カラクリ大図書館
《魔への分岐点》をクリアした私はその足でヴィクトール大図書館に向かった。
教師陣には何も聞かないでの目をした。もしクエストのアンケートを取られるならこの言葉だけ記載します。『疲れました』と。
後続で挑むプレイヤー数人へ視線だけでエールを送り、今にも死にそうな見た目で進んでいった。
後ろから『天才』とか『秀才』とか聞こえたけど。無反応を貫いた。どうでもよかったから......
「......疲れたから明日でいい? ケンバー」
大図書館の一階。テーブルに体を預けてリラックス状態の私は宙に浮く、本に提案した。
「お主はもう少し、年長者に敬意を払うことを学んだほうがいいだわさ」
「師匠には......愛称が大事だよ」
難しい顔をするエヴィリオン・ヴィクトール。
「私が亡くなってから......変わりすぎなのだわさ」
「柔軟な思考でやっていこう。ケンバー」
「”魔導師”には必要な考え方だからユミナの言葉には同意するが。せめて”ケンバー”なる私の愛称は変更を提唱するだわさ」
「賢者のおばあちゃん......略してケンバー。何がダメなの。可愛いけど?」
私の当たり前の顔を見て引き攣っているケンバー。
「ユミナの感性を疑うだわさ」
「人なんて、いろいろな考えを持つ種族じゃん〜」
「ユミナは頭一つ......いや稀代の変態だわさ」
変態だって......賢者ならもう少しボキャブラリーを養いなよ。
「やはり、お嬢様は”変態”ということですね!!!」
二階から降りてきたのは分厚い書物を持ってきたヴァルゴ。
両手で抱える量を持つヴァルゴは嬉し泣きしていた。
ハンカチ貸しましょうか?
「ねぇ〜 ヴァルゴさ〜ん」
机に本を置き、私の顔を見たヴァルゴはビクッと体を震わせた。
「前に言わなかったっけ?」
あっ、逃げた。
命拾いしたわね、ヴァルゴ。疲れ切っていなければ”わかわせ”行動を起こしていたから。
「ねぇ、ケンバー」
「はぁ〜 もういいだわさ。どうした、ユミナ?」
「なんで私、大図書館に入れたの?」
扉からのビンタは回避できたからよかったけど、そもそも入れた理由がわからない。
条件をクリアした行動を取った記憶がない。
「実はな......私が建てた大図書館は強者しか入れないようにしてある」
「『強者』?」
「閉じた状態で大扉は自動的に対象を鑑定できるようにしてある。私が決めた基準値を超えた魔法力が強い者や全体のステータスが高い者だけは攻撃を素通りできるようにしただわさ。基準値を超えなかった者には、前にも言ったがあの大扉に私が創造し付与させた『呪縛』による攻撃が発動する」
『呪縛』は強力。私も体験したから覚えている。
「大扉が開いた瞬間に『呪縛』が起動するだわさ。これで資格者を絞る」
『呪縛』で呪文やスキルを使用不可にされながらも果敢に大扉と戦闘した者だけが入れるってことだろう。
「絞った者をさらに選定する。残った手は己の力や培った知恵のみ。大扉に勝利した者だけが入れる」
「武器で楽勝......だよね」
「武器による外付けで強くなっても意味がない。武器を使用不可にする『解技』がある」
「はぁ!? 『解技』って武器使用不可の魔法なの?」
二階にいるだろうオフィへ視線を向ける。
「ユミナの様子を見る限り、アヤツは大図書館に保管していた私の創造魔法を習得したのだろう」
「実際に私に使用したのは『呪縛』だけでしたが」
「恐らく、『解技』も使ったのだろう。でも、効かなかった。理由は一つ。私が作った『解技』を上回る武器があった。それだけだわさ」
「星刻の錫杖、彼岸の星剣、赫岸の星劍......」
それにしても創造主からの大図書館の入館条件を聞くと......
『呪縛』で呪文やスキルを使用不可にして、『解技』で武器も使用不可にする。残ったのは自分の拳だけ。身一つで戦えと......なんか泣けてきた。
「強い者じゃないとは入れない......か。オフィも一応、魔法使えるし星霊だし」
「聞こえているわよ〜〜」
三階から響く声。周りが静かだから私たちの声もよく通る。
「星霊クラスは簡単にパスできるってことか」
カプリコーンも今階段を登っているヴァルゴも戦闘面で言えばエヴィリオン・ヴィクトールより上だろう。創造主よりも強い者と敵対したくないと大扉が判断して入室を許可したのかもしれない。
「で、私は?」
問題は私だ。先三人よりも劣る私。魔法使いからワンランク上の魔術師になったけど、大図書館に入れたのは《魔への分岐点》を受ける前。ってことは未熟魔法使いのユミナちゃんという訳。大図書館に入れる条件を満たしていない。
「ユミナの話では大扉は開いたから......素通りできる基準値は超えていなかった。攻撃する瞬間に星刻の錫杖を見て、停止したのだろう」
「ということは、私は武器を持っていただけで入館を許可された......」
「まぁ、総じて言うならそうだわさ」
分かっていたことだけど、暴れそう。
「そんなに落ち込むな。だから私がいるだわさ!!」
「ケンバー」
「ユミナを”魔導師”。さらにもっと上へと育てる。だから安心しろだわさ」
「ケンバーがいい人すぎる」
「私は初めからいい人だけど......まぁ、よいか〜」
「じゃあ、やりますか。お願いします!!」
PN:【ユミナ】
性別:【女性】
種族:【人間】
職業:①:【星霜の女王】
②:【魔術師】
所持金:173205080ノター
Lv:75
HP:105 杖:(+600)
MP:200 杖:(+1200)魔術師:(+500)
STM (スタミナ):55 杖:(+600)
STR(筋力):60 杖:(+600)
MAT(魔法攻撃力):100 杖:(+600)装備:(+300)
DEX(器用さ):50 杖:(+600)装備:(+100)
AGI(敏捷):30 杖:(+600)装備:(+100)
VIT(耐久力):30 杖:(+600)装備:(+300)
LUC(幸運):60 杖:(+600)装備:(+100)
CHR(魅力):70 杖:(+600)装備:(+100)
〜装備欄〜
頭:リーリエの魔法使いの帽子【月白】 VIT:100 MAT:100
上半身:ヴィクトール制服のローブ【洋紅】 VIT:100 MAT:100
下半身:ヴィクトール制服のスカート【洋紅】 VIT:100 MAT:100
足:マリアーヌ製の安全革靴【白練】 AGI:100 CHR:100
右武器:星刻の錫杖Lv.6:【ENERGY MOON】120/120
左武器:熱火の魔法棒
装飾品
①:オフィの指輪:蘇生回数:2/3
②:白のマリアーヌ製革手袋 DEX:100 LUC:100
〜スキル欄〜
【攻撃スキル】
・螺旋状の乱射
・スラッシュパワー→五月雨連撃
・ロック斬り→ブレイブラッシュ
・十字斬
・旋風蹴り→霧風
・弧一突
・印能量
・ダブルスラッシュ→ザッパーショット
・スクリュードライバー→衝撃拳
・烈闘
・ボンバーザック
・エヴァカウンター
【状態異常スキル】
・威圧冠
・魔性の微笑
・恐赭の喝采
【パッシブスキル】
・勝利の義勇
・龍脈の中頂
・魔速の流動
・ソウルチェーン
・チャージング・アクセルフォース
・ホッパームーブ
・暴走の代償
・フォーカスアイズ
・諸刃の心核
・魔道の右腕
・魔道の左腕
・隠者の努力
・命装武を纏いし存在
・逆転の命殺
・牙城の幻影
・四願の福来
・二重絆
・艶美魔々
・好機姫幸
・心扉開闢
・死突猛延
・微壁の鉄
・気配探知
・解析 Lv6
・攻火炎:高
・無火炎:高
・反火炎:中
・攻流水:高
・無流水:中
・攻氷結:高
・無氷結:中
・攻風:中
・攻雷:中
・毒耐性:高
【その他スキル】
・光る遠隔器
・採取 Lv10
・鑑定 Lv10
〜呪文欄〜
ファイE (30)
フレイムLv.1(10)
ウォーE (30)
アクアLv.1(10)
リキッド(20)
アイE (30)
コールドLv.1(10)
リーフLv.1(10)
ランドLv.1(10)
ポイズE (32)
サンダー(15)→→サンV(60)
ハリケーン(15)→→ハリV(60)
トルネードLv.1(10)
シャイン(15)→→シャG(45)
スリープ(10)
吸血・改(9)
吸魔・改(9)
軽壁・改(9)
強勢・改(9)
回復・極(30)
回復の雨(15)
脳天落とし(4)
眼眩し(4)
〜【星霜の女王】専用〜
スキル:星なる領域Lv.5(EM:9)
仲絆の力(EM:8)
簡易の偽月(EM:8)
煌めく流星(EM:12)
魔法:清浄なる世界へ(EM:15)
月光からの愛(EM:10)