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【炎上は】いつもの癖が出た【怖いね】

さて。オークキングダムのお肉を狙うのは確実としても。後ろのお姉さんに怪我させるわけにはいかない。となると……


「【眷属召喚】カイ。結界をお姉さんにね」「ここーん!」


カイに結界を貼って守ってもらう。これで万が一を考えずとも済む。彼女は危険から守られる。俺は戦闘に集中できる。まさにwin-winというやつだ。


:白狐さんなんで天音ちゃんのことお姉さん呼びなの?彼女年下でしょ。

「ん。子供扱いせずかつ、相手の気を悪くさせない処世術。母から教わった。」

:変わったお母さ……良いお母さんだね!

:コイツ…!この一瞬で適応しやがった…!

:ガコンって音がしてそう。


「ブモモモォ‼」


腕掴まれて動けないのに痺れを切らしたか。咆哮と共に配下を生み出した。その数は15。剣士に盾使いにソーサラーまでいる。多種多様だね。ただし…俺と眷属ちゃん達の相手ではない。


「【召喚】ライ、ジジ」「こんッ!」「コン。」

:おっ、今日はオールスターでござるな

:フウちゃんだけ実体化してないけどな

:でもフウちゃんは今日大活躍よ?ずっと白狐さんが憑依してたもの

:あの…この眷属?って何体いるんですか?

:6体ね。


「ライは左翼側、ジジは右翼側の殲滅よろ」「こんっ!」「コーン!」


返事をするやライは迅雷と化して雑兵の元を駆ける。通り過ぎた兵士は雷で焼かれている。対するジジは声で衝撃波を起こして兵士を一か所に集めている。多分でかい岩落としてまとめて片付けるんだろう。対処の仕方に個性が出るのも面白いよな。


「ブモッ⁉」

「驚き?一瞬で片付いたから?でもまだ。瞬き厳禁。」

:オーク王「数的有利を取ったのに秒で覆されました助けてください」

:国王オークさん今どんな気持ち?NDK?NDK?

:く゛や゛し゛い゛!


……片腕はズタボロになるけどまぁ、ドロップの許容範囲でしょ。フウの憑依による身体強化補正に風を纏わせた拳で本体の拳から肩までを殴る。そうすると相手の拳から風の刃が内部を切り裂く。これで相手の片腕を機能不全にすると同時に利き手である右手を自由にする。そして本体が痛みにのけ反る間に背面へ回り、そのまま手刀を相手の首に振り下ろす。いわゆる”首トン”ってやつだ。今回は相手の意識を奪うものじゃなくてガッツリ首を斬り落とすものだけども。


:出たァッ!首 ト ン だ~!(実況風)

:恐ろしく速い手刀、俺は見逃しちゃったね

:親の顔より見た構文

:もっと親の構文見ろ


俺が決着をつけると同時にライとジジも戻ってきた。どうやらあえて俺が王を打ち取る瞬間まで待っていたようだ。


ドロップ品は……お、肉落ちてる。まぁ、品質は分からんけど。

***

(天音side)

凄い……一瞬で…あの化け物を倒しちゃった……どういうスキルかは分からないけど私を守りながら、しかも呼び出されたお供達もあの人が出した黄色の狐ちゃんとマロン色の狐ちゃんがすぐさま倒していたし…

それに、治癒魔法の練度も高い。あの赤い狐ちゃんの魔法…短時間しか受けてないのに私をふっとばしたオークから受けた傷もダメージもほとんど治りきってる。


:す、すげぇ…

:天音ちゃんの周りにもオークが出たときはどうなるかと思ったけど……そんなの関係なかったな……

:コレ…本当に現実か…?は、白昼夢だったんじゃないよな…?

:安心しろ。現実だ。頬をつねったが痛かったからな……

:こんな探索者が……日本でくすぶってたってことかよ…?


未だに衝撃から抜け出せない私とリスナーにその人は改めて向き直った。


「お姉さん、怪我はない?」

「は、はい。お陰様で…あ、私!風繰天音って言います!助けてくれてありがとうございます!」

「気にしないで良い。探索者同士は助け合うべき。……俺のことは白狐さんとでも呼んでほしい。身バレは……めんどくさい。お姉さんも配信者らしいし。」


:おっ良いこと言うやんお兄さん

:行動も心がけもイッケメェンですねェ


「あ!今更ですけど、カメラ、映っちゃって大丈夫でしたか⁉」

「問題ない。俺も一応配信してる。ほら。」


彼が指さす先には確かにダンジョン配信用のドローンが浮かんでいた。


「あ。こっちも映しちゃってた。カメラ切る?」

「いいえ!大丈夫です!それでその……」

「? ああ。ドロップ品は風繰さんの物。元はお姉さんの獲物だし。」

「え!?貰えません!私何もしてないどころか助けてもらった身ですよ⁉むしろドロップ品はもらってください!お礼をしなきゃいけないのはこちらなんですよ⁉」

「んー……やっぱ良い。確認したいこと知れたし。お礼も仰々しいのは嫌い。ドロップ品貰うことが俺へのお礼になると思ってくれればいい。それより、傷は治したはずだけど、立てる?」


そういえば私ずっとへたり込んだままだった。……あれ。おかしいな、安心したからか足に力が入らないな……あ、あれ?な、涙も急に出てきた……ああ。私、助かったんだ。またお父さんお母さんに会えるし、弟の見舞いにも行けるんだ…!今更その事実がやっと認識できて安心したらしい。生きてる実感を感じた。


「えっと、あの…泣かないでほしい……ど、どうすればいい?」


:俺たちの天音ちゃんを泣かせたな!この外道め!

:やっぱりこんな怪しい男に俺らの天使を任せられるか!

:まぁ緊張の糸が切れたんやろしゃーないわ。


「ち、違うんです!生きてることに安心して……力が抜けちゃって…」


私は涙を拭って立ち上がろうとした。でも立てない。……どうやらさっきので腰が抜けたみたい。

「その…お恥ずかしいんですが…腰が…抜けちゃったみたいで……」

「…あー、置いてく訳にはいかない。入り口まで送る。……失礼。」

「へ?きゃあ⁉」


:⁉

:は?

:は?

:は?

:おいこら俺と変われ!(血涙)

:あらぁ^~


白狐さんは動けない私を見かねてか入り口まで運んでくれると言うけれど……まさかそんな。…お姫様抱っこだなんて思わないよぉ~⁉ は、恥ずかしい…///

多分私の顔はリンゴもびっくりなくらいに赤いと思う。み、見ないで……


「は、配信ちゅ…しゅうりょー!!」


恥ずかしさのあまり嚙んじゃった⁉これじゃ恥の上塗りだ……

ちらっと確認したけど私のドローンはしっかり配信のランプが消えていた。良かった。

***

(白狐さんside)

風繰さんは腰が抜けて動けないと言う。流石に置いていくわけにはいかないとは思ったがさっき(安堵のとはいえ)泣かれてるし、動揺してたから前抱きいわゆるお姫様抱っこの姿勢で彼女を抱えてしまった。別にお姫様抱っこをすること自体は俺は何の問題もないが人気配信者らしいし。これは俺炎上待ったなしだな。まぁ、チャンネル特定されても個人情報まではたどり着かんだろ。と楽観視していく。まぁ今更降ろすわけにもいかずそのままの態勢で1階層入り口に向かっている。ドローンはカメラを切ってはいないが俺の肩に載せて前だけを映している。


:ひゅーひゅー!やるねぇあんちゃん。おいたん感動しちまったよ。

:これが青春ですか。眩しィー!

:あー、羨ましいわ~。私も白狐さんに窮地を救われたうえでお姫様抱っこされたい

:ちなみに何故お姫様抱っこ?

「妹が俺によくやってってせがんでくるからつい。」


:え!?妹にお姫様抱っこを⁉…義理の妹か何か?

「実妹だが?」

:もしかしてヨスガ…

:それ以上はいけない

「違う。俺がドが付くシスコンなだけ。」

:それ妹ちゃんも大概ブラコンじゃな~い?


:待て。せがんで「きた」じゃなくて「くる」って言ったぞ!現在形だったぞ⁉

:HeyHey!妹ちゃん何歳よ~⁉

「16。頑張ったご褒美にたまにやるよ。」

:急に生々しさが出てきたな…

:勝手に言っとけ。


腕の中で顔を手で覆っている風繰さんは一生唸ってるから多分この視聴者との雑談は聞こえてない。まぁ、変に下見て騒がれるよりは良いかも?今ダンジョン上空を突っ切っているから。


そして数分。入り口に着いたので彼女を降ろす。

「風繰さん、着いた。」

「へ…あ、本当だ。いつの間に…」

「天音!良かった、無事で」

「あ、マネージャー!」


入り口に行くとスーツに身を包んだ女性がこちらに、正確には風繰さんのもとに走ってきた。その表情には泣き跡が残っているのが見て取れる。とても大事にされているようだ。


「そちらの探索者の方、この度は弊社の大切なタレントである天音を助けていただきありがとうございます!後ほど、事務所の方からお礼をさせていただきますね!」

「大丈夫です。大した事してませんので。」


俺は風繰さんを彼女のマネージャーさんに預けてさっさと探協へ向かう。後ろで彼女が何か言っている気がするけど絶対面倒なので無視。


「じゃ、配信終わり。お前らお疲れ。」

:白狐さんもお疲れー

:乙

:今日も楽しかったわ

:絶対今日の切り抜き出るよな

:とうとう白狐さんも有名になるのかー。この緩い配信が好きだったんだけどなァ。

:一応参考程度に脱出RTAの記録乗せとくぞ。19分15秒だ。

:草。あのトラブル含めてちゃんと間に合ってるんかい!

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