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ソロプレイ中に人外NPCを助けたら、女型ユニークモンスターだけに囲まれるVR女王に就任した件  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【2章:【 】】
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困難な状況の中で、平静な心を守ることを忘れてはいけない

「これタマゴだったのね」


 私の横に転がってる二つの球体。同じものを数分前に見かけた。十中八九シャックスの能力。タマゴが孵化してしまうと私の両腕の機能は敵に完全に奪われる。


 しかし、ヤバいな......


 プレイヤーへの配慮なのか、《状態異常:【部位封印】》はずっと私の視界に映っている。けど、腕が使用できない以上、ステータス画面も操作できない。回復アイテムも出せない。装備も変更できない。使い魔たちも呼び出せない。悪魔兵も指輪型のグリモワール内に保管されているので無理。


 今動かせる部位は両腕以外。腕は二の腕辺りまで動かない。星刻の錫杖は握れない。腕に装着している怒龍の籠手(レイジング・ブースト)は外れないけど、動かない。腕での防御は見込みが無い。アクセサリーは全て手がないと発動しないタイプが多い。いくら強力なアクセサリーでも、発動条件を達成できなければ、唯の装飾品。

 覇銀の襟飾(ヴァイセ・エーゲン)は左側の胸元に装着されているけど、手で引き抜かないといけない仕様上、現在両腕が機能しないので、実質的に扱うことが不可能。



 ラッキー・アニモシティは一つ一つの攻撃が非常に強力だが、当たらなければどうって事ない。部下の身体機能を上乗せした結果、身体が膨張している。細かい技は出せず、全てのモーションが大振りと化してしまった。奴の性格上、変化したからってバトルスタイルを変えるとは思えない。なら、基本は自分の身体を活用した攻撃方法、周囲の物を投げる攻撃方法。


 で、悪魔のシャックス。ラッキー・アニモシティと契約した悪魔だ。これまで遭遇した悪魔の行動と照らし合わせるなら、シャックスも余り攻撃しないと考えられる。契約者の命令一つで行動パターンが変更される恐れがあるけど、長年の習慣はそう簡単に拭いきれない。ラッキー・アニモシティはシャックスを戦闘に投入しない。


 一旦はラッキー・アニモシティだけに集中する。シャックスに関しては、いつ私の身体の一部が封印されるか計画するくらいで十分だろう。


 ............それにしても、条件は何だ?

 いきなり過ぎて警戒を怠った。まさか両腕が封印されるとは思わなかったわよ......


 で、私の両腕を封印した理由は分かる。敵の攻撃手段を減らす。後は結構な頻度で私の情報が出回っているからかね〜 強力な攻撃も、見た目変化も腕を使わないと発動しない。なら、封印すれば完全に(ユミナ)を制する、と考えるのは至極当然だ。


 敵の動きを封印するなら、全身にすれば確実。なのに私の両腕だけ......?

 何かあるはずだ......この二人にあった時から。()()()()()()()()()()......


「ふん! やはりお前は何か違う」


「女は毎秒変わる生き物よ」


「絶望的状況でも折れない心。普通なら両腕が機能しなくなればパニックするしかない。貴様のような小娘も例外ではない」


「生憎、他が動く。それだけで十分よ」


「益々奇妙な娘だ」


 壊れたテーブルを掴み、私目掛けて投げてきた。回避。


(やっぱり......っ!)


 予想通り、二つ目が投擲済み。転輪の翠蹴(ラテラルアーク)で蹴り返す。ラッキー・アニモシティは帰ってきたテーブルの一部を片手で掴む。


「テーブルを果物みたいに潰してるよ......」


 テーブルを断言できる要素がなくなった物はラッキー・アニモシティによって放り投げられた。


【加速スキル】......【勝利翔(ニケ)】、【宵明星(イシュタル)】、【嫦娥(じょうが)】を起動。

 一気にラッキー・アニモシティの元まで肉薄した。逃げてばかりではこちらが不利になる。


【足技スキル】......【狩猟時間(アルテミス)】、起動。


 月光が脚を照らす。脚で攻撃する時、大幅に補正が入るのと攻撃はヒットすると敵のウィークポイントが視える効果がある。


 ラッキー・アニモシティの胴体、真っ直ぐ蹴る。中断突き蹴り。


「足癖が悪いな......」


 止められた。脚はラッキー・アニモシティの掌で止まった。


「......反応できるのね」


「部下から奪った身体機能の中には()も含まれている」


 動体視力を上げたか......

次話、明日18時ごろに投稿します

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