廃墟に光と騒音を
ディラオド王国。
『ヴァーシュ』の北上に昔存在した王国。小高い山頂に堂々と建つディラオド城を中心に栄えていた。しかし王国は約二百年前に一夜にして滅び、現在あった王国は廃墟と化してしまった。
そこは月光や天に君臨している星々の光が届かない場所だった。
黒い雲が天を覆う。雷鳴轟く空は鳴り止まない。かつて存在したディラオド王国はもうない。あるのは荒廃した王国と大破していたディラオド城だけだった。私たちの頭上を覆っている黒雲は周辺の森までは届いていない。ディラオド城を中心に発生している。
本来なら、人の手が入っていない森を走り抜く必要があった。闇夜と薄い霧に包まれ明るい場所が皆無で抜け出すのは時間がかかる。そんな時間は私たちにはない。ヴァルゴのスキルでもある【ムーンホッパー】と【ライトニング】のおかげで割と楽に移動でき、あのババアを追って目的地である古城に来ることができた。
辺りを見渡すがモンスターは発生していない。嬉しいと思うべきか不気味と表現すれば良いのか分からなかった。必ずしも出現しないとは限らない。ストレージから瞬時に武器を取り出し構える。空中移動している間に星刻の錫杖の【EM】はチャージ完了となっている。上の悪天候が晴れることはないと予想をしているので空からの回復は見込めない。
「ランタンの種!」
お馴染みの光源。何度も使用しているので少し変化していた。光玉を飛ばして遠くまで光らせることも容易になった。無闇に光玉を飛ばせないので星刻の錫杖に光を灯すだけにした。この地はあれがいる場所。敵地でもある場所で光源なんて灯せば、敵に見つけてくださいって言ってるようなもの。それでも背に腹はかえられないので最低出力の光で城内を探索をした。城の周囲は黒雲の影響と合わさり【ランタンの種】の光よりも強い真っ暗闇で隣にいるヴァルゴの素顔がなんとなく見える程度だった。
「やけに静かですね」
ヴァルゴが声に出してしまうのもうなづける。あれが指定しているもんだから罠やモンスターが待ち受けていると思い変な緊張をしていた。しかし古城内は人がいる形跡はないってくらいに静まり返っている。あるのは私たちの足音だけだった。
「おまけに……」
私は廊下や微かに開いていた扉から見える部屋に星刻の錫杖の先にある光源を近づけると廊下は朽ち果てていて穴だらけ。部屋には壁も置いてる物も全てがボロボロだった。
「ボロボロでも利用価値はあるか……」
もしかしてと古びたキャンドルスタンドや動かない時計台、王室っぽい部屋に置かれていた年季のある椅子がストレージに入ると考えたが案の定、アイテム化に成功した。まだ見ぬお宝は後回しにして、最優先事項でもあるアシリアさんを救助するために前進する私たちだった。
私たちは立ち止まった。
「ここだよね、きっと……」
「ですね……」
慎重に探索して残った部屋は目の前にあるだけ。他にもあった扉よりも明らかない手入れされてる大きな扉。恐らくこの先にあれがいる。
最後の確認を行う私。
PN:【ユミナ】
性別:【女性】
種族:【人間】
職業:①:【星霜の女王】
②:【魔法使い】
所持金:1900ノター
Lv:25
HP:80(+100)
MP:130(+200)
STM (スタミナ):20(+100)
STR(筋力):18(+100)
MAT(魔法攻撃力):70(+100)
DEX(器用さ):50(+100)
AGI(敏捷):25(+100)
VIT(耐久力):30(+100)
LUC(幸運):35(+100)
CHR(魅力):40(+100)
〜スキル欄〜
・ランタンの種
・攻火炎:中
・無火炎:中
・見習いの中歩→→見習いの大歩
・活力の鼓動→→活力の胎動
・魔力の流れ→MP消費量を1/3減少
・採取 Lv8
・鑑定 Lv3
・投げ弾→→加速する弾丸
→螺旋状に回転して発動者が投げた物の威力が上がる。貫通力付与。
・アクセル→→ダブルアクセル
・初速の行進
・魔法使いの右手
→装備欄【右】に魔法使い専用武器をセットすることでMAT補正。
・魔法使いの左手
→装備欄【左】に魔法使い専用武器をセットすることでMAT補正。
・攻流水:中
・攻氷結:中
・毒耐性:小
・気配探知
・魅惑の笑顔→【魅力値】補正。一定時間、敵が魅了状態になる。
・装甲を備えつける
・逆転の命殺
・牙城の幻影→スキル発動時は武器防具の耐久値が減らない。
・幸福の力→【幸運値】補正。クリティカル発生時、敵を麻痺状態にさせる。
・血祭り→敵がダメージを受けると恐怖状態にさせる。
・二つの絆→クリティカル率が上昇。
〜呪文欄〜
ファイディ(15)
ウォーディー(15)
アイディ(15)
ポイズディー(22)
サンダー(15)
ハリケーン(15)
シャイン(15)
吸血・改(9)
吸魔・改(9)
軽壁・改(9)
強勢・改(9)
回復(10)
回復の雨(15)
脳天落とし(4)
〜【星霜の女王】専用〜
スキル:星なる領域Lv.2(EM:6)
仲絆の力(EM:5)
簡易の偽月(EM:5)
魔法:清浄なる世界へ(EM:15)
〜装備欄〜
頭:白兎のバンド(CHR:25)(MAT:10)→緑鬼のローブ(フード)(VIT:5)
上半身:羽毛のマント(VIT:25)→緑鬼のローブ(VIT:5)(MAT:2)
下半身:防兎の寒具スカート(VIT:18)→緑鬼のスカート(VIT:5)
足:バードラン(AGI:15)
右武器:星刻の錫杖Lv.2:【ENERGY MOON】50/50
左武器:
装飾品
①:赫々たる道標
装備品は一度、『緑鬼の衣装』に変更した。これからあれと対峙を考えると戦闘は避けては通れない。先ほどまで装備していた防具類の方が優秀だけど、戦闘開始に発動する【燃やす命】を活用する方法をとった。明らかに強キャラ的なあれの前には焼け石に水かもしれないけど、無いよりはマシの精神でもう懐かしいと思えるくらいの濃い緑色のローブに身を包む。スキルや魔法は数々の戦闘をやってきたことで色々、変化していった。どれも使える場面が多い反面、魔法使いなのに覚えた呪文が少ない気がするけど、新たな呪文を入手する時間はない。これしかない不安もあるが組み合わせ次第で化けるものもある。
意気込む私はヴァルゴのステータスも確認したが一部以外は、変更はなかった。
NPCN:【ヴァルゴ】
性別:【女性】
種族:【星霊】
職業:MAIN:【剣星】
SUB:【悪魔】
Lv:90
HP:200
MP:470
STM (スタミナ):300
STR(筋力):250
MAT(魔法攻撃力):120
DEX(器用さ):220
AGI(敏捷):350
VIT(耐久力):300
LUC(幸運):110
CHR(魅力):135
〜装備欄〜
頭:乙女の星騎鎧
上半身:乙女の星騎鎧
下半身:乙女の星騎鎧
足:乙女の星騎鎧
右武器:彼岸の星剣
左武器:赫岸の星劍
装飾品
①:乙女座の指輪
②:ウラニアの指輪
〜スキル欄〜
・強壮
・美魅貌
・双天打ち
・ムーンホッパー
・ライトニング
・波動霧消
・真空薙ぎ
・重力劍
・絶劍
・形態変更
・二渋選択
・接触禁止
〜黄道スキル〜
・ウシカイ→LOCK
・カミノケ
・リョウケン→LOCK
・カラス→LOCK
〜呪文欄〜
・モジュール
・ワープゲート
・リカバリー
・ディスペレート
・ヘルブラッド
・シニスター
・アダスター
・マリシャス
ヴァルゴが保有していた黄道スキルが一つ解放された。性能は不明だが”かみのけ座”を関する名前なので何かしら有効かもしれない。条件はヴァルゴしか知り得ないのでお任せしている。
深呼吸をして、ドアノブに手をかける。
「行きますか!」
中は扉と同じく綺麗な室内だった。奥に玉座のようなもの以外何もない広大な空間。床は綺麗そのもの。玉座の椅子にはアシリアさんが座っていた。どうやら酷いことはされていないと安堵した私。
「意外に早かったわね〜!!」
姿を現われたのはオフィュキュースだった。ニンマリとした笑顔が腹が立って仕方がなかった。
オフィュキュースは椅子に座らせられているアシリアさんの頭に手を置いた。
「安心してよ、この子は眠っているだけ」
「聖女を捕まえたのに何もしてないんですね」
「”する”予定だったけど......期待外れだったから眠らせることにしたわ」
「『期待外れ』......」
「年々、聖女の力が弱体化している。それでも可能性があると思ったけど残念ね。やっぱりワタシの目的を叶えてくれるのは初代聖女でもあるアリエスだけね。さぁ、石像になっているアリエスを渡してよ。そしたらこの役立たずは無事に解放するわ」
「嫌だと言ったらどうしますか?」
「意外と強情ね。ならこれも追加でどう?」
オフィュキュースの指にはヴァルゴを同じ模様が彫られている指輪が嵌められていた。
そう、【ウラニアの指輪】。オフィュキュースの側に半径1メートルくらいの穴が出現した。空間が歪んで見える穴から一体の石像が飛び出してきた。
オフィュキュースが出した石像は大柄で人型の牛さんだった。持っているのは金槌の形に似ている道具。ヴァルゴの話では星霊は全員、種族は違えどみんな女性で構成されている組織。なので目の前の石化されている牡牛座も女性。
でもなんで自分が石化したかつての仲間を持っているんだ? 石化はオフィュキュースは解くことはできない。言うなればお荷物状態だ。いくら【ウラニアの指輪】の空間に無尽蔵に物を入れれるとは言えだ。それに簡単に私に渡すのもおかしな話。きっと裏がある......
「貴方が持っていたんですか......タウロスを」
「偶々かな。既に廃墟になっていたこの城を散策していた時に見つけてね。石像はご丁寧に地下の結界で守られていた。結界解除に時間がかかったけどね〜」
「自分で封印した仲間を自分で回収するって中々に滑稽ですね」
「言うじゃない、小娘ちゃん。大切な友達がどうなってもいいのかしら?」
「それが本当にアシリアさんだったら素直に従おうかな」
「あら、この子は本物よ」
「信じろと?」
「う〜〜ん。信じてもらうしかできないな〜 なんなら近くまで来る?」
「貴方の周りなんて危険極まりない空間じゃん。自ら罠に飛び込むなんて嫌ね」
「じゃあ、どうするのかしら? お子様?」
「決まっているじゃん!!」
私は不敵な笑みを浮かべる。星刻の錫杖を前に出す。
「お前を倒して、聖女を救う!!」
楽しげに笑うオフィュキュース。持っている杖——忌まわしき蛇星杖を私に向ける。
「来なさい、未熟者……」
・乙女座種族:【星霊】真名:【??】
職業:MAIN:【剣星】SUB:【悪魔】
所在地:【ディラオド城跡地】
・牡羊座:種族:【星霊】真名:【??】
職業:MAIN:【??】SUB:【聖女】
所在地:【ヴァルゴの【ウラニアの指輪】の中】
・牡牛座:種族:【星霊】真名:【??】
職業:MAIN:【??】SUB:【??】
所在地:【ディラオド城跡地】




