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ソロプレイ中に人外NPCを助けたら、女型ユニークモンスターだけに囲まれるVR女王に就任した件  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【1章:アグネス女学園の乙女生活】
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黒薔薇ブーケの正体

「はぁ......はぁはぁ......」


「やり、ましたね、ユミナ様......はぁ~」


 花嫁の頭上。数字は【0】。あれから攻撃を加え続け、なんとか透過能力の発動阻止した。後は、花嫁本体仕留めれば異空間から脱出できるだろう。



 キ゛キ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!!!!



 廊下に奇声が走る。耳障りこの上ない気味の悪い声帯。


「花嫁さん。怒っていますね」


「『よくも私の力を封じたな、小娘ども』とか思ってるんじゃない?」


 さて、漸く花嫁にダメージが入る。

 近付こうとした時、花嫁の身体に異変が―――


「ドレスが開きます!!?」


 花嫁のウェディングドレス。前部分が閉めきったカーテンが開くように開帳し出す。


 モーションが変化する思い警戒する。


 が、待っていたには予想を斜めいく結末だった。
















「コイツ......どこほっつき歩いていると思っていたら......」


 ウェディングドレスの中。学生服を着たカステラが磔姿で現れたのだった。


 リーナも唖然としていた。


「ユミナ様のお知り合いの方ですよね?」


「そだよ。私に留学を強要した哀れなフレンド」


 恐らくカステラも花嫁の存在に気付いた迄は良かったが、敢えなく捕獲され、花嫁とドッキングしてしまったか......



「おーい。カステラ~ 朝だぞ!」


 本当は真夜中進行中だけど。


「反応ありませんね」


 目を閉じていて起きる様子はない。カステラは薔薇の茨で拘束されていた。


 カステラを覆うのは茨だけではない。徐々に身体に生えていく真っ赤なの薔薇。ドレス内が露になった時は一輪の赤薔薇しか咲いていなかった。


 しかし、時間が経過するにつれて顔や腕、胴体、足に至るまで転々と咲いていく。



「なっ!?」


 カステラの身体を蝕む真っ赤な薔薇が少しずつ黒赤色の薔薇に変更していく。時間経過で行動パターンが変わる敵なら薔薇の色変化は阻止しないといけない。



 だが、時既に遅し。カステラの身体は消滅した。


「カステラよ、安らかに眠れ!」


 南無三! まぁ、プレイヤーは生き返るし特に問題にはしていない。欲を言えば目を覚まし、花嫁の情報を聞きたかった。


 砕け散ったカステラだったモノは上空へ。プレイヤーがゲームオーバーで死んだら、アバターはポリゴン状に変換され、ガラスが割れたような最後を迎える。


 その後は宙で霧散され、リスポーン地点にアバターが再構成。リスタートを可能とする。


 ゲームオーバーになったカステラも同じく末路辿るとばかり思っていた。


 が、消滅するはずのガラス片が宙で一点に集まる。形を変え、変色する。


「......そういう事ね」



 戦闘開始直後の疑問は解消された。花嫁の頭上の三桁数字。アレは吸収された者のHPを参照している。


 そして黒薔薇ブーケは何のために有るのか。その答えを目の前の花嫁が実証してくれた。あまりに単純で、嫌な展開。






「黒薔薇ブーケの正体は......行方不明の生徒」




 捕まった(人間)の末路は(道具)となる...か.........







 ◆◇◆◇◆◇


 茨捕獲された女子生徒は花嫁の身体の中へ誘われる。茨で拘束した後、生気を絞り尽くす。


 生気は茨を活性化させ、元気も証拠に真っ赤な薔薇が咲き始める。吸収した女子生徒のHPがそのまま花嫁の透明化能力も残量の役割果たしている。



 花嫁にダメージを入れるために頭上の数字を減らす行動は、茨に捕まった生徒の黒薔薇化を促進させる行為だった。


 数字が【0】と同時に生気吸収は完了。真っ赤な薔薇は黒色へ変色し出す。まるで血液が体外へ排出し、黒く変色するように。


 最後はカステラのように、黒薔薇のブーケとして花嫁の両手に掌握される。


「本当に......悪趣味ね」



 私が今までオニキス・オンラインで経験してきた多くクエスト。その殆どが『運営の頭は大丈夫か』、と疑いたくなるような内容の数々。


 黒エルフと白エルフの抗争。アレだって、多くの血が流れた。私たちが参戦する前に、捕まった敵陣営のエルフたちの末路は言葉では言い表してはいけない酷い内容だった。


 龍の都でのテロリスト襲撃だって、守れなかった命は数えきれず。街に大量の死体......いや、止めよう。彼らの為にも残りの邪龍を全て討伐しないといけない―――【創天威パンドラ】を譲り受けたあの時に誓ったんだ。


 和ノ國のヨシワラだって、カグヤが自分の身体を犠牲にしないと遊女たちが悪辣非道な扱いを受ける未来が待っていた。カグヤの状況と遊女の皆に懇願されて、私がヨシワラを支配する悪の妖怪軍団を倒し、閉ざされた世界(ヨシワラ)を解放した。アレだって、ヨシワラの内情は目を背けたくなるような内容しかなかった。



 人間の考えることじゃない。実は悪魔がこのゲームを作りましたって公表された方がまだ説得力がある。



「道理でカステラたちが数ヶ月もクリア出来なかった筈だよ」


 どんなに頑張って捜索しても見つからない訳だよ。だって生徒は異空間に強制隔離。行方不明の生徒は皆、黒薔薇ブーケに換えられ、真夜中の花嫁に喰われたんだから。今頃集めたブーケは腹の中に貯まってるだろう。


「もう助からないのでしょうか?」


 リーナは落胆する。下を向き絶望に近い悲壮感を漂わせていた。


「希望はある」


 花嫁を倒す。人間を黒薔薇化するには花嫁の能力。倒せば能力も解除される。


「先ずはブーケを全て吐き出させないと」


 お腹のブーケを残したまま花嫁を倒すと、一緒に消滅する可能性も少なからずある。


 花嫁の身体は茨で構成されている。しかし、腕が人間なのに胴体が茨だけとは考えにくい。きっと隠されている。人間用の胴体が―――



 結論。胴体の中に収納されている黒薔薇のブーケを全て吐き出させてから花嫁を討伐する。



 星刻の錫杖(アストロ・ワンド)裁紅の短剣(ピュニ・レガ)をストレージにしまう。空いた右手はゆっくりと左胸へ。


 隣にいるリーナ。リーナもまたネックレスに手をかけている。


「準備はいい?」


「いつでも!」


 左胸に装備しているブローチ――――――『覇銀の襟飾(ヴァイセ・エーゲン)』。


 首にかけているのは歯車のチャームが付いているネックレス――――――『運命の歯車(クロノ・ウルル)』。




 私たちはは引きちぎるようにアクセサリーを外す。


「『真祖解放(しんそかいほう)』」

「『真遡解放(しんそかいほう)』」

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