帝王覚醒《キングチャージ》:《キング・パニッシュメント》、魔魂封醒《フリーダム》:檄戦嫩絆《ビックバン》
「見せてみろ、お前の全てを」
「じゃあ、お言葉に甘えて——————魔魂封醒、起動」
破王双藍はより一層蒼く輝く。同時に【無償の愛】の各所が青く発光する。【無償の愛】に蓄積されたエネルギーが全て破王双藍に流れる。飛び上がって身体を、破王双藍を車輪のように回転しながら地面に叩きつけた。
「【檄戦嫩絆】!!」
大轟音と巨大な衝撃波が発生。魔魂封醒:檄戦嫩絆はその名の通り、ビックバンの爆発を相手に叩き込むもの。直撃した者は存在を消し飛ばす威力を有している。
破王双藍の場合は巨大なエネルギー状の衝撃波。『X:変型機』で破王双藍が変形した長双剣:覇藍の友、玉藍の愛の場合は、巨大なエネルギー状の斬撃を放ち、相手を斬り払う。
逃げ場のない攻撃。押し寄せる暴力。ブルーハートは口角を上げ、【檄戦嫩絆】を受けた。
衝撃波は敵に直撃し、急速に一点に集約される。爆発的膨張。一気に爆破。
煙が消えた。地面に倒れていたのはブルーハートではなかった。
「抜けてしまったようだ」
霊体のブルーハートとグリード・ジェイドが分離していた。
「どうして?」
クイーンは自分の武器の性能を熟知している。だから、【檄戦嫩絆】の攻撃を受けた者は消滅する。クイーン自身はあまり使いたくない。金始刀【閃】の魔魂封醒:【壮速燦絆】も同様。
「ダメージは全て我が受けることにした。どうやら、この傀儡に用があるのだろう」
霊体のブルーハートの身体が徐々に崩壊していく。
「一応、ありがとう」
宝箱が光る。中から奪われた武器が戻ってきた。
「君になら我の財宝を受けとる資格がある。自由に使え」
クイーンの手には古びた八角形のコンパス。『願望の羅針盤』。効果は所有者が望む物・場所を示す。
「これが......海賊王の財宝」
「欲しいモノは何が何でも手に入れろ」
足から崩れていくブルーハート。
「またいつか会おう、キマリス」
腕を頭に置くキマリス。
「あ〜あ。お前となら面白い世界になっただろうに......」
「そろそろ、お別れた」
ブルーハートは倒された。
「クイーン様」
キマリスはクイーンに悪魔の欲板を投げた。
「——————一つ聞いていい?」
「可能な限りで」
「私が悪魔と契約できない訳を———」
◇◇◇◇◇◇
「《帝王覚醒!!》」
エネルギーが充填されていく。白無垢の輝き。天使の降臨のようだった。描かれた王道の路。飛び出し、突撃。ローカスに接近。加速中に【君主の宝珠】を力一杯押した。『生きる方が、闘いだ』を上から下へ振り下げた。
「《キング・パニッシュメント》!!!!!!!!!!」」
ローカスの身体をぶち抜く。純白の羽根が舞い散る。
帝王覚醒:《キング・パニッシュメント》は”分解”と”再生”。標的の内部にエネルギーを注入し原子・分子レベルにまで分解できる攻撃。また発動者の技量次第で分解レベルを操作も可能となる。一部だけ分解、粉末状に分解など。
”再生”は発動者の任意で発動される。分解した無機物・有機物を再構成する。再構成された標的の中から悪の物質を取り除き組み立て直すとされる。”再生”は『生きる方が、闘いだ』の浄化能力である。
爆破したローカスは、一瞬にして元通りの姿になっていた。《帝王覚醒:《キング・パニッシュメント》の攻撃を受けた者は自分に何が起きたのか理解できない。分かるのは自分の心が洗い流された気分だけ。
【キングフォーム】を解く。その場には私とピスケスだけ残った。
「俺は負けたのか」
「もう一回試す?」
両手を上げる。降参の合図だった。
「死ぬのは一度で十分だ」
後ろを振り向き、自分で開けた穴へ歩いて行く。
「行くぞ、フルカス」
「はぁ〜い!! あ、そうだ!!」
フルカスは悪魔の欲板を投げた。
「お、とっと......」
「契約はローカスだけにしているから〜」
二人は去った。
「悪魔の方、激情して襲いかかると思ったよ」
「ま、ソロモン王の72柱は戦闘よりも王の器が遊戯している光景を眺めることこそが至福らしいし」
「あのローカスって飛蝗怪人。どうするのかな〜」
「さぁ〜 他の昆蟲種とは違う飛蝗族だけの道を進むじゃない」
ふぅー こっちの戦いは終わった。そうだ。クイーンは......?
クイーンと話している悪魔、確か......キマリスだっけ。キマリスも消え去る。
何か吹っ切れた顔のクイーンだけが残った。
「どうしたの?」
「あー ユミナの前では隠し事はできないな。私の悪魔契約のこと」
「あれから順調?」
「ギルドの何人かは悪魔契約を結んだ。ユミナのおかげだよ」
「大したことはしていないよ。それで、」
「私だけ全て”交渉中”で止まるんだ」
「何悪さしたの〜」
「人聞の悪い。運の良いことに悪魔と遭遇できてね。聞いてみたんだ」
「結果は?」
「本来なら極秘扱いらしい。けど、何かがトリガーとなって情報解禁されたよ。私と契約できる唯一の存在は———リリス様だけだって」
『リリス様』って宇宙の神様のはずだけど......悪魔のリリスを兼任しているんだ。
「リリス様、どこにいるか分からないよ」
「知ってる。あの人は自由気ままに生きているからね。見つけ出すのはエンドコンテンツだよ」
リリクロス大陸に戻った私たち。
ミランダはグリード・ジェイドを捕獲。ガレオン船の牢屋に入れ込まれた。
港から見える海を眺める。桟橋に座り、足をぷらぷらしながらミランダを会話をした。ピスケスは私の背中を枕にして瞼を閉じ、眠り込んだフリをしていた。
「終わったんだ」
「終わったな」
「これからどうするの?」
「このまま次の航海に行くのもアリだけど......暫くは休息かな」
「ヴェラの所なら送るよ」
「いや、大丈夫。グリードを渡したら、約束通り、ユミナの元に行くよ」
「......分かったよ。歓迎する。航海するときはいつでも気軽に出て行ってもいいから」
「ありがとう」
ミランダが私の顎を上げ、口付けをされた。
「ち、ちょっと!?!?」
「前払い」
頭を鷲掴みされた。空気が凍りつく。恐る恐る顔だけ後ろを向けた。冷徹のクイーンさんが立っていた。
「ミランダ。今日はもう私たち休むよ」
「ピ、ピスケス......助けてぇえええええええ」
救いを求めたが寝たふりのピスケスは目を開け、私を見つめ合った後、そっと目を閉じて黙っていた。
裏切り者ぉおおおおお!!!!!!!!!
冷笑のクイーンさんに首根っこ掴まれ、私は宿屋に連行されていった。
「今夜は寝かせない」
そりゃあ、旧地球ではリリスと白陽姫は契約していた訳ですし
(天織灯のあくまな怪盗生活、第一話)




