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ソロプレイ中に人外NPCを助けたら、女型ユニークモンスターだけに囲まれるVR女王に就任した件  作者: 麻莉
シーズン1 2章 絶望は断ち切れ、希望は繋ぎ紡がれる
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良いことを教えよう~

 サブクエスト。メインのストーリー進行には全く影響しないクエストのこと。主にNPCたちが悩んだり困ったりしている時に話しかけると何かしらのイベントが発生し、その後問題解決のためにクエストを引き受けれる。だが、VRゲームでしかも現実と時間がリンクしている以上必ずその場所その時間に特定のNPCがいるとは限らない。そんな時は『オニオン』ではギルドと呼ばれる仕事を斡旋してくれる施設が存在する。ファンタジー世界ではお馴染みだとかでプレイヤーは順応性が高かった。ギルドに登録しておくと予め設定されているクエストが受けれる。クエストを達成すると報酬と経験値が入手できるので割とやっているプレイヤーが多いらしい。十二ある街には必ずギルドが設置されていて、どこでクエストを受注しても良い。例えば始まりの街でのある『スーリ』で受注可能なクエスト。『No.1 ボアーシューを討伐せよ』は『スーリ』でも『サングリエ』でも受注できる。最前線で序盤の小猪であるボアーシューが出現するとは考えにくいので『スーリ』に戻って討伐するしかない。なので私は『ティーグル』の街でギルド登録完了後、私はヴァルゴの姿を隠して簡単そうなクエストを片っ端に受注していき、攻略していった。



 達成クエスト:報酬

 No.15 剣術指南①:片手剣スキル【スラッシュパワー】

 No.16 剣術指南②:片手剣スキル【ロック斬り】

 No.44 天龍伝説Ⅶ:天龍伝説7番目の本

 No.55 迷子の老人:大智の石

 No.77 形見の落とし物:金運の腕輪+1

 No.86 公園を清潔へ:1000ノター

 No.317 盗人の景色:3500ノター

 No.324 メアリーの料理開発①:3色サンドイッチ

 No.333 英雄の心得:頭装備「鼓舞ハチマキ」

 No.445 優しさの化身:頭防具「見習いマスク」

 No.456 食材不足:壊れた電球

 No.466 モンゴーへの手紙:500ノター

 No.556 防御への一歩:防御スキル【微壁の鉄(ファーストシールド)

 No.657 ミミの吟遊詩人:ミミの情報Ⅰ

 No.680 蹴闘指南①:脚技スキル【旋風蹴り】

 No.787 洗濯物は風に捲られる:魔力瓶×2

 No.878 双剣指南①:双剣スキル【ダブルスラッシュ】

 No.989 いざっ! 拳と拳を:ナックルスキル【スクリュードライバー】

 No.2211 絶景をもう一度:クリム石

 No.2375 露天対決:タダチケット×5

 No.18181 井戸へGO!!:カカカフロッグの皮






 やっぱりこういう時は単純作業に没頭するのが一番。モンスターをひたすら狩って素材回収も単純作業に含まれている。ならば素材集めの作業に切り替えても良かったと思うがヴァルゴが心ここにあらず。街の中なら例えヴァルゴが粗相をしてもどうにかなる。逆に外にいるともしも(ヴァルゴの死)のことを考え、ヴァルゴと一緒に『ティーグル』で攻略できるサブクエストをクリアしていった。


「疲れた~」

 公園の椅子に座る私とヴァルゴ。


「それにしても、サブクエストが多いから。一種の沼なりそう」


 まさかサブクエストの数が判明していないことに驚愕した。VRMMOなんだし、ある程度は覚悟していたけど、まさか一万以上の数が存在するとは……内容も簡単な討伐系統の依頼。これが最後とは思えない。数も中途半端、最悪二万はあると考えているけど……私の予想ってことごとくはずしているから倍はあると思えば、気持ちが楽になるのか~


「どう、気分は?」


 一応、私の手伝いをしてくれたヴァルゴ。

「それにしても、気持ちいい天気だね」


『オニオン』で発生する天候はランダム仕様となっている。流石に噴火や竜巻が街には発生しない、あくまで現実と同じ天候だけが発生する。時刻もお昼頃。空は雲一つない快晴。風もあって良い環境といえる。


「そうですね」


「なら、もっと笑顔でいてよ。経緯はどうであれ、昔の知り合いに会えたんだし……」


「私は……」


()()の時、言ったじゃん」


 ヴァルゴの手を握り、真っ直ぐ眼を見た。


「私が貴女の過去も背負うからって」



「……怖いんです。昔の自分に戻ってしまうのではないかと」


「もしかして、相当悪どいことしてたの?」


「いえ、そのようなことは一切いません」


「なら、どうしたのよ。このユミナ様に言ってみなさい!」


「じ、実は…………」


 ......


 ............


 ..................





 訳を聞いた私の口が開きっぱなしだった。

「あー……なんと言いますか。お疲れ様?」


「もう二度と会わないとお互いに決めたのに……」


「でもさ、そうなると私とはどうなるのよ。結構グイグイ来ているけど?」


「アイリスの時は何の感情ありませんでした。ユミナ様と出会ってこの感情も悪くはないと。でも、昔のこともあって」


「ヴァルゴ......深く考えすぎじゃない? そんなの簡単じゃん!」


「えっ!?」


「あの吸血鬼のアイリスにこういってあげるのよ!」


 立ち上がり、ヴァルゴを見下ろす姿勢をとりニッコリ笑う。



「私は今、とっても幸せです。ってね!!」





「貴女様は……本当に............おバカですね! ふふん!」


「そんな”おバカ”の従者になったのは貴女よ!」



 ......


 ............


 ..................



「で、そうなりましたと」


 落ち着いたヴァルゴと宿屋に戻った。私たちはタウロスの鍛冶姿を見て、談笑していた。アリエスは私たちの姿を見てジト目になっている。


「深く考えていたんですね、私は」


「まぁ、あんな辛気臭い顔がなくなって良いですが、ベタベタしすぎでは?」


「アリエスには絶対にできない姿です」


「…………やっぱり、重い顔をしてくれて結構ですよ」


 今のヴァルゴはインナー姿で私に後ろから抱きついている。自分の胸を私の頭に置きながら......

 ヴァルゴにとっては楽な姿勢なのだろう。軽減置場となっている私の頭は決して楽ではなく更なる重力とイライラがのしかかっていた。


 ヴァルゴとアリエスの言い争いに私が参加してもなぁ、とタウロスの作業が終わるまで手持ち無沙汰になったのでステータスやストレージの中身を眺めていた。あれ?


「ねぇ、ヴァルゴ」



『貴女はまるでわかっていません。お嬢様の肢体は全てが完璧なんです。未だ全てを見せてもらっていないアリエスには想像できないでしょうね』


『これだから、欲望まみれの悪魔は〜 ヴァルゴこそ全然理解していないわ。普段お淑やかなアタシが時々見せる色気のある姿にユミナ様は夢中なるのよ。アクイローネさん曰く”ギャップ萌え”だとか』


『全く、”元”とはいえ聖女たる者がそんないやらしいことを......悲しくなりますね』


『愛する方にしか露出していません〜』


 なんか恥ずかしくなる......例え、しょうもない会話だったとしても渦中の人物なので余計に。

 しかも器用にアリエスは私の足をマッサージしながら私に抱きついているヴァルゴと話している。


『貴女は足を触るのがお似合いでしょうね。私みたいに選ばれた者だけがお嬢様の上半身に触れれるのよ』


『何か勘違いしていません? お楽しみは後に取っておくものよ! 先に終わらせたらつまらない時間を垂れ流すだけ』


『幸福は常に真っ先進んだ者に降りてくる。後々に控えては手に入るものも手に入らない』


 あのさ、ヴァルゴは私の両耳をいじりながら喋らないでくれないかな。アリエスもマッサージ経験があるのか気持ちいけど時々、触り方に疑問があるんだけど。私を壁にしているからどっちの言葉も直撃しているから回避できないのよ。せめて声に出しても良い言葉だけにしてくれるかな。段々、ワード警告が出てきそうな会話になっているから......



 タウロスは作業が終わったのか背伸びしていた。


「......何やってるんだ、お前ら」


「助けて、タウロス」


 首を傾げながら、見て見ぬふりをして寝ようとし始めるタウロス。


「まぁ、頑張れ〜 作った()()はお嬢のストレージに送ったから。おやすみ」


 生産品ができたのは嬉しいけど、逃げたわね。

 ヴァルゴとアリエスに聞きたいことがあったけど一向に私の言葉を聞こうとしていないので、白熱した議論が終わるまでタウロスが製作した装備品の概要を見ながら時間を潰そう。


 作ってくれたのは上半身の装備品だった。



 ・幽天深綺の(ファンタズマ)魅姫(・ドレス) 

 星々が光り輝き、天からの光矢がその者を高貴の道へ誘う。

 光が過ぎ去りし時、命は儚く散る。

 陽矢の祝福、汝は新たな器を授かる。


 ・月のエネルギーを吸収時、モード【月下気紫(ミラージュ)】になる。

 AGI(敏捷):(+500)、CHR(魅力):(+1000)


 ・太陽のエネルギーを吸収時、モード【劫力白双(シャイニング)】になる。

 MAT(魔法攻撃力):(+500)、CHR(魅力):(+1000)




 幽天深綺の(ファンタズマ)魅姫(・ドレス)の見た目は、スパンコールドレスみたいな作りなのかキラキラ光っており、全体が紫色でスカート部分に黄金の星マークが散りばめられている。ドレスも前が短く後ろが長い丈のタイプ。ヴァルゴが以前着てくれた『魅惑の燕尾服(バニースーツ)』は装備すれば上下共有装備品扱いになって上はバニースーツ衣装、下は黒のストッキングと勝手に装備されていたけど、今回の『幽天深綺の(ファンタズマ)魅姫(・ドレス)』は上下共有装備ではあったけど、ストッキングはないので素足が丸見えになってしまっている。それに足だけではなく肩、腕全部も肌が見えてしまっていた。あんなお化けモンスターたちからこんな上品で豪華なドレスが出来上がるとは夢にも思わなかった。


「それにしても『星刻の錫杖(アストロ・ワンド)』に『純白の霊奏(シルク・ヴェール)』、そして『幽天深綺の(ファンタズマ)魅姫(・ドレス)』か。どんどん女王の姿になっている? で良いのかな......」



「それ見なさい、アリエス」


 うん? ヴァルゴが私のウィンドウを覗き込んできた。


「タウロスが製作したお嬢様の新しい装備品の色を!」


「偶々ですわ、そんなの」


「私の髪色に似たドレス。これはもう私がお嬢様を内と外を守っていると断言してもいいわ」


「何、勝ち誇っているのよ。腹立つわね」


「これこそ、強者の証さ!」


「......言っておくが、その『幽天深綺の(ファンタズマ)魅姫(・ドレス)』は月からのエネルギーを吸収しないまま過ごすと白いドレスになるからな」


「タウロス......寝たふりしていたわね」


「だってよ、お嬢。そこにいる色欲まみれの二人と同族と思われないように必死なんだよ」


「てか、タウロス。サラッと重要こと言ったわね。白色になるの?」


「そうだ、アリエス。太陽のエネルギーを吸収することで白いドレスに早替わり」


「私の色......!!」


「だけど、こっちも太陽のエネルギーを吸収しないまま過ごすと紫のドレスになるから注意な〜」


「どうですか、ヴァルゴ。貴女は所詮、”似た色”ですがアタシは完全に同じ色。立場が逆転しましたわね!」


「貴女はどっちかというと金色では。まさか自ら服に成り下がるとは。哀れな人ですね」


 ドヤ顔のアリエスに喧嘩腰のヴァルゴ。美人なのになんでオラついているのよ。




「ねぇ、タウロス。聞きたいことがあるんだけど」


「うん?」


「ヴァルゴとアリエスの黄道ホロスコープスキルがいつの間にかLOCK解除が増えているし、星刻の錫杖(アストロ・ワンド)に強制ステータスが上昇しているのよ」



 PN:【ユミナ】

 Lv:40 

 HP:85(+500)

 MP:150(+1000)


 STM (スタミナ):30(+500)

 STR(筋力):30(+500)

 MAT(魔法攻撃力):80(+500)

 DEX(器用さ):50(+500)

 AGI(敏捷):25(+500)

 VIT(耐久力):30(+500)

 LUC(幸運):45(+500)

 CHR(魅力):40(+500)



 NPCN:【ヴァルゴ】

 〜黄道ホロスコープスキル〜

 ・ウシカイ

 ・カミノケ

 ・リョウケン

 ・カラス→LOCK


 NPCN:【アリエス】

 〜黄道ホロスコープスキル〜

 ・ペルセウス

 ・サンカク→LOCK

 ・アンドロメダ→LOCK

 ・カシオペヤ



「ふ〜ん。まぁ、それだけお嬢が愛されているってことだよ!!」


 左の光景を見て、ため息を出す。


「重い”愛”だけど......疲れた、休む。枕にしていい」


「アタイの体で良ければ、いつでもいいぜ!」


 こうして私はヴァルゴとアリエスの激論が終わるまでのタウロスのお腹を枕がわりにして休憩していた。

(タウロスのお腹......高級枕みたいにふかふか!!)

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