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ソロプレイ中に人外NPCを助けたら、女型ユニークモンスターだけに囲まれるVR女王に就任した件  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【1章:アグネス女学園の乙女生活】
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包帯やゴムマスク被っていたら怪しい容疑者なのになぁ~

祝2周年!!

今度とも宜しくお願いします!!

 ◇◇◇


 学園内ではとある話題で持ちきりだ。


『ねぇ、行方不明の生徒見つかったって』

『知ってる、知ってる。何でも真夜中の花嫁に拐われていたらしいね』

『全員じゃないけど、見つかって良かったわ』

『えぇ、噂本当だった』

『これで少しは安心するわね』

『結局、シフォン会長は何処にいるのかしら』

『てか、監督生も生徒会も何もしていないわよね』

『あれでよく学園の秩序を守れるわよね』

『なんか、信用ガタ落ちしたらしいわ』

『うん? じゃあ誰が救出したのかしら?』

『数日前に編入してきた4人らしいわよ』

『もしかして......3年のヴァルゴ様!!?』

『わたしは2年のリーナ王女って聞いたわ』

『ほら一年に編入してきた...』

『あの麗しき執事様!?』

『執事とその主......名前は確か――――――』


 ◇◇◇




「まずは4人の生徒を救出してくれてありがとう、ユミナちゃん!」


 今私は理事長室にいる。理事長室に来るまで色々あった。


 ヴァルゴとクイーンの結託で、クイーンに捕獲され一緒に登校する羽目になったり......

 まぁ、二人で腕組みで登校も中々良かったのは心の内に秘めておこう。


 回収した黒薔薇のブーケ。アイテムの中でも呪いのアイテムとしてカテゴリーされている、【忌むべき黒薔薇の少女】が正式名称だった。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ・忌むべき黒薔薇の少女:【呪物:特級】


 純情な少女の生命力を吸い尽くした漆黒の花束。

 ”忌むべき黒薔薇の少女”は【黒き薔薇を持つ真夜中の花嫁】の生気を蘇らせるが、【黒き薔薇を持つ真夜中の花嫁】以外が所持すれば、花嫁の怒りを買う。

 【黒き薔薇を持つ真夜中の花嫁】が所持していたブーケは怨念が込められている。

 ”忌むべき黒薔薇の少女”は持てば状態異常:【荊化】の呪いを受ける。

 特級指定の呪物アイテムを解呪するには高品質の浄化アイテムもしくは高レベルの浄化魔法が必要とされる。


 ※状態異常:【荊化】

 5秒毎に”忌むべき黒薔薇の少女”から荊蔦が1本纏わりつく。

 荊蔦を操れるが、時間経過で所持者の身体を蝕む。

 荊蔦1本毎にHPが1/10ずつ減っていくデメリット効果が付与される。

 全身に纏わり付いた時、所持者は死亡する。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





 クイーンに事情を説明。一旦学園の外に出てからの『清浄なる世界へ(ヴィム・エブリエント)』で4つの”忌むべき黒薔薇の少女”を解呪した。


 流石は労基も驚愕の過労死さん、『清浄なる世界へ(ヴィム・エブリエント)』。ブーケに変化していた女子生徒はちゃんと元通りの姿にしてくれた。


 ただ、捕まってから解放される間の記憶がない設定なのか、若干の浦島太郎状態に陥っていた。


 今は保健室で治療を受けている。理事長以外に魔法使用が許可された養護教師がいるので、多分大丈夫だろう。



「いえ、私は特別何もしていません」


 私の言葉にアグネス女学園理事長、レナード・アウロ・ブリジットは首を横に振った。


「謙遜しないで。貴女は......いえ、貴女たちはこの学園を救った。十分誇っていいわ」


「お言葉ですが、理事長。行方不明の生徒を全員救出していない以上、賛辞を受ける資格は私たちにはありません。事件が解決した時に先ほどの言葉を頂戴します」


 口角を少し上げるレナード理事長。


「分かったわ。これからも事件解決に励んでください」


 話は終わり、私は理事長室を退出しようとした。扉を開ける前に、振り返る。


「そうだ、理事長。()()()()()()()使()()()()()()()()()()を全員教えてください」


「......えぇ??」


 レナードはポカンとした表情を浮かべた。





 ◇◆◇



 大食堂にいる私たちは好奇の視線に晒されている。


『ユミナ様、助けて頂きありがとうございました』


 土下座のカステラと、それを上から見下ろす形で椅子に座ってる私。


 救出された4人の生徒。その内の一人で私をアグネス女学園に来させた張本人。フレンドのカステラ。


「ま、ようやく会えたと思ったら敵に捕まってるんだもん」


「いやぁ〜 面目ないですぅ」


 どうやらカステラを含む彼女のギルドは【黒き薔薇を持つ真夜中の花嫁】の情報は得ていた。しかし具体的な発生条件が判明していなかったとか。


 私とは異なり噂話の情報に【真夜中】の部分が抜け落ちていたから【花嫁】に出会うことができずにいた―――今までは。


 で、事件当日。カステラがたまたま真夜中に寮の廊下にいたことで【黒き薔薇を持つ真夜中の花嫁】がPOPした。突然のことで対処できず呆気なく【花嫁】に捕獲され、見事な黒薔薇ブーケに成り下がっていたのが、カステラに起きた真相である。



「あれね、地味に苦しんだよ」


 曰くプレイヤーが黒薔薇のブーケになると、意識がある状態で【花嫁】と一緒に強制行動させられるらしい。解呪しない限りリスポーンもログアウトもできないキツい仕様だとか。


 6時間経過したら黒薔薇のブーケから解放されリスポーン可能にはなる。しかし”忌むべき黒薔薇の少女”と同じ状態異常:【荊化】の呪いを受ける。



 カステラだけ救わない選択肢もあったか......ミスったな〜



 NPCが黒薔薇になると記憶が混濁するし、プレイヤーが黒薔薇になればログアウトもできない強制デスゲームルートに直行する。


 はっきり言って【黒き薔薇を持つ真夜中の花嫁】はクソモンである。よくもまぁ〜 悪趣味なモンスターを創ったものだ、運営は......



 土下座を解放し、椅子に座るカステラ。


「進捗を聞く前に、私から質問していい?」


「うん? いいよ」


 カステラが私の横に目を向ける。視線の先には学生服姿のクイーン。


「”クイーン”だよね。ギルド:シューティング・スターのメンバー」


「そうよ。会うのは初めてよね。よろしく、カステラさん」


 少し苛立ちを見せるカステラ。


「どうして彼女が?」


「あー話すと長くなるけど......簡単に言うと私を追って学園に来ました」


「一応言っておくわ。”シューティング・スター”はアグネス女学園でのクエストに参加しない。無論私も」


「信じろと?」


 クイーンが目を細めながら話す。


「鍛治師プレイヤーたちが未だに私を狙っているのは知ってる。何度も言うけど()()()()()()()()()。誰ふり構わず、情報を開示する気は起きないわ。他ギルドと結託して私を攻撃してきてもいい。その時は返り討ちにするだけ」


 私はクイーンの制服を引っ張る。

「ねぇ、何があったの?」


「............話すと長いわ」


 それっきり会話が広がる事はなかった。




 話は元に戻る。


「...いいの、クエスト進めなくて?」


「クエストが未達成になるけど、気にしないわ。私が学園に入学した目的はあくまでユミナを見つけること。それ以外の事は手を出さないわ―――決して」


 腑に落ちたような表情を向けるカステラ。


「ハァ〜 分かったわ、貴女を信じる」


「ありがとう!」


「で、ユミナ進捗は?」


「10人の内4人は救出......ところでカステラは10人目? それとも11人目?」


「......私がクエスト進行中に10人目の被害者が出たから、11人目だよ」


「じゃあ哀れなカステラを除けば残るは7人」


「はいはい、すみません。私は哀れな人です〜ぅ」


 ストレージから首掛け看板を取り出し、”私は哀れな人”と書き首に掛け始める。はい、無視しましょう!


「噂話は3つ集めた。カステラは?」


「私たちは【黒薔薇の花嫁】と【願う噴水】の2つ」


 私たちは【黒き薔薇を持つ花嫁王女】と【悪魔の噴水】だった。


「二つとも類似の噂話。【天使からのお迎え】が3つ目」


「【天使からのお迎え】?」


「”礼拝堂にある天使像に祈りを捧ぐと天使が降臨する”噂話」


「『礼拝堂』か〜 なるほどね......」


「後はカプリコーンが調べてくれたけど、【監督生】くらいかな」


「あー【監督生】ねぇ〜 私たちもアプローチして見たんだけど、全く相手にしてくれなかった。私たちの見立てでは【魅力値】のパラメーターを上げることが出来ればイケると予想していた」


「単純に学園で名が広まれば【監督生】の耳にも入るんじゃない?」


「当然、やったよ。初心者ダンジョンRTAしたり、メイデンの塔も2ヶ月で100階到達して”学園最速踏破”の称号も手に入れたし、色々実行したんだけど............」


「興味がなかったか〜 いっそ全裸でコミュニケーションすれば印象に残るんじゃない」


「そりゃあ、露出狂のド変態少女が記憶に残らん方がおかしいわ。あぁ!!?」


「な、何よ......そのニヤついた目は」


「聞いたわよ、ユミナちゃ〜ん! ()()()()()()()()()


 4つの椅子が一斉に引いた。私、ヴァルゴ、カプリコーン、リーナは立ち上がる。


「皆行くよ!」


 私の合図でその場を後にする、が――――――


「大丈夫だよ。掲示板には出回っていないから」


 全員座る。


「ならいいか」


 私の刺す眼圧。3人は目も合わせない。冷や汗ダラダラ。

 ほれ、見たことか!!? 閉鎖空間の学園。NPCに速攻広まっているのは周知していた。プレイヤーにバレるのも時間の問題だったが、もう知られていたか......

 唯一の救いは掲示板にスレ立てがないことか。



「今度の方針だけど、【監督生】と生徒会に接触。シフォン会長の手がかりを探る。後は残る2つの噂話を攻略する。この三つを重点的に進めていきますか!」











 ◇◆◇◆◇◆◇◆


 一年の廊下。私とカプリコーンは歩いていた。


「ご主人様。どうして教師の話題をカステラ様とクイーン様に話さなかったのですか?」


「確証がないから」


 ヴァルゴ、カプリコーン、リーナは私が教師を怪しんでいるのは知ってる。だが、カステラとクイーンには喋っていない。


 私が喋らないことを三人は疑問に思っていたに違いない。けど、私に何か思惑があると踏んだ三人は沈黙を貫いた。察しスキルが高くて助かるよ!



 教師が怪しいと感じたのも私の直感。生徒を異空間に閉じ込めたのは【花嫁】ではない。


 【花嫁】自身の能力ならもっと簡単に生徒を捕獲できる。態々茨で拘束してじわじわ生命力を吸い尽くす手間をかけない。


 後は透過能力。プレイヤー視点からは行動パターンが変化したと考えれるが、少し視点を変えると、”何故使用回数に制限がかかってるのか”と疑問に当たる。


 誰かが【花嫁】に能力を付与し、発動条件には拘束中の女子生徒の生命力(HP)が必要とするように仕組んだ。


 存在する筈だ、生徒を異空間に閉じ込める計画を立てた犯人さんが......


「ま、動機も不明確だしね〜」


「行方不明の生徒、救出された生徒たちに結びつける共通点は見られません。強いてあげるなら学園の女生徒と貴族くらいですか」


「お金が目的、でもないか......何か犯人さんの()()()()()()()()()()()がある筈」


「欲望、ですね」


「欲望か〜 欲望なら満たされるまで止まらないだろうね」


 真犯人は4人の生徒が救出されたことで取る選択肢は”慎重に行動”か”大胆な手段”の二つ。


 今まで以上に女子生徒を攫う算段をつける可能性がある。そうなれば新しい噂話をNPCから入手しないといけない。


 真犯人が激昂型なら陰ながら狩るよりもなりふり構わず女子生徒を捕まえるために行動に移す。どちらにしても私たちは完全に後手になる。


「【花嫁】も犯人さんが生み出したモンスターかな」


「......召喚魔法に似た魔法、ですか」


「噂話も生徒間だけで浸透したとは思えない。必ず大元が存在する。発信源的な」


「それが教師だと?」


「困ってる生徒は誰かに相談したくなる。友人でも親でも。自分が心を許す相手になら話す。だけど、このアグネス女学園は閉鎖された、言わば監獄。深い悩み事を話せる間柄は限られてくる」


「自分より世界を知っており、理解がある大人......」


「加えて”魔法”使用が許可された教師」


 理事長を含め、アグネス女学園で魔法使用が許可された教師は全部で3人。


 一人目は理事長こと、レナード・アウロ・ブリジット。

 二人目は治癒魔法の使い手で、保健室に在籍してる養護教師、エリーゼ・パブロヴニア

 三人目は生徒会顧問、舞踏教師、訓練教官と様々な役割を兼ねている――――――



 私たちは足を止めた。

 前から教師が歩いてきたからだ。



 妙齢な美女は私たちに目もくれず歩き続けていた。

 規則正しく、されど優雅に。身を張り前方へと向かっていく。

 NPCでは珍しい黒髪。長い髪をシニヨンヘアに似ていて束ねて首筋付近にまとめていた。

 生徒が着用している深碧色の制服よりも深い黒。足元まで覆い隠すドレスはまるで喪服を思わせる装い。

 だが、若々しい顔立ちと艶のある深い黒が合わさり芸術的な美が場を支配していた。



 ブーツの踵がより近づいてくる。紫の瞳は真っ直ぐと私たちを捉えていた。


 私とカプリコーンは何事も無かったように動きを再開する。


「ごきげんよう」


 軽い会釈し、教師の横をすり抜けた。


『待って』


 後ろから呼び止められた。振り向くと教師は私を見ていた。


「何でしょうか......オリバー先生」


 オリバー・リーディエント。彼女こそアグネス女学園で魔法使用が許可された三人目の教師である。

クイーンの持つ二種のユニーク武器は今まで類似品が存在しなかった。

とあるプレイヤーの従者が現れるまでは......


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