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ソロプレイ中に人外NPCを助けたら、女型ユニークモンスターだけに囲まれるVR女王に就任した件  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【2章:【 】】
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私を見なさい!

 スコーピオンはショッピングモール内へ戻ってきた。


「いた! スコーピオン」


 聞き覚えのある声に反応。視線の先にはユミナ。


「何処にいたのよ」


「ごめんね〜 ちょっと散歩〜」


「心配したじゃん」


「えぇ〜! ユミナちゃん、心配してくれたの!! お姉さん嬉しいわ!」


 ユミナに抱きつくスコーピオン。往来では中々に刺激的なイチャイチャ行動。


「あ〜幸せ!!!!!!!!! ユミナちゃん成分補給〜」


「嗅ぐな!?!? ってか、別れて、大した時間経っていないはずだけど」


「何言っているのよ!!? 例え1秒でもユミナちゃんに離れただけで全身に震えが生じるのよ」


「私はタバコの類なの......」


 スコーピオンが歩いてきた場所に目をやるユミナ。


「で、何やっていたのよ」


「鋭いわね。流石私が見込んだ女の子。ファリーナ家が依頼した集団の一員と遭遇してね」


「対処は?」


「愚問だわ。ちゃんと成敗しました。少しゲームを組み込んで、だけど」


「”ゲーム”?」


(オトコ)って単純よね。無防備(ハダカ)な状況を作り、セクシーな姿(エサ)を見せつけたら、ホイホイと釣れたわ。私の試練も疑う事なく承諾したし」


「あーもしかして......『一発攻撃して、立ってられたら、アナタの(オンナ)になってあげる』だっけ?」


「正解。ユミナちゃんも一度受けたから知っているわよね」


「結果は......」


「心配しなくても、相手、無様に倒れ込んだわ。程なくして死んだわ」


「そっか。HP全損した(死んだ)のね」


「まったく......ユミナちゃんと同種なのに、()()()()にも耐えれないなんて」

「スコーピオンが強いから、仕方がないんじゃない」


「......ユミナちゃん。自分の行動を覚えてないでしょう......」


「うん??」


「私の攻撃を受けた後、速攻で攻撃を仕掛けてきたよね。あんなに激しい殺陣(たて)、久しぶりだったわ......」


「戦闘の師匠に叩き込まれたから〜」


「......あの筋肉ゴリラ」



 ため息を吐くスコーピオン。


「ま、良いけど〜 それに......名前忘れちゃったけど」


「多分、数分前に出会った相手だよね」


「知らないわ! 私が愛してるユミナちゃんをバカにしたのよ。虫ケラと呼称しても差して問題ないわ。もー最悪! やっぱり、一発じゃ怒りが治らない。探し出して、万物の蛇蝎星鞭(ラー)でボコボコに......若しくは、新薬の実験台にするしかないわ」


「ありがとう! 私の為に怒ってくれて」


「当然よ! 私はユミナちゃんなら王に相応しいと確信しているのよ」


「元女王様からのお言葉、重みを感じるよ」


「私の攻撃程度に負けるような腑抜けに、何故私が付き従わないといけないのよ。バカじゃないの......。一回、生命活動やめてから出直して来い、と思うわ。あの腐れ肉団子———」


「はい。ステイステイ」


「初めからキモかったのよ。いきなり口説くし、キモい目つきで私を舐め回すように見てくるし」


「あはは———......それは災難だったね」


「本当よ。私の趣味を妨害した」


「あー人間観察だっけ?」


「人の行動は面白い。科学者冥利に尽きるわ」


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。人間自体には興味ないのよね〜」


「ユミナちゃんやアシリアちゃん等、私が認めた人間なら、心から愛するわ。それ以外は論外。あーでも、脳味噌だけなら好きになって良いかな〜」


 不意にスコーピオンに唇を奪われたユミナ。


「ちょ!!? いきなり何よ!?!?」


「だからね、ユミナちゃん......」


 強くユミナを抱きしめるスコーピオン。頬が紅潮していた。恥ずかしさに陶酔を深める。


「もっと......私を知って欲しい............です」


 ユミナは優しい微笑む。


「私も知りたい、スコーピオンの全てを」






 ユミナとスコーピオンの一幕を眺めているNPCたち。


「アレが......大人のイチャイチャ......ですか」


「エマ......出来るか不安になってきた」


「やはり念密な作戦が必要ですね———リブラ(此方)の為に」



 悪魔のアガレスとセーレは感心していた。


「なるほど。アレがヴァルゴを堕とした技ですか」


「星霊を最も簡単に......末恐ろしい少女だ———ユミナさんは」












 ◇◆◇◆


 ショッピングも終わり、私たちは船外の甲板に到着した。

 ヴェロニカがプレイヤーの戦闘を見てみたいと言われたので、案内した。


「おぉ! やってるやってる!」


「皆さん、水棲モンスターと戦っていますね」


 デカいタコ、巨大な口が付いたイカ、群れで攻撃してくる傷だらけのイルカと多くのプレイヤーが戦闘していた。


「うわぁ〜」


 プレイヤーがタコの足に捕まる。タコさん、執拗に男性プレイヤーだけを狙っているのは気のせいだろう。

 にしても、触手プレイは男が対象だとまったく色気(エロ)がない。むしろ吐き気がしてきた......オェ〜


「ヴェロニカ、エマ。ここから先に出ると、2人ともアイツらの攻撃対象になるからね」


「分かりました」


「それにしても、皆さん勇猛果敢に挑みますね」


 乗船できたプレイヤーの多くは、クエストを完了させないといけない。規定数のモンスターを討伐しないと船から出されるのかも。途中下船出来ないから、ダイブ一択か......


「ピスケス、何やっているんだろう」


 プレイヤーに混じって、イルカを討伐してるピスケスを発見した。

 二本一対の鎌型武器を装備して、向かってくる複数体イルカを斬っていく。


 水面から伊勢海老に似たモンスターが飛び出す。


「食料っ!!」


 ピスケスがドードー型のモンスターを二匹召喚。一匹は赤色、もう一匹は黄色の身体。二匹に触れたピスケス。渦巻に吸い込まれたようなエフェクト。ドードーが形を変え、羽をモチーフにした二振りの剣が誕生。燃える剣と稲妻が迸る剣。


「良い感じ!」


 伊勢海老は討伐された。素材と食料としてアイテム化された。身の部分はちゃんと調理された状態になっている。なんか......美味しそう!


「ねぇ、ピスケス(ピース)。わたしの分は〜」


 タオルで汗を拭いていたアクエリアス。ゲリラ演奏が終わったばかりなのだろう。


「ホイ〜!」

「ありがとう!」


 ボイル焼きと刺身を貰ったアクエリアス。食事している姿も美しい。アイドルの食事風景。非常に絵になる。


「ご馳走様」


 アクエリアスはまた、歌い始める。アクエリアスの美声に響いていた。高らかに響き渡る声が観客の心を掴んでいた。クエストを放棄してアクエリアスの演奏を聴いているプレイヤーまで出始めていた。


「あっ!?」


 タコモンスターが茹で蛸みたいになっている。『何、他の女の所に行ってるのよ』と思わせるモーションの繰り出し、足が増加。より一層触手プレイされる男性プレイヤー。


 気にせず歌い続けていたアクエリアス。哀れなプレイヤーを忘却する観客。

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