スキルを盗む怪盗紳士は師匠を探している その7
サブタイのサブタイ
アクセサリー製作依頼を出そう!
まさか、クラスを便利人扱いしていたとは。クラスも人の役に立っていると嬉しい顔を出していたからみんなを怒るに怒れなかった。兎に角、私の身体的情報、持ち物は渡さない。
「———ってことがあったから。変態ども、十分に気をつけるように」
『は〜い!!』
「それで、クラス。何か知ってる?」
「先ほどから思い返しても、思い当たる人物はいません」
「そっか〜」
ま、地道に情報を集めるしかないか。
「ですが......私に濡れ衣を着せた不届き者を許しません。私も捜索して良いですか」
「クラス、街に出るの......!!? その............大丈夫?」
「ご心配痛み入ります」
クラスは煙に包まれた。クラスは人型ネコの姿時、ラキという別名を使用する。
因みに猫耳や尻尾はちゃんと本物だ。本物だと何故判ったかって~?
そりゃあ、優しく検診したから(”何を当たり前に事”と云いたげな表情のユミナ)
髪もパープル色から白色へ変更される。クラスよりも長身でスラリとしたプロモーションに変身する。身に纏うのは黒い衣装。レオタードの上からタキシード風のジャケットを羽織ってる。黒いストッキングを着ており、かかとが高い靴を履いていた。
「今のわたしは、ユミナ様の怪盗。狙った獲物を必ず獲ります」
「分かったわ。但し......」
跪くラキの頭を撫でる。
「奪う者が現れたら、一緒に行くわよ......ラキ」
「仰せのままに」
◆◇◆◇◆◇◆
「お待たせ」
クイーンが部屋から出てきた。今居るのはクラスが準備してくれたクイーンの部屋。奪う者事件が終わるまでの安地部屋。リスポーン更新が完了。倉庫も用意してある。が、クイーンはシューティング・スター専用の倉庫にアイテムを保管している。倉庫も腐るほど余っているから必要な時に使っていいよ、と言ってある。
「ユミナ......あの部屋」
「うん? 気に入らなかった?」
顔を横に振るクイーン。
「逆。あんな高価な部屋。一流ホテルレベルだよ」
一流ホテルに泊まったことがない庶民のせつなちゃんなので返答に困るけど、喜んでくれたのなら幸いだ。
あー白陽姫ちゃんとしては泊まった事があるのか。白陽姫ちゃんって一応、お嬢様育ちだし。本人は今の暮らしが性に合っていると言っていたけど......
因みにボルス城の部屋は有り余っている。従者全員に一人ずつ部屋を与えている。各々が自分好みの部屋に魔改造しているのは知っている。一番の被害者は私なんだけど......元の原型すら残っていない拡張され続けた部屋の面積。特注ベットのみの寂しい部屋と化している。残った大量の部屋は内装から調度品まで弄っていないので改修工事もしていない。加えて地下施設、天空島など居住空間は沢山ある。
「お金払わないと」
「いいよ、別に。以前助けてくれたでしょう。お返しだよ〜」
流石にフレンド全員を招待はしたくない。ボルス城は私と従者みんなの愛の巣なのだ!
クイーンだけならいくらでも住んでも構わないけど〜
「リスポーン更新も済んだことだし、早速【サングリエ】に戻る?」
フレンドに奪う者の情報がないかメッセージを送りはしたが、生憎進展はなし。
せめて風貌だけ見ることが出来れば......
「戻りたい気持ちは人一倍あるが、私の装備は今非常に目立つ」
確かに。色が違うだけでもプレイヤーから追われる始末。何か作戦を考えないと......
装備を変更するのが一番手っ取り早い。が、クイーンの白銀の幻鍵は中々にめんどくさい仕様らしい。装備変更案は却下。
「あ! アクセサリーは変更出来るよね」
防具が切り換えれないなら外付け装飾品で姿を隠せば良いんだ!
「一回、タウロスの工房に行こっか」
「工房?」
「あれ? 知らなかったっけ、タウロスは鍛治師。神代時代からの大ベテラン~」
クイーンは暫し物思いに耽っていた。
ユミナが言うタウロスはクイーンも何度か出会っている。云われてみれば足防具が鍛治師が履いているズボンに似ていた。見た目は素朴でもプレイヤーが装備してる鍛治師用ズボンとは違う。見た目は普通の白いシャツなのに使われている生地が高級品みたいな。
だが、タウロスが鍛治師とは信じられない。何故なら......
(上半身がビキニで鍛治師は無いだろう......)
「......ユミナ」
「うん? なぁに〜」
「鍛治師がいるならお願いしたい事があるんだが......」
白陽姫は6歳までは世界有数の大財閥のご令嬢
まー確かに上半身がビキニの鍛治は色々と大変だろうね~




