初めてのゆけむり......！？
第一回：仁義なきアイテム回収大会の褒美順は先発がアリエス。中継ぎがヴァルゴ。クローザーはタウロスとなっている。
アリエスの願いは完了され、すっかり夜となっていた。ログアウトして休憩中に、グループに真凪に対してメッセージを送ってから夕食を食べて、ログインの準備をしていた。
のはずだったんだけど......
「いいお湯〜」
「そ、そうだね。確かに気持ちいいよ！」
何故か私は白陽姫ちゃんと一緒にお風呂に入っていた。
隣には湯に浸かりながら吐息を漏らす白陽姫ちゃん。確かに白陽姫ちゃんの気持ちもわかる。お風呂は人類の発明で一二を争うって位に革新的なもの......合っているよね、まぁ、いいか〜
それにしても白陽姫ちゃん......肩が当たっているのに白陽姫ちゃんは気にする素振りが全くなかった。義理とはいえ、私たちは姉妹関係で同性。そんな気を起こすはずもないか。いや、決して私はそんなの望んではいない。いないけど......少しは意識して欲しい自分もいた。って何を考えているんだ私は！？
「ごめん、急に誘って」
そう、私が入るタイミングで先に脱衣所に居たのが白陽姫ちゃんだった。私は後から入るよと言ったがどうせなら一緒に入ろうと誘ってきたのが白陽姫ちゃんだ。多分、姉として妹を待たせたくない気持ちと一緒に入れば時間短縮になるからの提案だったと思う。
「全然、断る意味もないし。むしろ良かったよ」
「『良かった』？」
「こうして身近な人と一緒に入ることなかったから。父さんとは世間的な問題もあるし」
「そっか。いつでも言ってくれ。私でよければせつなと一緒に入るくらいはできるから」
「ありがとう......ふ〜う」
言葉には出さなかったことを褒めて欲しい。思考が変態さんに染まっているのは薄々気づいているけど......白陽姫ちゃんの全裸......初めて見てしまった。それもそっか、何を当たり前のことを。それにしても白陽姫ちゃんの体って言葉では表せなかった。チープな言葉でいうと綺麗、天使が合っているかな。出るとことは出てるし、引っ込んでいるところはしまっているし......同じ人間なのか疑ってしまう容姿を我が姉が有していた。
お風呂から出た私たちは自室に入った。長風呂も良いけど白陽姫ちゃんはこれからやることがあるとか、私もゲームの世界に行くし。
《せつなと愉快な仲間たち：SMKM》
真凪：せ〜つ〜な〜。あ〜そ〜び〜ま〜しょ〜う
せつな：文面が怖いんだけど。何かしら〜 真凪さんや〜
真凪：よくもあんな動画を送ってくれたわね。私が何したって言うのよ
せつな：自分の胸に手を当てて考えなさい
真凪：喧嘩売ってるぅぅ！？！？
奏：真凪、自分が傷つくだけだぞ
みはる：奏ちゃん......言わない方が
真凪：うぇええ！！！ みんながいじめてくる、今日の私は神なのに
奏：いつの間にか友人が王様から神にジョブチェンジしている件について
せつな：民衆の自由を獲得するには王を討てばいい。世界はそうなっている
みはる：せつなちゃんって、時々怖い発想するよね
せつな：真凪、自業自得。良くも逃げたわね
真凪：おっ！？ ってことは私の頭脳がキラメキ成功したようね
みはる：なんの話？
せつな：ゲームの話。さっきまで一緒に遊んでいたんだ！！ 真凪がいらん事吹き込んだから。あれくらいはしないと〜
真凪：心外だね。私はただ琴線に触れただけだし〜（口笛）
せつな：限度を知りなさい。と言うわけで仕返し決行しました！！
奏：だから、あれが急にきたんだ。びっくりした......でも、真凪の貴重な寝言だった
真凪：寝言じゃないし、独り言だし
みはる：どっちも同じ気がするんだけど......
みはる：せつなちゃんって暴走すると、頭よりも手を真っ先に動かす時あるし
せつな：本当は二人の分も送ろうとしたけど〜 教室での仕返し
奏：やめてぇええええええええ
みはる：いくら払えばいい？
せつな：身銭を切ってもやらないといけないことがあるんだよ
真凪：切るレベルじゃないんだけど......
せつな：因みに合成もやろうと思えば......
真凪：ごめんなさい！！！！ 許してください、今からせつなの所に行くから
せつな：それはごめん。これからもう一回、あのお化け屋敷に行くから
奏：せつなが自らお化け屋敷に行くなんて
みはる：もしかして、偽物？ なら心配ないわね
奏：だな、偽物ならあれらを持っている訳ないし〜
せつな：なら、今から爆弾投下します！！！！！
せつな：【動画】〈奏：三月版①〉【動画】〈みはる：九月版①〉
【動画】〈真凪：十二月版①〉
三人：ぎゃあああああああああああああ！！！！！！！！！！！！！！
真凪：ねぇ、私はとばっちりだと思うんですけど......せつなさん
真凪：またあそこに行くんだ......物好きだね、せつなは〜
「やはり、力こそ正義！」
「起きた主がいきなり脳筋みたいな事を言っていて反応に困るんですが」
「良いかい、ヴァルゴくん。質の良い情報や強力な力を持つことで人よりも優位に立てるのよ」
「......」
「どうしたのよ？」
「いえ、ただ......主は余程、強烈な夢を見ていたんだろうと思いまして」
確かに強烈だった。この世界を基盤にすればリアルの出来事は夢になるのか。
私たちは仲は大変良いよ。お互いの事をよく知っているし。知り合って一年以上が経過しているから割と分かる関係性。てか、星霊たちも殴り合いという名の会話しているじゃん。一撃、二撃のジャブを喰らわせてたらコンボ攻撃が決める的なやり取りを行なっていたと記憶しているけど
「さぁ、行くざます......ヴァルゴ殿」
「ユミナ様がおかしくなった」
失敬だね、私は私だよ。従者たるもの主人の初見行動に対処できないとこの業界ではやって聞けなくなるわよ。
ヴァルゴはようやっているよ、やってる。誉めて使わそう。
ほら、乙女の星騎鎧着なさい。貴女と妾吸血鬼の仲を修復しに行くわよ。
◇
白陽姫は顔には出していなかったが夏休みに入ったことで妙なテンションになっていた。静まることなく勢いのまませつなと入浴した。自室に戻って熱気が冷めてきて自分の行動がフラッシュバックする。赤面しながらタオルケットに包まり、絶叫していた。
「イヤァアアアッ！！！！！！」
当然、母さんに近所迷惑だと怒られていた。
因みにせつなは『オニオン』にログインしていたので白陽姫の絶叫を聴いてはいなかった。
もっと描写があっても良かったかもしれない......
せつなたちはそれぞれ他三人の恥ずかしいネタを持っている。
問答無用で送りあっているけど、四人以外に見せたことはない。
