【魔物だって生き物だ】じゃあ氷を貰うよ【喋る奴もいるさ】
「そういや先輩、一つ聞いて良いっスか?」
「んー?どしたのエリカちゃん?」
「ずーっと上層の3層をうろうろしてますけど、今日はここに至高の氷取りに来たんスよね?下の階層、行かないんスか?」
:確かに。普段の白狐さんでは考えられないくらい同じ階層に留まってるな
:もしかして白狐さん魔法少女が楽しすぎて目的見失ってた?
:まっさか~!白狐さんに限ってそんなことあるわけ……ないよな?
「今日のお目当ては上層にあるんだよね~。ま、レアモンスターに遭遇しないといけないんだけど。」
「上層で出るレアモンスターが目当て……ッスか?」
「そだよ~」
:秩父氷室ダンジョンの上層に出るレアモンスターってなんだっけ…
:もしかして探してるのって氷菓の案内人?
:あー!なんか聞いたことあるわ!氷系ダンジョンに稀に出現するモンスターだよな。
「ピンポ~ン。そ、今日は氷菓の案内人探してるの。厳密には氷菓の案内人が導いてくれる住処の方に、だけどね。」
「住処ってことは探し回ればあるんじゃないんスか?」
「それがねー、氷菓の案内人についていかないと侵入できないんだよー」
@友人A:俺の聞いた話だと氷菓の案内人って自身の住処に探索者誘い込んで自慢の氷から作った氷菓をご馳走してくれるんだよな?
:氷菓の案内人の出す氷菓は旨いけど食ったら内部から凍って氷の彫像にされるらしいゾ
:それ、上層にいちゃいけない存在では?
:普通にガセだぞそれ。氷菓の案内人はダンジョンでは珍しい無害な魔物だからな
:ダンジョンに無害なモンスターとかいたんだ……
氷菓の案内人は魔物として見るとそんなに戦闘力ある方じゃないからな。最低限の護身ができる程度の武力しか持たないんだな。それに、こういう氷のダンジョンだとモンスターが取り込みにくるからとかで中層以降じゃ生きてられないんだって。
(なぜそんなこと知っとるんじゃ?と突っ込まれるぞ?)
まぁ。氷菓の案内人にはダンジョン潜り始めてから毎年氷を恵んでもらってるしね?いつも葵と俺がかき氷食う時にお世話になっておりますー。
***
上層3層で魔物を倒しつつぶらぶらしていると突然俺たちの周囲に吹雪が発生した。今回は思ったより時間かかった気がするな。
(それも個体差じゃよ。それに……1年目よりはかな~りマシじゃろ?)
そうだね。初回は2~3時間くらい粘った気がする。今回は20分そこらだしだいぶマシだけどね。ほら、一昨年、去年は10分くらいで来てくれたから……
「ひゃ⁉何!何なんすかぁ⁉せんぱ~い!!」
「大丈夫大丈夫心配いらないよエリカちゃん。どうやらお出迎えに来てくれたみたいだから。」
「へ…?お出迎え……?」
:急に吹雪いてなんだ~⁉
:お出迎え…ってことは氷菓の案内人居るのか!
:無害とは…?開幕吹雪とは随分攻撃的に見えますが?
「思ったより今年は時間かかったねー」
「あ……この魔力……白狐さんさん、来てくれたんだね……えへへ。待ってたよ。」
俺達の周囲で吹雪いていた吹雪が集合していきやがて人型(と呼べるかギリ怪しい)を形成した。目の前には二足歩行の雪だるまが立っている。ま、よーするにジャックフロストってわけだ。
(厳密には本家本元が存在しておるから違うらしいがの~)
「え、魔物……しゃべ……え?」
「あ、今日はお友達もいるんだね。あれ、白狐さんさんも見た目変わったね……その姿も良いと思うよ。」
「ありがと☆まぁこの姿は今日だけだけどね。気になるなら戻ろうか?」
「ううん、大丈夫…だよ?それも新鮮だから……」
@友人A:氷菓の案内人って初めて見たけどこんなメガ〇ンとか、ペル〇ナに出てくる悪魔みたいな姿してんのな
「それは私の認知が関係してるらしいよ?この子達特定の姿は持たないんだって。」
:魔物って喋るのか⁉
:知らんのか?氷菓の案内人は普通に会話可能だぞ
:なんで教えてくれなかったん?
:だって聞かれてないから
「それじゃ着いてきて。今日も氷菓を食べてほしいんだ。お友達の人にもね」
「先輩!せんぱ~い???ちょ、説明!説明プリーズ三―!魔物が喋るとかはこの際置いておいて!なんで知り合いみたいな感じなんですか⁉」
「え?だって探索者になってから毎年夏は氷分けてもらってるから。」
「???」
@友人A:そりゃ宇宙猫にもなるよなw
:俺も氷菓の案内人には遭遇したことあるけど……俺にも氷分けてくれるからな~なんか自分たちだけじゃ消費追いつかないくらい氷生産しちゃうからって俺らにおすそ分けしてくれるのよなw
:先駆者もいるのか……じゃあなんでこんなマイナーなんだ
:まぁ…言った所誰も信じないだろうしなw
:それなw氷のダンジョンでくっそ旨いかき氷できる氷をモンスターから貰ったとか言ったら…なぁww
:経験者は口を噤むしかないの、さ……
混乱してるエリカちゃん宥めるのは放っておいてとりあえずエリカちゃんごと氷菓の案内人についていく。しばらく氷菓の案内人についていくと突然周囲の光景が一面の氷の世界からかまくらへと切り替わった。
「えっと……まずは今年の氷…だよ。これは僕の。こっちは姉が作ったものだよ。本当は今年は姉が白狐さんさんに会うはずだったんだけど……別の人類さんにもおすそ分けする予定が被っちゃってね……」
「おっけー。ありがたく氷貰っていくね。いつもありがとう。お返しはいつも通り、地上の食べ物で良いの」
「うん…ありがとう…!そしたら氷も種類が増やせるからね…!」
:これ1年分くらいあるんじゃね…?
:この時期に売ったらバカ儲けられそう(小並感)
:じゃあ俺もダンジョンに潜って……
:彼らにも氷を渡す人類を選ぶ基準はあるらしいぞ。詳細は不明だがな?ま、そういうことだ
よーし。これで今日の目的は達成だな。
(そうじゃのう。あとは最後にかき氷を馳走になれば今日は解散かの)
かなー。
待つこと数分。待ってる間はエリカちゃんを正気に戻すことに費やした。今の今までずっと処理落ちしてたからな。
「ハッ!やっと現実が受け入れられたっス!ダンジョンだし何が起こっても不思議じゃないスよね!」
「うんうん。そのマインドが大事だよ☆」
氷菓の案内人がかき氷を2つ持ってきてくれた。
「はい。今年の氷は豊作だから……美味しいはずだよ……お友達さんも食べてほしいな」
「ありがたくいただくっス!ふぉおお……光が反射しているわけでもないのにキラキラ輝いてるっス…!うまっ!氷自体に味ついてるんスね⁉しかも口に入れた瞬間氷が溶けてじゅわぁっ!っと甘みが広がるっス!」
「んー……今年はチョコバナナ味?」
「うん…!そうだよ。ふぃりぴん?ってところのダンジョンでその果物を食べて感動したんだ…!それで別の人類さんからもらったチョコと食べたら美味しかったから……!」
「いいね。バナナ自体の味が濃厚だからチョコの方はちょとビターかな?おかげでバナナの甘みが引き立っててすごいおいしいよ~♪」
:ちょこばなな味か。うまいのか~?
:感覚的にはチョコバナナ味のアイスに近いんじゃね?
:……俺も喰いてぇな~
:ちょっとコンビニ行ってアイス買ってこよ
ちなみにこれは完全に余談だけど、氷菓の案内人の作るかき氷はバクバク食べてもアイスクリーム頭痛とは無縁の食べ物だったりする。かき氷スキーにはたまらない一品かもね。まぁ、おすそ分けの氷はともかく提供されるかき氷は何味かって保証は出来ないけど。
***
「先輩!今日はありがとうございました!おかげでこの魔法少女ステッキも完成にまた一歩近づいたっす!そして!全人類の夢の実現にも!」
「特段宣伝とかやったつもりはないけど……アレで良かった?」
「はい!ばっちりっス!おかげで改善点なんかも発見できたっスし、これは兄者も腕が鳴ると思うっス!あ、最後にコレお願いします!」
氷菓の案内人の元からも戻ってきて変身解除もしたし、締めという時にエリカちゃんになんかカンペを渡された。えー、なになに…?あー、おっけおっけ。
「ん゛ん!君たち今日の配信はどうだった?すごいって思ってくれた?魔法少女ステッキ欲しい!って思ってもらえたかな?この配信を機に【漫吉工房】の商品を購入したい!と、そう思ってもらえたのなら……ぜひ、夢と浪漫を詰め込む漫吉工房を応援してあげてほしい。配信の概要欄にも工房のURLは貼ってあるからそこからアクセスをしてくれよなっ!」
:うわぁ!?急にイケボで長文を喋るなァ⁉
:めっちゃ作った声なのは笑うがコレカンペの原文ママなの?
「いやいやいや!!全然そんなことないっす!先輩に渡したカンペには『今日の配信ですごいと思ったらどうぞ漫吉工房をごひいきにしてほしい。概要欄にURLも貼ってあるから。』ってセリフしか書いてないっスよ⁉」
:じゃあ白狐さんのアドリブってことぉ?
:1.2倍くらい文量増加してて草なんだ
@友人A:さてはコイツ…さっきまで全力で可愛い女の子演じてたからその癖が抜けてねぇな?
:普段の白狐さんだったらやらないよなこんな宣伝……
@友人A:うんやらな……いや、全然やるわ。学生時代男子たちからリクエスト受けてアニメの声真似とかしてたわww
:なんか……白狐さんのクラス退屈しなそうだなww
「じゃあお前ら。おつかれ」
「お疲れ様っスー!」
:乙ー!
:乙!
:今日も見所さんいっぱいだったなぁ




