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ソロプレイ中に人外NPCを助けたら、女型ユニークモンスターに囲まれるVR女王に就任した件  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【1章:アグネス女学園の乙女生活】
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学園に棲まうウワサバナシ?

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 お昼の時間帯。大食堂。プレイヤーと違い女子生徒NPCは規則正しい生活をしている。皆食事を摂ってる。しかし食事はそこまで捗っていない。全員ある机に釘付けだからだ。


「死にたい〜よ」


 机の上で突っ伏ししてる。そうです、私です。アホのユミナちゃんです。


「何したのですか、ユミナ様?」


「リーナ。私はもうダメよ。ミジンコ以下......」


 反応に困るリーナ。


「えっとー............」


 リーナに助け舟を出すカプリコーン。


「緊張しながら自己紹介したのです」


 カプリコーンの言葉に不思議がるリーナ。


「緊張くらい誰でもあります。私も緊張しながら自己紹介しました」


「いえ、ご主人様の場合は......クラスメイト様たちからの質問が原因です」


「”質問”?」


「私との関係です」


「何となく理解しましたわ」


 転入してきた生徒。同時に生徒の執事。服装から一瞬男性の執事と勘違いを起こした生徒も多い。しかし見た目や容姿、カッコよく神秘的な佇まい、無性に祈りポーズを取りたくなる現象。

 担任教師も理事長が特例で認めた執事。訳あって執事服を着ている麗人と紹介されたカプリコーン。


 当然、生徒たちからの関心は高まる。


「ご主人様は緊張が最高潮へ。頭が真っ白の状態で私含め2000人以上の女性の恋人がいると暴露したのです。既に2人嫁もいる事も言いました」


「絶対クラスメイトさん。引きましたね」


 リーナの言う通り。超特大の爆弾発言した。自己紹介イベントは完全に終わった。流石?は名門貴族の寄宿学園。授業はちゃんと聞いている令嬢ばかり。だが、返って私の心に深いダメージを与えた。


 せめてヒソヒソ話くらいして欲しかった......



「リーナはどうですか?」


「魔法学園で慣れていても緊張しました。しかし何人かお友達ができました。これから情報収集を行います」


「既にご主人様より役に立っていますね」


「カプリコーン......後で覚えてとけよ」


「ハァ〜 これくらいで【女王覇気】を放出しないでください。更にドン引きされますよ」


「リーナ〜 カプリコーンが虐めるよ〜」


 リーナに抱きついた。黄色歓声が上がった。


「本来ヴァルゴの仕事なのに......どうすれば」


 カプリコーンが辺りを見渡す。


「ヴァルゴは......?」



 大食堂の入り口。人集りが出来ていた。一人の生徒に群がる女性生徒。全員中心にいる女子生徒に自分をアピールしている。明らかに好意を抱いている雰囲気だった。全員の瞳がハートマークになっているからだ。


 あーあー。アシリアに怒られるよ〜



 中心にいた女子生徒。絶対に未成年の女子とは違う。アダルトな女性の見た目。正体はヴァルゴ。ヴァルゴは周りの女子生徒に別れを告げ、私たちがいるテーブルまでやってきた。


「お嬢様。何やってるのですか?」


 制服姿のヴァルゴ。カッコ可愛い♡ 本当に何でも似合うわね。

 しかも、今回は特別に髪型がストレートからポニーテールに変更されている。


「自己紹介でやらかしました」


 カプリコーンからの言葉で100%理解したヴァルゴ。


「リーナ。代わります」


「お願いします」


「お嬢様。貴女のヴァルゴが参りましたよ」


 リーナから離れ、ヴァルゴを抱きしめた。再び沸く黄色歓声。同時に邪悪なオーラが漂ってきた。これは邪気だな......今はどうでもいい。



「......私もうダメだ」


 ヴァルゴは優しく私の髪を触る。


「お嬢様、人は失敗します。前向きに生きましょう。失敗から学び、克服するのです。少し肩の荷を下ろして気楽に行きましょう。それともお嬢様は小さい障害も乗り越えれないのですか?」


 ヴァルゴを抱きしめていた力を弱くする。身体が熱くなる! 力が漲ってくる感覚だ!!


「そうね! これくらいの壁を乗り越えれなくて女王は名乗れないわ! やってやるぞ!!!!」


 ヴァルゴは二人を見る。カプリコーンとリーナはヴァルゴにグッドポーズを向けた。


「嫁の言葉は伴侶をやる気にさせる!」


「風格のある王妃ですね!」


「褒めても何も出ません!」




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「で、どうだった?」


 私からの質問。コーヒーカップを置くヴァルゴ。


「私のクラスでも一人お休みしている生徒がいました。風邪と伝えられていますが、生徒内で噂になっています。”天使からのお迎え”があったと」


 私、ヴァルゴ、リーナが一斉に視線を向ける。矛先はカプリコーン。


「......私ではありません」


 だよね。


「ヴァルゴ。”天使からのお迎え”って?」


「礼拝堂にある天使像に祈りを捧ぐと天使が降臨すると」


 祈りだけで天使が降臨ね〜 


「へぇ〜」


「天使からの寵愛を受け、”天界の住人”になれるらしいです」


「そうなの?」


 カプリコーンは首を傾げる。


「そのようなシステムを構築した覚えはありませんが......」


「カプリコーンがいなくなった後に改善されたとか」


「可能性は低いですが、否定もできません。しかし、天使になってもいい事ないですよ」


「......この学園、毎朝天に祈りを捧げる校則があるんだから」


 アグネス女学園では、毎朝行われるイベントがある。それが”早朝の祈り”。

 今日も我々をお守りください、と口に出し、天に祈る。本当はもっと長い言葉を唱えるらしい。アグネス女学園の女子生徒NPCは魂レベルで大切に、真剣に行う。プレイヤーは特に”早朝の祈り”を唱えなくてもペナルティがあるわけでもない。アグネス女学園内部で見ることが許された光景。


 プレイヤーに”早朝の祈り”に関してペナルティがないと言ったが、一つだけ注意がある。それは”早朝の祈り”中に女子生徒NPCに話かけてはいけない。


 彼女たちにとって、”早朝の祈り”で発する言葉ひとつひとつ大事なモノ。神聖な讃歌。自分の胸に打ち込むように毎日行ってる。それを他者が邪魔するなら、天を軽んじている。

 結果、異端者・異分子と迫害を受けてしまう。そうなれば、アグネス女学園を巣立った後、貴族界では壮絶な破滅人生が待っている。



「じゃあ、ヴァルゴのクラスの子は天界の住人になったから行方不明か」


 にしても、十人以上も天界の住人になれるとは思えない。

 ま、生徒たちの噂話だし。この話は一旦保留ね。


「どうしたの? リーナ」


 先ほどから難しい顔を浮かべるリーナ。


「私の聞いた話と異なりましたので......」



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