スキルを盗む怪盗紳士は師匠を探している その6
サブタイのサブタイ
唸るぜ!!! 私のゴットハンドがぁあああ!!!!!!!!!!
◇◆◇◆
「なるほどねぇ〜 相手のスキルを奪う輩が出てくるとは」
私はクイーンから事の経緯を知った。
「私たちがアグネス女学園にいる時に出現したみたい」
「運の悪いことにクイーンと似たような怪盗服を着ているとわね〜」
「焦ったよ。いきなり攻撃されたからね。改めて助けてくれてありがとう」
「お礼なら、みんなに言って! 私自身は何もやっていないから〜」
クイーンはみんなに感謝を述べ、会話を再開した。
「で、正体は?」
首を横に振るクイーン。
「ヴェインたちやトップギルドたちも奪う者の正体には迫っていない」
アグネス女学園で生徒を誘拐した犯人が分かった後に謎の怪盗の正体を探らないと行けないとは......
私はいつから探偵になったのよ。流石に職業欄に【探偵】はなかった、ひとまず安心!
「事件が解決するまで、ボルス城に居ていいから!」
「ありがとう、助かる」
「今クラスが部屋の準備してるから少し待ってて」
「”クラス”?」
「私専属のメイド兼メイド長」
「そのような使用人も居るのか......」
「話を戻すけど......奪う者を捕まえない限り、クイーンは自由に出歩くことも出来ない。今出没するのは【サングリエ】だけなのよね」
「そうだ。正確に言えば【サングリエ】と周辺のフィールド」
「意外に範囲が広い。従者全員で捜索すれば発見できるけど」
「スキルを奪われる危険性がある」
敵さんがスキルを奪う者で、奪うスキルに制約もないなら、私の従者は格好の獲物だ。みんなが持つスキルはどれも強力。ましてや星霊が保有しているスキルは大概デタラメな性能のオンパレード。奪うだけなら最悪いい。問題は無条件で使用可能になる状況は非常にマズい。
だから無闇に捜索隊を組む訳にはいかない。
「そうなんだよね〜 因みに奪う手段は割れているの?」
「いや、断定は出来ていない。襲われたプレイヤー曰く、どうもトランプが関係しているみたいだ」
「......ト、トランプ!!?」
「トランプを襲ったプレイヤーに刺すのを死に際に目撃したプレイヤーもいる」
「取り敢えず、黒い衣装を身に纏う怪盗と怪盗が所持しているトランプは要注意だね」
まずは全従者に通達。スラカイト大陸に用事がある際は一人で行動しないこと。最悪複数人で移動し、常に警戒する心構えを守って欲しい。くらいかな、今は。
「にしても怪盗か〜」
「うん? どうした?」
「いやぁね〜 私の従者の中にも——————」
大扉が開く。クラシカルタイプのロングスカートメイド服を着た女性が入ってきた。
『ユミナ様。クイーン様のお部屋の準備が出来ました』
パープル色の髪を持つユミナ専属メイド、クラス。
翡翠の瞳はそっと下を向き、手に持つ書類に目を落としていた。
「それと、メイド隊の編成のことでお話が............??」
異様に静かな空間にクラスは違和感を覚えた。話を中断し、視線を上へ。
「えっーと。何がございましたか?」
ビクつくクラス。何故なら全員クラスを凝視していたからだ。
そして———
「確保っ!!!!!!!!!!!」
私の声に反応し、周りにいた従者が一斉にクラスへ襲いかかった。
状況が理解できず、無抵抗のままクラスは同僚に捕獲されてしまった。
「私、何か悪いことしましたか???」
今のクラスは両膝を床に付き、腕は上斜めに強制的に広げられていた。側から見たら処刑スタイルとなっている。いつ刑が執行してもおかしくない状況。
「クラスちゃ〜ん!!」
「その手やめてください!!?」
ウネ! ウネウネ!!
失礼なメイドだ。指を触手のようにくねっているだけなのに......
「こちょこちょの刑を実行する」
「理不尽すぎます!?!?!?」
手がクラスのメイド服に近づく。
「待ってください。せめて訳をお話ししてください。何か罪を犯したのでしょうか......」
ごもっとだ。理由か......
「最近盗みを働いた?」
「えぇ!?」
目を逸すクラス。あれ、あるの?
「い、言えません......」
キュピィーン! ニヤリッ!!
「ヘェ〜 黒ね、この卑しいメイド」
脇腹辺りに手を置く。
「言い残すことある」
「............我が生涯に悔いはない........................」
よーし! イくぞ、クラス——っ!!
「んっ......!! んは.......ぁ♡♡♡ ああ......!!!」
イケナイメイドさんプレイを遠くから眺めているクイーン。
隣にいるアクエリアスに話しかけた。
「毎日いかがわしい事してる??」
アクエリアスは遠い目をしていた。
「......鋭いわね」
◇◆◇◆◇◆◇◆
びくん! びくん!!!
床にメイド服が大きくはだけ、息が荒いクラスが倒れていた。
「ふぅ〜 一仕事が終わったわ!」
汗を拭う。満面の笑みの主を従者は黙るしかなかった。いつ自分に魔の手が迫るのではないかと内心ビクビクしている。
顔を真っ赤にし、涙を流しているクラスは上半身だけ起き上がる。
「はぁ、はぁはぁ......ユミナ様に開発されました。もぉ〜う、お嫁に行けません」
私は膝を突き、クラスを抱きしめた。
「大丈夫。私が貰ってあげるわ」
「うれしいです!」
『やることが洗脳に近いな』
オイ、誰だ!?!? 今大変失礼な言葉を口走った奴は......ちっ、人混みに紛れて特定は難しいな。
「でも......」
クラスが私の顔を見る。
「私......かなり歳が離れていますが」
「えっ? 問題ある?」
「......ユミナ様.........!!?」
「他人が私たちをどう思っているかどうでもいい。私はクラスが好き! 恋人にしたい! いや、恋人よ!」
クラスから嬉しい紅潮。
「......ありがとうございます! すごく嬉しいです!!」
「今更だけど、ゴメンね。悪ふざけが過ぎたよ」
「口づけをしてくれるのなら、許します」
「......良いよ!」
クラスの柔らかい唇に自分の唇を重ねた。
周囲のドキドキが加速する。
「そう言えば......」
私は後ろにいる従者を見た。何気ない言葉を言った。
「みんな、私より——————『スト——ップ!!!!!!!!!!!!』。ほぇ!?」
全員からの大声止まれマーク。皆、交通標識は守ろうね!
理解したのだろう。私が何を口走ろうとしたのか。流石の反射神経!
代表してアリエスが喋る。フルフェイスふぇいくすまぁいるだった。あっ、終わった......
「ユミナ様。いくら同性だろうと主人であろうと......女性の年齢に関するお言葉を口に出してはいけません。よろしいですね」
「うすっ。了解であります!」
無意識に敬礼をしてしまった。私は訓練された兵士か、パブロフの犬だったのか。兎に角従者の圧を感じた時は白旗一択なのである。そうだよね、私の従者、殆ど歳が高いからな〜 アリスでさえ、時代を考えると遥か年上だよ。年上の娘って......
挙手した。
「はい! でも、星霊は長い間、石化——————『何か言いましたか??』いえ、何も言っていません......」
同年代。現聖女と龍の巫女新長だけかもしれない。リーナは吸血鬼、見た目は少女だけど、年上なのは確認済。
「で、クラス」
「はぃ?」
「何を盗んだ」
ギクっ!
やり過ごせると思ったわね。甘いわよ、クラスくん。
扉が開く。今度は誰だ......
「クラスちゃ〜ん、どこ〜」
白衣姿のスコーピオンが入ってきた。褐色肌に金色のロングストレートヘアの美女。身体にフィットしたスーピーススーツは扇状的に移る。膝まで覆う科学者愛用の白衣。スカートが超短いから脚が余計長く見えてしまう。ヒール音が響く。
「ユミナちゃんのスリーサイズ測り終えた?」
はぁ!?
このポンコツ科学者......なんて言った!?!?!?
続々と人が玉座の間に入室してくる。
「クラス。ユミナ様の顔のサイズ採寸と唇の柔らかさ分かりましたか?」
改造ゴスロリ衣装の自動人形がバカな言葉を使ってる......
「クラス。お嬢様の使用済みの物は、どこですか?」
ヴァルゴは通常運転だから気にしない......
「クラス。ご主人様のパン『お前らぁあああ!!!!!!!!!』」
カプリコーンが言い終わる前に声を荒げてしまった。
入ってきた4人が”ヤベェ”の表情を私に向けていた。
唸るぜ!!! 私のゴットハンドがぁあああ!!!!!!!!!!
その後、無事に全員お縄につき、極刑に処した。
喘ぎ声は暫く聞きたくない......ユミナの心からの叫び。
実はスコーピオンとキャンサーのユミナちゃん情報はとても重要案件なんです。割とガチで
妻2名は知らん......
おかしいな。クラス(ラキ)って章のボスキャラだったんだよ!?!?
ま、みんなに受け入れられた証拠かな〜




