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魔本、ゲットしました!!

DxDサ終が決定し、息してない麻莉です。

 戦闘場所がお風呂で心底、良かったと思う。


 古来、飛行能力を有する生物は空を我が物顔で飛んでいる。


 空は際限なく広い。だからこそ、自由気ままに飛行し続ける。




 でも、自由も制限が付与されれば不自由となる。





 風呂場の天井。天井壁スレスレで飛行している《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》。人型の蝙蝠モンスターは機会を待っている。


 今、私たちがいる場所はお風呂場。


 湯気が立ち込めていた。《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》は私の周りに煙が集まるのを待っているのだろう。


 少量とはいえ、煙は厄介だ。掴めない、殴れない、斬れない。さらに視界を悪くする性質を持つ気体。




 湯気が発生する温度が部屋を支配している。悠々と飛行している《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》に警戒しつつ、装備を変更していた。


 熱さ対策なら、他の装備品よりも”炎蘭の艶衣(カーハク)”が一番。

 マグマもない戦闘エリアなんてチャイナドレスの敵ではない。熱さは”炎蘭の艶衣(カーハク)”で解決。


 戦闘開始してから十分が経過している。【星なる領域(スターリースカイ)Lv.5】のおかげで9分間も無傷を貫ける。


 しかし、【星なる領域(スターリースカイ)Lv.5】の効果時間が終了しスキル解除。【EM】があっても条件で再利用はできない。後の戦闘は《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》の攻撃を避けるしかない。


 手足の鋭い爪を利用しての攻撃。私が何をしても倒れない苛立ちで浴槽の熱湯をぶちまける、翼に生えている爪で壁をカッターの如く切り裂いていた。


「相手は冷静ではない......」


 冷静ではないモンスターなんていい的。速攻を決めたい。


 でも、《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》が熱湯をぶちまけた影響で床が水浸し状態。《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》へ跳躍や回避行動を起こしたい。


 でも、足が滑ってバランスを崩せば狙われる可能性は大。加速スキルなんて使ったら滑って顔面激突、布製の装備品が多いので水を吸収してしまい、体が重くなる。


 足装備をハイヒールの”炎削の鷺(ドリューエン)”から黄色のブーツ”明察の魔力靴”にしている。ハイヒールを履いた状態で水に侵食された床を走った時には転倒事故まっしぐら。幾分かマシのブーツに装備変更した。





 コウモリ怪人は体を翼で包み急降下する。足にも鋭利な爪が付いている。先端が鋭いドリル回転を喰らえばダメージ量がバカにならない。


 杖武器は先端部分は面積があるが防御するには向かない。持ち手部分も然り。《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》の初動攻撃をモロに受けた。攻撃がヒットしたのは大きく振った横からの加速爪攻撃だけではない。防御する面積が足りなかったから。


「今度は完璧!!」


 大型のグローブ武器である”鬼蜂の拳(キラー・スティンガー)”。グローブでしっかり《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》の足突き攻撃を防いだ。【牙城の(ガーディアンズ)幻影(・ファントム)】を起動した。おかげで”鬼蜂の拳(キラー・スティンガー)”の耐久値は減らない。


「刺す攻撃はお前の専売特許ではない!!!!」


 ”鬼蜂の拳(キラー・スティンガー)”に付属している蜂針。弾丸の如く撃たれた敵に毒を与える蜂針は《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》を狙う。


「惜しかった......」


 《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》は蜂針が当たる瞬間に翼を仰ぎ、進路を変更した。

 敵の体に少しでも蜂針が掠れば、毒状態にできたのに......


 MPを消費して蜂針を生成する。


「やっぱり、翼が邪魔ね」


 低空とはいえ飛行能力は厄介。翼を使用不可にするためには切り刻むかもぎ取るか。

 うん? 新たなモーション?


 《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》が足を壁につき、顔を大きく開き、大量の空気を吸う。顔だけを反り、前へ出す。


 開いた口からは鳴き声は聞こえない。




「クッソォォオ!?」


 グローブで耳を抑えてもダメだった。蝙蝠が持つ超音波攻撃。空気を吸う事で発射する超音波エネルギーを増幅できる攻撃なのだろう。視界がぐらつく。ステータスを細くなった目で確認すると混乱状態になっている。


(状態異常なら......)


 すぐにウィンドウ操作を行う。苦しみに耐えれず、膝をつき倒れ込む。


 どうする、今取れる行動は無理して跳躍して《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》の胴体に拳を叩き込む。でも、耳から”鬼蜂の拳(キラー・スティンガー)”を離さないといけない。天井と床の距離で苦しんだ。至近距離だと鼓膜が破れる衝撃だと予想。


 何か行動しなくては今度こそ貫かれるか切り裂かれるかもしれない。一瞬でいい、相手がモーションを解除する行動を私が取れれば......ダメだ。考えると頭が痛くなる。




 薄れゆく視界の中で水が目に入る。


 水......水中、予期せぬ行動......!?


「一か八か......」


 水面目掛けて【チャージング・アクセルフォース】を起動。水中へ飛び込んだ。


 大きな波紋が生まれた。勢いよくダイブした事で大量の水飛沫と大きな水音が発生。《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》は私の予期せぬ行動に驚き目を見開く。一瞬、超音波攻撃を解除してしまう。


 解除したのは致し方ない。敵が上がってきたら最後、っと再び増幅超音波攻撃を仕掛ける準備を始める蝙蝠怪人。










「重い......」


 水面から這い上がってきた私の心境はブルーな気分全開。

 お風呂場なんだから全身ずぶ濡れなのは当然......


 しかし、全身ずぶ濡れは身一つで入浴した場合であって決して服を着たままの状況ではない。薄い生地でもあるチャイナドレスでさえ、水を吸収すれば重い装備。髪も濡れ、服は肌に張り付いて気持ちが悪い。



 思いの外、早く上がってきた私に対して超音波攻撃を放つ。未完成の増幅超音波攻撃とはいえ、苦しみを与える威力。再び倒れた隙に爪で切り裂き、牙を首筋に刺し、吸血を行う。


 っと《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》は考えているだろう。


「ふふん!! 効かないわ」


 水中で装備変更。”鬼蜂の拳(キラー・スティンガー)”から”星刻の錫杖(アストロ・ワンド)Lv.5”。

 速攻で『|清浄なる世界へ《ヴィム・エブリエント』で混乱を解除。


 叶うなら水中から攻撃したい。でも私は人。水中対策をしないと呼吸すらできない。さらに光や電波なら減衰できるけど超音波は水中でも威力が弱まる事はない。


 なので空気がある場所へ戻ってきた。



 《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》は先ほどまで効いていた超音波攻撃が効いていないと認識していた。



【威圧冠】を起動。口角を歪める。黒魔術師の実験体とはいえ素体である獣特有の危機察知が反応したのかもしれない。無意識に恐怖したのだろう。挙動がぎこちないモノになった。


 私が起動した【威圧冠】で攻撃はキャンセルになる。追撃で【恐赭の喝采(トート・アプラオス)】や【魔性の微笑(ファム・ファタール)】を起動したかった。スキル効果で敵は私に怯えながら魅了される、カオス状態を生み出したかった。


恐赭の(トート)喝采(アプラオス)】は複数の敵がいないと発動しない。【魔性の微笑(ファム・ファタール)】も魅了状態にしたくても【威圧冠】の怯みが上回っているため不発になった。



 湯船から出て、床に足を置く。


 ヴィクトール大図書館では魔力が高い上、自分の魔法で自爆していた。自分が放った魔法攻撃が敵の攻撃で反射されダメージが入る例外は存在する。例外を除けば、自分が放つ魔法は自分にダメージは入らない。



「......焼き加減はどうしますか?」


魔道の右腕(マジカル)】、【心扉開闢】、【艶美魔々】、【攻雷(アサ):中】で雷攻撃の威力を上げる。敵のウィークポイントを教えてくれる【解析 Lv6】の指示に従い、雷魔法を放つ。


「私のオススメは黒焦げよ!! 『サンV(ヴァ)』!!」


 雷は生き物の如く流動的に一直線に《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》へ向かう。

 体は雷が命中した事で焼け焦げる。下界へ落ちていく蝙蝠怪人。



「酒はないから、火力だけを上げるわ!!」


「『フレイム』!!」


 ”星刻の錫杖(アストロ・ワンド)”の先端から火が唸りを上げながら吹く。怪しくも美しい炎は折れない柱となる。

 燃え盛る真っ赤な焔は強力な火炎放射となり、《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》を燃やす。



 初めの黒卵と同じ様に真っ黒な体になる《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》にトドメの一撃。


 蹴り攻撃に補正が入る【印能量(マイティー)】。上段蹴りキックを喰らわせた。





 全身に亀裂が入り、ド派手な爆発エフェクトを起こす。爆発と同時に《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》は爆散した。





 床には《ウェントゥス・アクロバテース・ウェスペルティリオー》のドロップ品なのか一冊の本が落ちた。


 分厚い革装本。縁は銀色一色。背表紙には”13”の数字が金色の刺繍であしらわれていた。


 手に触れた瞬間に手のひらサイズにまで本は縮んだ。




 ・ヤミコウモリ伯爵三世の冒険鬼【魔術本:No.13】

 暗き住人が噛みつく時、永遠の命を賜う。


 コウモリを模した使い魔を召喚できる。


 持ち主が【魔術本】に魔力(MP)を注ぎ、開く事で使い魔を召喚できる。与えた魔力(MP)が尽きると、使い魔は【魔術本】へ戻る。

 使い魔を魔法道具へ纏わせる事で使い魔の能力を得る。魔力消費は激しい。

【魔術本】たちには相性の良し悪しが存在する。相性のいい二冊の【魔術本】の使い魔を同時に召喚すると強大な力が解放される。

 逆に相性が悪い組み合わせで使い魔を同時召喚した場合、持ち主は【反魔】のデメリット効果が付与される。


 ※【魔術本】は奪われない、破壊不能、譲渡不可

 ※【反魔】状態では呪文・魔法が一定時間封じられる。

 ※状態異常:【反魔】は解呪できない。解けるのは時間経過のみ。



 なんか使い魔ゲットしました。





お読み頂きありがとうございます!

ブクマ、評価、感想ありがとうございます!




次回、三章エピローグ...

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