表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソロプレイ中に人外NPCを助けたら、女型ユニークモンスターだけに囲まれるVR女王に就任した件  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【2章:【 】】
330/378

スキルを盗む怪盗紳士は師匠を探している その4

サブタイのサブタイ

コイツら、コエェーよ!!!(絶叫)

 クイーンは少女の口の動きで何を言っているか解った。


(”合図を待て”?)


 前後のプレイヤーとの距離が1メートルに到達した。


 クイーンの肩にプレイヤーの手が当たる瞬間。プレイヤーの手の甲から煙幕が立ち混む。煙は大きくなり、クイーンを含む屋根にいた全員が煙に包まれた。


 これか!!


 クイーンは下へ落ちた。頭から落ちたので着地するまでに体勢を変えないといけない。が、間に合わない。


 覚悟し、目を閉じた。が、身体は地面に着かず宙に浮いていた。ゆっくり目を開けると、魚の背に乗っていた。


 シーラカンス型のモンスターはゆっくり降下し、軍服少女の下へ。


 少女はモンスターの頭を撫で、命令を出す。


「アクエリアスの所までお願い!」


 鳴き声を出すモンスター。移動を開始する。


「後はボク達がやるよ」


 クイーンは首を傾げる。


「”達”?」


「ボクとユミナ様。後はモブども」


「あはは......宜しく」


 クイーンはその場から居なくなった。

 ピスケスは上を見上げる。サジタリウスが射た煙矢の効力が消えかかっていく。連中は引き続き捜索するだろう。ピスケスの役割はプレイヤーの足止め。


「出ておいで!」


 ピスケスの声に反応し、宙に魔方陣が出現。現れたのはメガロドン型のモンスター。数にして10体。まだまだ数は出せる。が、狭い場所では10体位が丁度いい。


「お前ら、上のバカどもを駆逐しろ!」


 ピスケスからの命令。モンスター達は吼え、煙の中へ。絶叫は木霊する。人の声がなくなり、姿が見えないのを確認した後、ピスケスは歩きだした。


 ピスケスは横に表示されている画面に映っている人物に報告した。


「ユミナ様、任務完了しました」


『ありがとう、ピスケス。合流地点で落ち合いましょう』





 ◇◆◇◆◇◆◇◆


 サジタリウスは射手座専用長弓武器:星煌弩(ケイローン)を下に下ろした。


 飛距離にして1キロメートル。クイーンに迫り、他プレイヤーが触れようとしたタイミングで矢が爆散する仕掛けも織り込み済み。サジタリウスの矢は見た目は一般的な矢。ウラニアの指輪内で急造される矢。サジタリウスの意思に矢の特性が変更される。属性が付与されたり、飛距離も自由設定、敵に追尾し、当たるまでの時間さえも変更可能、自動的に矢が曲がる、空気抵抗変化、敢えて矢を爆散させるなどカスタマイズは無限大。


 キリッとした表情は落胆していた。


「全くピスケス。私にも残して欲しかったわ」


「まだ追っ手はいる。そっちをお願い」


「畏まりました、ユミナ様」


 サジタリウスの装飾品(アクセサリー)、【拡張眼界】。モノクルに似たアイテムの効果で100キロメートルまで見ることができる。サジタリウスは長年の経験から【拡張眼界】がなくてもある程度、遠くの景色が確認できる。


 矢が放たれる。目標は別の屋根にいる他プレイヤー。プレイヤーは気付かない。サジタリウスが射た矢は速度設定を変更。人間が視認できないスピードで発射された。


「うわぁ〜 ネバネバ......」


 集団前に矢が到達した時に矢が爆散。矢は形状変化して、白濁の粘液がプレイヤーたちに迫り、対処できず悲惨な目に遭っていた。


【拡張眼界】を貸してもらい哀れな景色を目撃。ため息しか出なかった。Gホイホイかな......ってプレイヤーはGじゃないか。


「男がネバネバ状態とか、誰得よ」


「ご希望なら触手矢に変えれますよ」


「嫌、やめて。私の心が死ぬ」


 連射された矢全てがクイーンを追っていたプレイヤーに全て命中。


「これで少しは足止めできるかと」


「ありがとう、サジタリウス」


 形態変更(モデリング)で人馬形態へ戻る。少し黒みのある鈍い赤色の専用防具、【射手の赫赫たる装鎧】。重装甲の甲冑鎧は人馬に纏っている。新たに追加された(くら)。以前は所持していなかった。ユミナの従者になってから、タウロスに造って貰ったアイテム。主にユミナが乗馬する時以外は使われない。


 私は(くら)に跨る。

 ヘルムを下ろし、サジタリウスの顔面は完全に覆われた。


「降ります、ユミナ様」


「OK、サジタリウス。合流地点へ!!」


 重装甲の鎧が屋根から落ち、猛スピードで【サングリエ】を——————街を駆けた。






 アクエリアスは愉快な笑い方を出していた。ライブで観客(ファン)を楽しませるとはまた違う笑い方だった。


「みんな〜♪ 回れ後ろ〜♪」


 誰もがアクエリアスの声に集中していた。声に反応するプレイヤー。アクエリアスの()()()に抵抗もなく身体を動かしていた。クイーンを追う連中はアクエリアスのお願いに応え、後ろ。つまり、元来た道へ歩き出した。誰もアクエリアスの前に戻ることはなかった。


「行って良いわよ」


 横目で自分の背後へ視線を向ける。先ほどの笑い方はなくなり、いつものように喋り方となっていた。


「あ、ありがとう......」


 クイーンはたじろぐ。アクエリアスに多くのプレイヤーのファンがいるのは知っていた。だが、ファンというだけで、命令に忠実な存在ではない。ましてや血眼になって怪盗を追っている連中だ。黙って従うとは考えにくい。しかし、先回りしたプレイヤー全員をアクエリアスは言葉だけで行動を静止。命令まで実行させた。強力な呪いの類と考えれる。


 状況から推測されるがその場で解呪は出来るのは困難かもしれない。


「この先にレオ(お姉ちゃん)が待っているから〜」


 アクエリアスによって足のダメージは無くなった。初めからダメージを負っていない感覚だった。

 クイーンは奥へ走り出した。


 アクエリアスは専用武器兼ハープの律動の星奏バミューダトライアングルを装備。


 ハープを奏でる。心地い音色が響く。


「この道は、誰も通らないようにしないと〜」








 クイーンは走った。薄暗い道。いつ襲撃されるか分からない。不安が募ったが、恋人の従者を信じクイーンは全速力で走り出した。


「アハハ......」


 立ち止まった。クイーンの口から不意に乾いた笑いが出てしまった。

 目の前に山が形成されていた。行き止まりではない。


「よっ! クイーン!」


 頂上で一升瓶を豪快に飲み、下にいたクイーンに話しかけたのはレオだった。

 レオは飛び降り、クイーンの前へ着地した。


「えっと......これは、どういった状況ですか?」


 自分の身の状況よりもレオの背後の山が気になって仕方がなかった。


「おっ。あーコイツら、オレが地面に置いていた酒を蹴るわ、転ばすわクソみたいな所業を繰り返したからお仕置きしただけだ」


 補足すると、敵意を持ってレオの酒を存外扱った訳ではない。怪盗を追う過程で酒盛りしていたレオと遭遇。プレイヤーは走り、偶然にも酒が入っていた容器に当たってしまっただけ。


 結果、レオに全員戦闘不能にされ、プレイヤーで建造された山が誕生した。


「ま、ここに居たのはユミナの指示だけどな〜」


「えぇ!?」


 レオは近くにあったドアノブに手をかける。扉が開く。中は見えない眩しい光景だった。


「こ、これは......」


「ユミナの城だ。暫くクイーンが過ごす場所でもある」

ピスケスの装備

〜装備欄〜

 頭:大いなる海よ、鎧水将の巨魚指揮官を

 上半身:大いなる海よ、鎧水将の巨魚指揮官を

 下半身:大いなる海よ、鎧水将の巨魚指揮官を

 足:大いなる海よ、鎧水将の巨魚指揮官を


 右武器:母なる海種の星印(レヴィアタン)

 左武器:母なる大地種の星印(ベヒーモス)


・深海生物・絶滅した種族・絶滅危惧種など動植物を召喚、命令。呼び出した種を武器に変化させることも可能。

母なる海種の星印(レヴィアタン)母なる大地種の星印(ベヒーモス)は手袋です



サジタリウスの装備

〜装備欄〜

 頭:射手の赫赫たる装鎧

 上半身:射手の赫赫たる装鎧

 下半身:射手の赫赫たる装鎧

 足:射手の赫赫たる装鎧


 右武器:星煌弩(ケイローン)

 左武器:星宮盾(ヘリオス)


星煌弩(ケイローン)の反部分には鋭い刃が搭載されている。接近武器として扱う事が出来る。弓は斬撃武器だよ~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ