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眼は変色、口は開店中

 武器は星刻の錫杖(アストロ・ワンド)にしたけど、順次新武器を試す予定。

 攻撃系統スキルが欲しい、プラスいろんな武器種を触ってみたい欲があったから。


 防具は幽天深綺の(ファンタズマ)魅姫(・ドレス)ではなく、炎蘭の艶衣(カーハク)のまま。


 洞窟内では幽天深綺の(ファンタズマ)魅姫(・ドレス)の効果は期待できない。一応、炎蘭の艶衣(カーハク)を装備する前なので純白のドレスでもある【劫力白双(シャイニング)】モードになっていた。今回はフィールドがダメージ発生のオンパレード地形。幽天深綺の(ファンタズマ)魅姫(・ドレス)はしまって炎蘭の艶衣(カーハク)で攻略していく予定。



「【光る(ファンネル)遠隔器(・ランプ)】」



 何気に古参の【ランタンの()】がスキル変化したのが【光る(ファンネル)遠隔器(・ランプ)】。今までは杖の先端だけ光源を発生させていた。でも【光る(ファンネル)遠隔器(・ランプ)】に変化した結果、光源を飛ばせる効果に昇華した。


(これ、絶対に魔法だよな......って時々、思うよ)



 私のMPは星刻の錫杖(アストロ・ワンド)の効果も相まって1000は超えている。使用者のMPによって発動時間が異なる【光る(ファンネル)遠隔器(・ランプ)】。MP:1000もあれば二十四時間フルに発動できる。


 暗き世界よサラバだ。これからは光輝く世界へと生まれ変わるのよ......






「そのスキル、変化させているプレイヤー。久しぶりに見た」


「あまり使う人いないんですか」


「暗い場所でもくっきり見えるスキルや魔法があるからね」


「私も視力強化スキル手に入れようかな。あっ!?」


「どうした?」



 今私たちが歩いているのは『ヨォーギャン』の洞窟道。周りに鉱物点在していた。【採取】のスキル効果で何となく分かる。せっかくだし、入手しておこう。


「キラキラしてる?」


 ・火晶石

 火の魔力が結晶化した鉱石。投げると火が出る。


 ・熱晶石

 高温の火が内側に封じ込められている鉱石。


 ・鉄鉱石

 鉄になる前の鉱石。鉄への精錬は腕次第。


 ・溶岩の一片

 マグマが固まって出来たかけら。燃焼材として使われる。



「タウロスにおみやげっと......」



 鉱石を回収し終えた私は周りを確認した。【光る(ファンネル)遠隔器(・ランプ)】という光源が使用して初めてわかった。視界に映る景色が真っ赤な世界だった。触れば焼き尽くさんとする壁に地面。思考しなくても赤色を見てしまうだけで汗が止まらない感覚に陥る。


「早速......か」


 私たちは臨時パーティーを組んでいるのでお互いの名前とHP・MPだけを知っている。ここにパッシブスキル、外部からの攻撃で発生するバッドステータスが表示される。今私たちのステータスには【熱ダメージ】のアイコンが追加されている。入り口付近での熱ダメージに危険は少ない。だが、ちゃんとした耐暑の対策をしていないと最後は詰む。



「『清浄なる世界へ(ヴィム・エブリエント)』」



 私が呼ばれた要因の一つ。状態異常回復要因。

 熱ダメージ、洞窟の奥に行けば火傷・炎上のバッドステータスを喰らう回数が増える。

 実際の戦闘中に『清浄なる世界へ(ヴィム・エブリエント)』を試すよりも移動中に見せた方が変な切り替えをしなくて済む。


「熱ダメージも問題なく、解除できる......どうしました?」


 クイーンさん以外は目を点にしたり、声を荒げたいがモンスターに見つかるリスクを鑑み、堪えた表情を浮かべていた。


 クイーンさんが咳払いをした。


「お前たち、ユミナが困っている。ハニワはやめて、何か喋ってくれ」


 我に返った魔術師のニッカが無理した微笑みながら口を開く。


「ユミナ、今から煉獄エリア行かない。猛暑ダメージも解除できるよ」


 負けじとカトリナ、ナーデンも加わる。


「いや、氷河エリアに行こう」


「何言ってるんだ、二人は無視してさ。僕と『ヴェレーノ・ディリティリオ』ってフィールドに行かない。毒地獄は懲り懲りなんだよ。もちろん、報酬ははずむ」


 三人が私の取り合いを始める。私の人権は......





 見かねたクイーンさんが手を叩く仕草をする。


「はいはい、そこのみっともないヒト族たち。置いてくぞ」


「クイーンさん、私の魔法って......すごいんですか」


「なるほどな、ユミナは強大なNPCでもある()()()と一緒に過ごしていたから驚いているんだろう。ユミナが所持している魔法、スキルは『オニキス・オンライン』が正式リリースしてから誰も持ってないし聞いたことがない代物ばかりだ。私の杞憂も間違えじゃなかったようだな......」


「はい、ヴァルゴたちと冒険している関係上、他のプレイヤーとはパーティーが組みづらくて......」


「今後も無闇に他プレイヤーと組む必要はない。ユミナが信頼をおけるプレイヤーだけの方がいい」


「あ、ありがとうございます」







『ヨォーギャン』の洞窟は全部で五階層の洞窟。一層ごとに勾配した階段を降りる方式。地下に進むに連れて熱ダメージが倍増する。三階層からはプラスしてマグマの湖が出現。マグマということでアバターが燃えるような灼熱地獄を味わいながら進むしかない。耐熱や耐炎の準備をしていたとしても耐えれるレベルを超えるマグマの暑さがプレイヤーを襲う。なので、大量に回復薬を準備してもすぐバッドステータスを喰らう。このループが嫌で『ラパン』周辺の洞窟に挑むプレイヤーはほとんどいない。


「暑さを耐えた者だけが、旨みを手に入れるってことか......」


 二層と三層の間の階段で私たちは休憩していた。階段は運営の良心なのかバッドステータスが発生しない仕様となっていた。


「それにしても、モンスター全部が炎を纏いながら向かってくるとは思いませんでした」


 私の率直な感想に笑う四人。


「慣れると楽なんだけど、余計に耐熱薬や耐炎薬を使うから長時間はいたくないよ」


「でも、今回はユミナがいてくれるから、余裕を持って三層に行けるよ」


「それじゃ、三層に目的の蜘蛛モンスターがいるんですか?」


「そう、三層の奥にいるのが『プラーミア・スパイダー』」


「『プラーミア・スパイダー』が落とす糸、『炎耐撚糸』を300個用意するのが私たちの目的」


「確か、『炎耐撚糸』を船の材料にするんでしたっけ?」


「うん、私たちが誰よりも先に『リリクロス』に行くため」


 なんか、すみません。第一位は私なんです......



「た、確か......行くのがすごく困難だと聞いています」


「途中までは優雅な航海。一定ラインの海域を超えると大量の渦潮、鳴り止まない落雷。そして、なぜか雷と一緒に落ちてくるのが、」


「マグマの槍。あれは無理だよ」


「実際の体験談を聞くと、行く気が起きませんね......」


「普通は諦めるのがいいんだけど、新しい世界に行けるって思うと心を踊ってしまってね」


「諦めるのは、『スラカイト』にある船の素材になりうるアイテムを全て試してからでも遅くはないかなって〜」



 なんかいいな、情熱ってやつだね。それにしても折角解放した『リリクロス』なのに、プレイヤーが未だに正規の方法で行けないなんて......何か条件があるのかな。現状では私には先の話だし、いざとなれば私はワープしていける。

 そんなに深く考えなくても問題はない。



「さてと、行きますか」


 クイーンさんの合図で私たちは目的の三層へ進むのだった

過労死が重度の過労死へチェンジ~

遂に、プレイヤー側からも熱い目を受けるユミナ様

麻莉は海をなんだと思っているのか......

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