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ソロプレイ中に人外NPCを助けたら、女型ユニークモンスターだけに囲まれるVR女王に就任した件  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【1章:アグネス女学園の乙女生活】
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二人だけの楽園の為に

儀式場での戦闘は激化していた。

ただじっと戦闘を見守る陰が二つ。


「お前が人間の従者になるとはな」


グラシャラボラスは自分の肩に立っている女性に声を掛けた。


「悪魔時代と違う容姿なのに分かるのですね」


ため息を吐くグラシャラボラス。


「幾ら見た目が変わっていても、お前から漂う凶悪なオーラを見間違える程腑抜けてねぇよ」


「そうですか......時に、私を攻撃しないのですか?」


ヴァルゴが下を向く。グラシャラボラスの足元には眠っている7人の女子生徒。悪魔召喚の生贄になり、悪魔が顕現して用済みとは言え敵からして見れば、人質としての価値は少なからずある。


「ハァ〜 何千回、お前に殺されたと思うんだぁ。それに、眠っている人間はオレの好みじゃねぇ。だから殺す必要もない」


「そうでしたね。貴方の性癖は......」


「オイィ。それ以上、口を出すなよ」


「言いませんよ、微塵も興味もありません。仮に言っても私に徳がありませんので。にしても、貴方も人が悪いですね」


「悪くない提案だと思うが?」


「オリバー・リーディエントに提示した契約の条件。”敵対してる6人を倒す”。私とカプリコーンも含まれています。どう考えても人間の身で倒すのは困難ですよ」


不敵な笑みを溢すグラシャラボラス。


「さぁ〜な。敵の力量を瞬時に見抜けない人間なんて、後が大変だぁ。悪魔と契約することがどれだけの責任や重みがあるのか、理解してねぇ。言わば洗礼だよ。もしも洗礼を生き抜き、それでも悪魔と契約を望むなら王候補としてキープしてやるよぉ」


「大変そうですね......この時代の人間は」


「オレからも質問していいかぁ」


「......答えれる範囲でしたら」


「ほぉんとうに変わったな。昔は視界に入った者を皆殺ししていた奴とは別人だ。お前の主は大物すぎるぜぇ」


「ふふん! 貴方にも教えてあげましょう、私とお嬢様の軌跡を」


「いや、やめておくわぁ」


「誰もが私の容姿、力にしか興味がなかった。でもたった1人......私をちゃんと見てくれた者はお嬢様だけ。だから私はお嬢様以外に従うつもりはない。永遠に———」


「勝手に語っているよ。まぁ、お前が良いならオレたちが口出す権利はないからなぁ。だが、契約はどうすんだぁ。まさか今の主だけじゃねぇよな」


「ハァ〜 ですから、私が契約するのはお嬢様のみ。他者と結ぶ気は毛頭ありません」


「......お前の方が、人が悪いな」


「リリス様も了承済です」


「......マジかよ。そうだよね、お前くらいだからなぁ。リリス様と平然と話せれるのは」


「加えてお嬢様はリリス様のお気に入り、と言えば貴方は信じますか」


「ヘェ〜 おもしれぇなぁ!! ますます興味が湧いてきたぁ!! じゃあ見届けないとなぁ」


二体の悪魔は祭壇に視線を向ける。























◇◆◇◆◇◆◇◆


「どうもオリバー先生。分からない箇所があるので教えてください」


祭壇の中央に立っているオリバーに話しかけた。


「生憎、不出来な生徒に教える事はないわ」


「生徒を導くのが教師の役割じゃないのですか」


「教師ね......そうよ、私は教師なのよ......」


含みのある言い方だな。


「生徒会長ですが、未だ眠ったままです」


少し眉を動かすオリバー。


「一番強力な催眠魔法を施したからね。目的が達成したら、起こすつもりだった」



「生徒を誘拐することが貴女の目的」


ハッキリとオリバーに告げた。


「アグネス女学園に存在する全ての人間が邪魔だったのでしょう———シフォン・ニア・ウィステリア生徒会長以外が」



笑顔で拍手するオリバー。


「正解! よく分かったわね。悪魔召喚に必要な誘拐とは考えなかった?」


「悪魔召喚のためだけに人攫いを実行するのなら、街に出て大量に攫えばいい。学園と違って()()()()()()()ですから」


「あら、悪魔だって召喚に必要な人柱の選定するわ。それこそ、若い女達とか」


私は後ろでヴァルゴと喋っている悪魔———グラシャラボラスに目を向ける。


「だったらとっくに倒れている女子生徒を襲っている事でしょう? 襲うどころか興味がない素振り。つまりあの悪魔さんは若い女性に惹かれていない。悪魔が少女達に見向きもしない、なら、女子生徒を誘拐したのはオリバーさんの個人的な目的に絞られる」


「それで私がアグネス女学園の人間が邪魔だと」


「学園に来て数日、私は貴女が放った刺客たちと戦いました。【花嫁】に捕まった生徒は無惨にもブーケにされたり、【願き者の源水】を植え付けられた生徒は身体を乗っ取られた。あまりに扱いが酷すぎる行為です」


「要らないからね」


「自白ありがとうございます。でも、貴女の目的は別にある。ヴァルゴとリーナが教えてくれました」


「ヘェ〜」


「異空間で発見されたシフォン生徒会長だけただ眠っていた。それだけじゃなく、存外に扱っている様子はなかった。随分高待遇だったようですね。眠らされていましたが......」


「何が言いたいのかしら?」


「オリバーさん。貴女はシフォン生徒会長を......」


オリバー・リーディエントが今回の騒動を起こした動機は。












()()()()()()()()()


オリバーは目を閉じる。再び目を開け私を見る。その瞳は哀しくも事実を物語っていた。



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