真夜中のバージンロード
眠る瞬間に瞼が見開く。ベットから素早く起き上がる。
3人も気付いていた。各々装備はいつものに変更済。
ゆっくり部屋の扉を開けた。廊下は静かだった。奥に進むにつれて引き返せないような真っ暗な廊下。
暗闇の中で、白い物が動いていた。
布が擦れる音。冷たい闇が進行してくる———ゆっくりと。
私たちが暗闇の中に蠢く白きものに釘づけになった。
「時間的に真夜中だもんね~」
三メートルを超える化け物。動きが止まった白き者。
頭上に謎の三桁数字。純白のドレスを着たおぞましい花嫁が黒薔薇のブーケを両手で持ちながら佇んでいた。
ウエディングドレスのようなにボリュームのある白い服。花嫁の顔はベールが被られている。不自然な風で自動的にベールが解かれた。
「お、おぉ.........!?」
花嫁の顔はこの世のものとは思えない形相。顔はどんなに頑張っても努力しても判明できない。何故なら白黒の渦巻きの顔面だったから。
花嫁が私たちを見る。表情は分からない。だが私たちを次なる標的に移したような雰囲気は理解できた。
突如花嫁は手に持っていた黒薔薇のブーケを自分の渦巻顔面に運んだ。黒薔薇のブーケを渦巻顔面に吸い込まれる。
咀嚼はない。丸呑みでブーケが喰われた。残った白き手は虚空に伸びていた。
「ようやく進展したわね」
目の前に花嫁に言ったわけではない。花嫁も私の声に耳を傾けずゆっくりと、私たちの方へ進んでくる。
花嫁が進む度にドレス下から毒々しい真っ赤な花びらが落ちていった。
「お嬢様。『ひっ!』とか言いませんね」
「......何言ってるのよ?」
「今までならあのような不気味モンスターが出現した瞬間に軽い悲鳴を上げていたので......」
笑みをヴァルゴに向けた。
「今の私は絶叫よりも興奮で体が満ちている! やっと面白くなってきたじゃない!!」
出方を窺うのが定石。だけど湧き上がる身体の震え。恐怖ではない。好奇心・闘争心。強敵に挑みたい欲望。
「私が先陣を切るわ!」
床を蹴り、花嫁へ攻撃を仕掛けた———
「私を楽しませろぉおお!!!」
奇声は暗闇の廊下に響き渡る。
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PN:【ユミナ】
職業:①:【星霜の女王】
②:【魔導龍王】
〜装備欄〜
頭:沈黙の古代帽子
上半身:幽天深綺の魅姫・エクシード
下半身:幽天深綺の魅姫・エクシード
足:救世の光
右武器:裁紅の短剣
左武器:星刻の錫杖Lv.10 (EM:500)
〜装飾品〜
①:覇銀の襟飾
②:真竜の手袋
③:薔薇襲の荊乙姫
④:星王の創造
⑤:
⑥:
⑦:
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———残ったリーナ・カプリコーン・ヴァルゴ。
「リーナ。貴方はお嬢様の方へ」
「えぇ!? 私が? お二人は?」
ヴァルゴとカプリコーンは後ろを振り向いた。
リーナも二人の奇妙な行動に視線を追ってしまう。
「どうして......?」
リーナは驚きしか出来なかった。
主が絶賛戦闘しているおぞましい花嫁。それと同じ花嫁が後ろから迫ってきた。
「彼方は私たちが相手しまう。リーナはお嬢様の元へ」
ヴァルゴは彼岸の星剣を、カプリコーンは熾星の細剣を構えていた。
「今のお嬢様は目を血走らせ、少々興奮気味。魔法も使えないこの学園で取れる戦法は接近戦のみ。私とは相性が悪いです」
「大興奮ご主人様の攻撃中、私の熾星の細剣の狙いも定まりません。リーナの武器ならご主人様のサポートが可能かと」
リーナは鞘から彼の物語を紡ぐ朱呪を抜く。
「......わかりました。お任せください!」
リーナがいなくなる。
「カプリコーン」
「言わなくても分かります。貴女は自分の戦闘に集中してください。私は隙をついて攻撃し続けますので」
黒薔薇のブーケを喰い終えた花嫁はヴァルゴとカプリコーンを標的と認識し、行動を開始した。
『ヒャッハー!!』と叫ぶ少女。これがこの物語の主人公です。淑女から一番かけ離れた人かもしれない。
ユミナたちの部屋、角部屋なのに不思議だね~
PN:【ユミナ】
職業:①:【星霜の女王】
②:【魔導龍王】
右武器:裁紅の短剣
左武器:星刻の錫杖Lv.10 (EM:500)
NPCN:【ヴァルゴ】
職業:MAIN:【剣星】
SUB:【悪魔】
右武器:彼岸の星剣
左武器:赫岸の星劍
※赫岸の星劍は鞘に収まっている。
NPCN:【カプリコーン】
職業:MAIN:【星天】
SUB:【大天使】
右武器:熾星の細剣
左武器:なし
NPCN:【リーナ】
職業:MAIN:【真祖+時幻】
SUB:なし
右武器:彼の物語を紡ぐ朱呪
左武器:なし
実は花嫁が丸呑みした黒薔ブーケは......倫理的に




