハウスね!
:うおっ、いきなりな配信だなぁ。チャンネル登録しといてよかった~。
:切り抜きから来ますた。天音ちゃんを助けてくれてありがとナス!
:ソロで深層とか本当ですか?
:キターーーー!
:くぅ~~あんたの配信ってやつを待ってたぜ!
「……人増えてきた。改めて説明する。俺は白狐さん。このチャンネルで気楽にダンジョン散歩配信をしている。このスタイルを変える気はないので新規はさっさと帰った方が良い。時間の無駄。」
:いやいやいやいやwww
:時間の無駄てwwww
:新手のツンデレか?www
「本音。まぁいい。今日は東京駅前ダンジョンの深層を観光する。行ったことないから。」
:は?www
:さらっと言ってますけど東京駅前ダンジョンって公式では下層4層までしか攻略されてないはずなんですがそれは(困惑)
:なんで攻略じゃなく観光なんだよ。物見遊山か?
:物見遊山で行ける場所じゃないんだよなぁ
@バルト:何ッ⁉深層だと⁉
:@バルトって……青銀の羽のリーダーのエッケバルトさんじゃね?
:本物じゃねぇか⁉
(せっかくじゃし、下層の10層ボスからやったらどうじゃ?配信の邪魔されても敵わんじゃろ?)
(んー。そうね。)
そういえば確かに深層が発見されているのってそういえば少なかったな。ここは……大手探索者クランの【青銀の羽】が攻略してるんだっけ。【青銀の羽】は日本一に最も近いと言われるクランだ。中でもリーダーのエッケバルトはユニークスキル持ちで味方を鼓舞し強化することでその強化した分だけ自身も強化できるとかいう激ヤバスキルだったかな。でレイス系統以外では負けなしじゃなかったかな。味方のバフは自動だしで、あの人がいるだけで見方も自分も強くなるとかいういかにも勇者然としてる。確かに深層まで到達したって話聞いてない気がする。
「じゃあ、行く。」
:よーし、今日も頑張ってね白狐さん!
:一体何人新規が残るかね?
:結構残るだろw
:後方腕組み理解者面するため待機中だぜ!
***
さて、今回は東京駅前ダンジョンの下層10層入り口から行く。でもメインは深層の観光だ。だから10層ボスはただの前座である。さくっと終わらせよう。
「ここは前座。さくっと行く。」
@バルト:確かにこの雰囲気は下層だ……待て、君はソロなのかい?
:マジかよ。ソロで下層?頭おかしいってwww
:無理やろwwって言いたいけどこの人オークキングダム瞬殺してんのよな
@バルト:前座…?下層の最終ボスが…前座…?
ボスまでの最短ルートは頭に入っている。そして今日はご先祖がいる。だからわざわざホウを召喚して索敵してもらう必要がない。純粋にコストに空きが出来るのはありがたいので是非ともご先祖には俺と一緒にダンジョンに潜り続けてほしい。
東京駅前ダンジョンは迷路だ。でもまだ作りが変わらないので道を一度覚えれば迷わず進める。新宿ダンジョンとかは最悪。日替わりで構造が変わる。しかも迷路なんだけど新宿駅をそのまんま迷路に落とし込んでるからやばい。ちゃんと人影(本当に影)も大量に設置されてて歩いてる。悪質な罠とかないけど純粋に人混みが邪魔。だからこっちはまだマシ。ただの石の迷路だから。
:なんの迷いもなく進んでいくな。
:東京駅前ダンジョンって馬鹿みたいに入り組んでるダンジョンじゃなかった…?
:少なくとも迷路攻略で定石の壁伝いだと攻略はかなり難しいはず。
:上から全体像を見ようとしても見れないもんな。
サクサク進んでいるとご先祖から報告が来た。
(後ろからフェイタルレイスが来ておるぞ。)
(みたいだね。…面倒なので倒す)
俺はドローンを少し離れた場所に待機させる。万が一にでも壊したらあとが面倒だからだ。
:ん?立ち止まった?道にでも迷ったん?
:後ろ向いたぞ?ドローンもちょっと離したし
@バルト:こいつは…!フェイタルレイス⁉まさか徘徊モンスターに追いつかれるとは!くっ、どうにか逃げてくれ!そいつは人間が敵う相手じゃない!
:(白狐さん既に配信で何体か倒してるなんて言えない…)
:まぁまぁ、皆さん。茶でも飲んで落ち着きましょうや。白狐さんなら心配いらん。
@バルト:何を言っているんだ!このままでは彼は殺されてしまうぞ⁉
:まぁまぁ、エッケバルト殿。黙ってみているでござる。
「【眷属憑依】モエ」
今回は霊体モンスターだ。だから治癒のできる火属性のモエが適任になる。赤のメッシュが生えていることを確認して相手を迎え撃つ。
「フェイタルレイスのやばさは手での攻撃。あれ受けると大概の人間にはどうにもできないデバフと異常をばらまいてくる。掠っただけでもおしまい。」
:そんなクソエンカだったの!?
:下層ってこのレベルがゴロゴロいるからレべチなんだよな…
そんな奴の攻撃を俺はそのまま躱さず受ける。問題ない。なぜならそれは
(幻じゃ。狐の朧火を舐めるでないぞ?)
セリフ取られた。まんまと俺の幻影を素手で貫いたフェイタルレイスはしかし感触がないことに気付いたようだ。そして自分に紫の炎が纏わりついていることにも。
:なんだなんだ!?
:フェイタルレイスが燃えたぞ⁉
…決め台詞言っとこう。決め台詞ってほどじゃないけど。
「化かされたね。狐火に。」
ものの数秒でフェイタルレイスは燃え尽きた。あとに残ったのはやつの魔石だけ。
:うおおおおおおおおおお!!
:下層のクソエンカ代表を倒したあああ!!
:ファーーーwwwwwww
@バルト:なんてことだ…フェイタルレイスは倒せるのか…
:日本最強格ですら驚愕しているぞ!これは探索界隈大きく動くだろ!!
:うんうん。初見の時は俺らもこんな気持ちやったねぇ…
フェイタルレイスの魔石を拾ってご先祖に見せてみた。
(……んー、これは低品質じゃな。さして稼げやしないじゃろうて。あの子らもそこまで満足せんぞ?)
じゃあ要らないね。うちの子らが喜ぶならともかく。
「フェイタルレイスは倒せる。攻撃を避けて火属性か光属性の……上級魔法くらい?使えば倒せるはず。試してないから知らないけど。」
「フェイタルレイスは多分1フロアに1体が上限。同じフロア探索中に2回以上遭遇したことない。」
@バルト:そうか… そうか!ありがとう白狐さん!君のおかげで我々の攻略も一気に進むかもしれない!実はそのフェイタルレイスのせいで攻略が行き詰っていたのだ!実際に確認してからになるがいずれお礼をさせてもらいたい!貴重な情報提供感謝する!では一旦失礼する!
:いや、この配信見た甲斐があったよマジで
:でもこれ今日の本題じゃないんですよ
:既に情報的に十分だがー?
「んー。お役に立てたなら何より?」
そう。まだ前座ですらない。だから先を急ごうとしたけど視聴者から質問が来た。
:アレ?フェイタルレイスの魔石は拾わんの?
「要らない」
:要らない⁉
:下層産の魔石だよ⁉
:それだけで最低でも500万はくだらないよ⁉
「……500万くらいすぐ稼げる。使い道ないし要らない。」
:これが白狐さんクオリティ☆
:いいなー、俺も一度でいいから言ってみてェなぁ。500万何てはした金だって
そのまま進んでボス部屋前に着いた。
:なんか道中魔物と白狐さんがぶつかった結果魔物が爆発四散してるように見えたんですけどぉ?ww
:俺もだww
:これもうこっちが魔物だろww
:いよいよ未公開の東京駅前ダンジョン下層10層のフロアボスのお目見えか!
:エッケバルトさんも残ってればよかったのにな
:まぁ、さっきの白狐さんの話を聞いて居ても立っても居られなくなったんでしょ




